M 瀬戸内海を歩く<上・下>

● 著者 :中国新聞「瀬戸内海を歩く」取材班

 ● 出版社:中国新聞社

 ● コメント:出版は1998年。上巻(産業編)と下巻(環境・地誌編)とから成る。産業編は「海からの伝言」と似た部分もあるが,下巻の「環境・地誌」が特に面白かった。この本は,瀬戸内沿岸の各地の自然・文化・風習・地場産業などを取材して書かれている。小さな町の祭りや人物紹介が中心のため,読み物として面白い。章が7つに分かれていて,それぞれ「渚はいま」「水辺のいのち」「潮騒に学ぶ」「豊島有情」「それぞれの海」「遠きにありて」「海峡に生きる」というタイトルがついている。各章は2〜3ページの記事が10数編並んでいて,記事は全部で100個くらいになる。カブトガニ・アマモ・ナメクジウオ・スナメリなど瀬戸内海特有の生き物の話や,離島の過疎化の問題など,いろんな角度から瀬戸内の現状が報告されていて興味深い。ただ,この本が書かれた当時から既に状況はかなり変わってきているので,続編も書けそうな気がする。