2013/3/24 up

大人の英文法−025  未来完了形 

 

未来完了形は,現在完了形の基準時を「未来」へスライドさせた時制です。

will+have+過去分詞〉の形で,基準時(未来のある時点)における

(それより前に起きたこととつながりのある)状態を表します。

will(〜だろう)+〈have+過去分詞〉(〜が完了した状態を持っている)

考えるといいでしょう。例を挙げておきます。

・I will have left the office for home when you come back.

(君が戻る頃には私は職場を出て家へ向かっているだろう)

この文の基準時は「君が戻るとき」です。その時点で「私は職場を出る動作を

完了したという状態を持っている(have left)だろう(will)」ということです。

【参考】この文のwill have leftをwill leaveにすると,「私は君が戻ったら職場を出るつもりだ」という

        違った意味になります。

〈will have+過去分詞〉の下線部は「完了した状態を持っている」という意味なので,

全体として状態動詞に準じた働きをします。一般に状態動詞は無意志動詞なので,

will は単純未来(〜だろう)の意味を表します。上の文を「私は職場を出てしまって

いるつもりだ」(意志未来)の意味に解釈するのは誤りです。未来完了形の will は

常に単純未来(〜だろう)の意味を表す点に注意してください。

上の例は学校英語で言えば〈完了〉の用法です。〈継続〉の意味を表すときは,

動作動詞なら理屈の上では未来完了進行形を使うことになります。

・It will have been raining for a week if this weather lasts until tomorrow.

(この天気が明日まで続けば,1週間雨が降り続いていることになるだろう)

ただしこのような形は複雑なので,会話ではあまり出てきません。

なお,未来完了形が〈経験〉の意味を表す例として,日本の文法書には次のような

文が載っています。

・ If I see the movie again, I will have seen it four times.

(もしその映画をもう一度見れば,私はそれを4回見たことになるだろう)

しかしこの文の下線部は,〈経験〉とも〈完了〉とも解釈できます。未来完了形が明確に

〈経験〉を表す例は,will have been to 〜(〜へ行ったことがあることになるだろう)の形

以外にはまず考えられません。ただしこのような形は複雑なので,会話ではまず使わない

と思ってよいでしょう。上の文の場合は I've seen the movie three times.(私はその映画を

3回見た)と言えばいいのであって,「もしもう一度見れば」という仮定をすること自体が

自然な状況とは言えません。

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