2004/02/01 up

新刊著書のコマーシャル(2)

 

 

タイトル:      中学英語を5日間でやり直す本

出版社:        PHP研究所

サイズ:         文庫版・227ページ

定価:           552円+税

編・著者:    小池直巳・佐藤誠司

 


 

〜はしがき〜

 

この本は,主として社会人向けの「英語を基礎からやり直す本」です。

中学1〜2年生程度の英語力をつけることが,この本のねらいです。

この本が対象としているのは,「学校で習った英語なんか,なーんも

頭に残ってないかんね」という人です。この本こそ「日本で一番やさしい

英語の本」であると,自信を持って言えます。

 

(以下略)


 

え〜・・・この本の内容はですね。上に書いてあるとおりです。

本書の特徴は,説明のしかたにあります。

本書では,「先生と生徒の対話」という形式で話が進みます。

二人のキャラクター設定は,こんな感じです。

 

● いかりや先生(=い):

38歳。どこぞの中学教師。どんな出来の悪い生徒でも,かかってきなさい。

ただし,ときどき逆上して我を忘れる。

● ジャリ子(=ジ):

13歳。英語のエの字も知らない中学1年生。ローマ字はどうにか読める

程度だが態度はでかい。今どきの生徒だから,教師にも平気でタメ口をきく。


 

〜本文冒頭からの抜粋〜

 

い:さて,みなさん。

ジ:私が,教師のいかりやです。

い:そりゃオレのセリフだ。

ジ:これ,やめない?どっちがどっちかわかんなくなるし。

い:今さら,そんなことができるか。

ジ:まだ始まったばっかですけど。

い:さて,ジャリ子くん。

ジ:無視すんなよ。

い:最初は,一番基本的な文からだ。

 

(1) This is a pen. ズィス・イズ・ア・ペンヌ

(これはペンです)

(2) That is [=That's] a cat. ザット・イズ[ザッツ]・ア・キャット

(あれはネコです)

 

※ 以下略。こんな感じで説明が続きます。取り上げた内容は,以下のとおりです。

 

第1日「AはBです」

第2日「Aは〜する」

第3日「〜した」「〜だろう」など

第4日 動詞の意味の広がり

第5日 数量の表現といろいろな質問


 

要するにこの本は,「おちゃらけた会話を読みながら,楽しく英語を勉強する」

というコンセプトを基本としています。もともとはそういうつもりではなかった

んですが,何かオリジナリティを持たせたいということで執筆中に方針を切り替え

ました。しかし,現実に本にするとなると,いろんな制約がつきまとうのでした。

その結果,元原稿の何割かを手直しする必要が生じました。

 

まず引っ掛かったのは,「特定の世代にしか通用しないネタは不可」という制約です。

本の性格から考えて,「誰にでも理解できる」内容でなければならないからです。

その結果,たとえばビートルズや尾崎豊を例にとった説明は削除されました。

 

次に,「時事ネタは不可」という制約もありました。

本というのは何年も本屋の棚に並ぶものであり,数年後に読んでも違和感のない

内容でなければならんわけですね。しかし,「人を笑わせる」という目的で何かを

語ろうとするとき,時事ネタが使えないというのは相当に厳しい制約です。

テレビのお笑い番組を見ても,時事性を排除したらほとんどの漫才やギャグは

成立しなくなってしまいます。

 

そんなわけで,出来上がった本は元原稿に比べるとかなり「毒気を抜いた」内容に

なりました。ただ,執筆者として,そのこと自体に不満があるわけではありません。

本を作るというのは著者・編集者・デザイナー・イラストレーターなどの共同作業

であって,お互いがそれぞれの道の専門家なわけだから,自分のテリトリー以外の

ことは全面的にそれぞれの専門家に任せる方がいいと思うからです。

執筆者の思い通りの本を出したければ,自費出版しかないでしょう。

そういう意味では,ホームページは最高の自己表現媒体ですね。

好きなことが書けますもんね。

 

ちなみに,本書の最後のページの記述は,次のようになっています。

 

い:以上,おしまい!

ジ:やった〜!これで中学英語は卒業ね・

い:ばかやろう。この本で取り上げたのは,中学校で習う英語のせいぜい3分の1くらいだ。

     まだ不定詞とか,現在完了とか,関係代名詞とか,中2〜3レベルの大事なポイントは

     ぜんぜん取り上げてねえよ。この本の続編が出たら,続きを説明しよう。

ジ:では皆さん,それまでごきげんよう!

 

上の文面,元原稿ではこうなってました。

 

い:以上,おしまい!

ジ: やった〜!これで,中学英語は卒業ね。

い: ばかやろう。この本で取り上げたのは,中学校で習う英語のせいぜい3分の1くらいだ。

      まだ不定詞とか,現在完了とか,関係代名詞とか,中2〜3レベルの大事なポイントは

      全然取り上げてねえよ。

ジ: えー,ダメじゃん。残りはどうすりゃいいのよ?

い: スペースの都合で,今回は入りきらなかったのだ。

ジ: くだらない会話にむだなページを使いすぎたからでしょーが。

い: いや,だから続編をだな・・・

ジ: まさか,続編を出すためにわざと会話を引き伸ばしてたとか。

い: そんなことはない。だいいち,この本が売れなかったら続編なんか出るわけない。

ジ: 売れればいいわけね。みんな,買って〜!

い: ここを読んでる人は,たぶん買ってくれてるだろ。

ジ: いやいや,立ち読みでここまで来た人もいたかも。

い: どっちにしても,中学の英語を完全にマスターしようと思ったら,この本だけじゃダメだよ,諸君。

ジ: 何様だ,あんた。それが読者に対して言うことかよ。

い: 続編出さしてくれー。続編にはコイツのヌー○ポスターつけるからさー。

ジ: 何を言い出すんだ,オヤジ。

い: だいたいな,中学の英語が5日間で完全にマスターできるわきゃねーだろ。

ジ: もう黙れ,オマエ。

い: でもね,これと同じペースであと2〜3冊くらい勉強したら,ほんとにバッチリだよ,うん。

ジ: そういうわけで,皆さんよろしく!

 

私はどっちかと言うと,このくらいくだけた文体の方が好きなんですけどねー。

本を出すって,むずかしい。