2013/3/23 up

大人の英文法−019  will と be going to 

 

私たちが中学生の頃は,「will=be going to」のように教わっていました。

今から思えば,ずいぶんと乱暴な説明を受けていたものです。

今日では中学の教科書にも両者の意味の違いは明確に書いてあります。

それは次のようなものです。

@その場で思いついたことには will を使う。

A前から計画していたことには be going to を使う。

@は主語が I の場合に当てはまります。

・ "The phone is ringing." "OK. I'll [×I'm going to] get it."

(「電話が鳴っているわ」「わかった。ぼくが出るよ」)

この文の場合は,話し手がその場で思いついた行動なのでwillを使います。

be going to を使うと「あらかじめ電話に出ることを決めていた」という含みを持つので

不自然に響きます。

Are you going (to go) [Will you go] anywhere this weekend?

(この週末はどこかに行く予定なの?)

この文では,相手がどこかへ行くことを既に計画しているという前提で,be going to を

使うのが自然です。will を使っても間違いとは言えませんが,Will you 〜? には「〜して

くれませんか」という依頼の意味もあるので,相手の予定を尋ねるときは be going to を

使うのが普通です。なお,be going to go (行く予定だ)だと,goが重複するので,to go を

省くこともできます(その場合は現在進行形が未来の予定を表すことになります)。


 

人間以外を主語にして will を使うと,フォーマルな言い方になることがあります。

(a) The summer festival will take place on August 10.

(b) The summer festival is going to take place on August 10.

(c) The summer festival is taking place on August 10.

(d) The summer festival takes place on August 10.

(e) The summer festival is to take place on August 10.

(夏祭りは8月10日に行われる)  *take place=行われる

(a)はもともとは「行われるだろう」という話し手の推量を表す言い方でしたが,

公の予定などを告知する際に使う言い方です。5つの文のうちでは(a)が最も

固い響きを持ち,(a)は広報誌などの書き言葉で使うのに適しています。 

(b)〜(e)はどれも書き言葉・話し言葉の両方で使えます。

【補記】 (a)が固く響くのは,この文のwillが「時の経過に伴い自然にそうなる」という

(単純未来の)will のような響きを持つからだと考えられます。

たとえばI will be twenty next year.(私は来年20歳になります)の will は

話し手の意志でも予測でもなく,「必ずそうなる」ということです。

 

なお,「人以外+will」が常に上のような意味になるわけではありません。

・That building will be demolished within a month.

この文は次の2つの解釈が可能です。

@あのビルは1か月以内に取り壊されることになっている。〈告知〉

Aあのビルは1か月以内に取り壊されるだろう。〈話し手の推量〉

また,天気予報では will を使うのが普通です。

・Daytime high will rise to 35 degrees in Tokyo.

(東京の日中の最高気温は35度まで上がるでしょう)

理屈の上では be going to も使えますが,天気予報は原稿を読み上げるので,

短くて発音しやすい will が好まれるようです。


※以下の記事は2014/1/13に加筆したものです。

@その場で思いついたことには will を使う。

A前から計画していたことには be going to を使う。

このような意味の違いが生じる理由を,補足説明しておきます。

(a) I will buy a new car.

(b) I'm going to buy a new car.

(a)の will は,法助動詞 will の現在形です。007で説明したとおり,英語の時制には

現在形と過去形しかありません。(a)は話し手の現在の意志を表しています。

ニュアンスとしては,「私は新しい車を買おうと今思っている」という感じです。

一方,(b)の be going to は,形からわかるとおり現在進行形と関連があります。

(b)のニュアンスは「私は新しい車を買う方へ進んでいる」です。現在進行形と

関連づけて言えば,「ある動作が今進行している」ということは,その動作の

始点は過去に,終点は未来にあることになります。つまり(b)は,「新しい車を買う」

を瞬間的な行為ではなく一定の時間を要する行為としてとらえ,自分は今その

行為の中を進んでいる,という意味を表しています。「始点が過去にある」とは

すなわち,「前から計画していた」ということです。

 

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