O 海を喰らう 山を喰らう

● 著者 :甲斐崎 圭(かいざき・けい)

 ● 出版社:日本経済新聞社

 ● コメント:出版は2000年。タイトルの通り,日本各地の海や山を巡り,そこで獲れた獲物を味わった経験をルポしたもの。最大の特徴は,筆者本人が漁,あるいは猟の現場に同行して,その現場写真と料理の写真が両方紹介されていることにある。ハードカバーで写真は全部カラーなので,値段はちょっと高い(1,700円)。しかし,カラー写真でないと出せないリアリティが迫ってきて,全編に「野趣」が溢れている。取り上げられている食材は,海のものではサケ・タラ・タコ・カツオ・イセエビなど。山・川のものではイノシシ・イワナ・マイタケ・アユなど。写真を見るだけで,「現地でこれを食ったらどんなにか美味かろう」と思わせる。個人的に一番「食いたい」と思ったのは,沢で獲ったイワナを現地で串に刺して塩焼きにしたやつ。コップ酒を片手にあれをかじったら,さぞ幸せな気分になることだろう。