アイナメ / クジメ 

釣る

冬場のかぶせ釣りのターゲットの主役です。アイナメの30cmオーバーは「ビール瓶級」とか「ポン級」とか呼ばれますが,この型になると引きもかなり強く,頭を振るアイナメ独特の引き味が楽しめます(写真のアイナメは35cm)。11〜1月ころはモエビを餌にしたさぐり釣りでもよく釣れますが,厳冬期はかぶせ釣り以外の釣り方ではほとんど釣れません。

近縁種にクジメ(右の写真)がいます。クジメは大きくなっても25cmくらいで,アイナメのような縞模様はなく,全体が赤や茶色っぽい体色をしています。また,尾びれの先が扇のように丸くなっている(アイナメは直線)点で区別できます。瀬戸内では3〜4月ころに投げ釣りでアイナメっぽい魚がたくさん釣れますが,この大半はクジメです。不思議にことに,かぶせ釣りではクジメはほとんど釣れません。

食べる

アイナメの本当の旬は夏だそうですが,釣って食べる旬は春です。冬場は産卵後の体力回復期でまだ身がやせていますが,4月ころに釣れるアイナメは丸々と太っており,お造り(特に皮つき),湯引き,煮付けなど淡白な味付けの料理で食べると特に美味。アイナメは釣り魚の中でも非常に調理しやすい魚で,20cm前後のものでも十分刺身になります。魚にはふつう「一番美味しい大きさ」があります(特に刺身にする場合)が,アイナメは20cmでも40cmでも味は変わりらないように思います。小さくても刺身で食べるのが一番。ところで,アイナメの調理法と言えばしばしば「骨切り」(ハモのように,切り身に縦に細かく包丁目を入れる)がなされていますが,刺身にする場合は骨切りは全く不要です。

クジメは,姿形はアイナメとよく似ていますが,はっきり言ってまずい魚です。唐揚げくらいしか調理法が思い浮かびませんが,唐揚げにしても独特の臭みが残ります。さばいてみるとよくわかりますが,アイナメの身が白いのに対して,クジメの肉には小さな血管が網の目のように入っています。この血管が,全身に血の臭みを染み付かせるのだと思います。昔,投げ釣りしかやらなかった頃は,春先にクジメをたくさん釣って喜んでいましたが,最近はクジメが釣れてもほとんどリリースして帰ります。もしかしたら釣ってすぐ血抜きをすればいいのかもしれませんが・・・。ただ,10cmくらいまでの当才魚のクジメは,唐揚げにするとなかなかイケます。