@ 釣り場に着いたら,まずカキを砕いて足元に撒きます。一度にたくさん撒く必要はありません。最初は両手にひとすくいくらいで十分です。

A 次に仕掛けを用意します。仕掛けの概略は,下の図のようになります。それぞれの道具の詳細については,かぶせ釣り事典(道具編)を参考にしてください。 落としダモも出しておきます。タモを出し忘れたために取り込めなかった,ということのないように。

B 道具を自分の周りに配置します。私の場合は下の図のように道具を置き,竿は左手に持ちます(リールは右ハンドル)。右手で竿を持って左手でリールを巻く人は,図の左右が逆になります。竿を持つ手とリールを巻く手は,必ず逆にします合わせた後で竿を持ち変えると無駄な動作が生じ,魚に根にもぐられてしまうためです。なお,横から風が吹くときは,風下にはなるべく余分なものは置かないように配置し直します(道糸のからみを防ぐため)。


C いよいよ釣り開始です。カキのカラを割り,中の身にハリを刺して,最初は足元に投入します(詳細はカキの取り扱い方を参照してください)。たいていの魚は,上から落ちて来るエサに興味を示します。着底の直後に当たりが出ることが多いので,特に注意を集中してください。竿は常に手持ちです決して置き竿にはしないでください。釣りのスタイルは,右の写真のような感じになります

D 左手で竿を持ったまま,右手に金槌を持ってカキを砕き,少量ずつ時々撒いてやります。少しずつ絶やさずにカキを撒くのがコツです。

E 2〜3分待って当たりがないようなら,仕掛けを引き上げます。魚が掛かっていないときは,リールは巻かずに道糸を手でたぐります(次回投入時にタナ取りをしやすいよう)。上図の配置の場合,たぐった糸はクーラーの左側に置きます。

F あとはCから同じ動作を繰り返します。足元で当たりがなければ,遠めに投入したり,左右にずらしたりして広範囲にさぐっていきます。潮の流れに注意してください。潮流の速度や方向が変わるときがチャンスです流れが全くなくてもかまいません。特に大型魚は,ある程度マキエが効いてこないとヒットしないことが多いので,根気よくカキを撒き,投入を繰り返してください。


G 当たりは,たいていの場合手元に伝わってきます。基本的には,手元に「コツン」という当たりを感じた瞬間に,大きく,かつシャープに合わせますただし,狙う魚によって当たりの出方や合わせのタイミングは多少異なります。詳しくはかぶせ釣り事典(対象魚編)を参照してください。

H 取り込みの際は,何よりも根ずれによるハリス切れに注意が必要です素早く底を切るのはもちろんですが,岸壁に付着したカキにハリスがこすれて切れることが多いので注意してください。特にアイナメやコブダイは,岸壁に突っ込む習性があります。これを避けるには,できるだけ腕を前方に突き出してリールを巻くことが肝心です。ある程度強引に巻き上げる方が根ずれが防げるため,イカダ釣りの場合よりも太い仕掛けが有効になるわけです。 


I 初めての場所では,少なくとも半日(干潮から満潮までがベスト)は粘ってください。その間にたいてい1回は魚の活性が高まる時間帯があります。1尾でも釣れれば,その波止には魚がいるということです。腕が上達すれば,もっと釣れるようになります。

J 狙いをつけた波止には何回か通って,当たりの出る潮・時間帯・ポイントなどを確認していきます。定期的にカキを撒いていれば,餌付け効果によって魚の活性も高まってきます

K  釣りが終わったら,バケツに水を汲んで,釣り座を洗い流して帰るのがマナーです。特に暖かい時期は,カキのカスが残っていると波止に悪臭が立ち込めて周囲の迷惑になるので,必ず釣り座をきれいに洗って帰るようにしましょう。  


最後に,釣り方のポイントをまとめておきます。

● 技術面で最も大切なのは,次の3点です。

@置き竿にしない。

Aハリの上には一切オモリをつけない。

B一定のリズムで手返しをする。

● あと必要なのは忍耐力・集中力・反射神経といったところです。

これらの点を忠実に守って釣れば,初心者でも1〜2年でコンスタントに魚が釣れるようになると思います。奥の深い釣りなので,あとは精進あるのみ!