キジハタ(アコウ)

 

釣る

関東の人にはなじみが薄いかもしれませんが,これが瀬戸内の最高級魚であり,「幻の魚」と言われる「アコウ」であります(幼魚ですが)。ハタの仲間では最も美味といわれています。旬は夏場で,波止や磯の夜釣りで30〜40cm級が釣れます。もっとも最近は養殖した稚魚の放流が行われているらしく,秋にモエビのさぐり釣りでメバルを狙っているとよく掛かってきます。かぶせ釣りでもたまに釣れますが,もともとエビや小魚を主食とする魚なので,かぶせ釣りで釣れるのはまれです。

食べる

食べたことのない人のために刺身の味を説明してみると,ちょっとマダイに似てます。北日本で言うと,ソイですね。食感といい上品な甘みといい,浜値で天然マダイの上をいくだけのことはあります。もっとも,生け簀料理店のやつはあんまり関心しません。島の民宿とか,港に近い料理店のようなところで,その日に仕入れたものを食べないと,せっかくの高級魚が泣くというもの。大きいものは50cmを超えますが,30〜40cmくらいの大きさがベストでしょう。釣って帰るやつはたいていが25cm未満の幼魚なので,煮付けにして食べることが多いんですが,煮付けでも,また吸い物にしても最高の味です。肉質はきめが細かくて,極端に言えばワタリガニのような感じ。メバルやカサゴとは格の違いを感じます。頬肉の味はマダイに勝るとも劣りません。