C 釣り達人たちの裏話

● 編者 :佐々木一男(ささき・かずお)

 ● 出版社:廣済堂出版

 ● コメント:いやもう,何と言うか。面白い本です。それ以外にありません。--- 「達人たち」とは言っても,テレビや雑誌に登場するような有名人はほとんどいない。40人以上が寄稿しているが,ぼくが名前を聞いたことのあるのは高園満,井上博司のお二人だけだった。本書では,さまざまな経歴・職業・釣り歴の人々が,それぞれの経験談を語っている。たぶん全員が「達人」というわけではないだろうが,各人の思い入れが文章に詰まっている。文体も個性的だけれど,内容がまた刺激的。当たり前だろう。三度の飯より釣りが好きな人々が,自分の釣り人生の中で最も印象に残ったエピソードを綴っているのだから,面白くないわけがない。ベテランが多いため戦前の頃の釣りの話がよく出てくる。当時の釣りの様子を読むだけで十分面白い。また,事故に遭った話も多く,ほとんどサスペンス小説のようでもある。なお,「ご依頼したあと集まった原稿が予定をはるかに超え」たため,本書には続編も出ている。