2013/9/1 up

大人の英文法−050 may/mightの用法 

 

少し極端かもしれませんが,実用的なコミュニケーションの観点から言えば,日本人は

次のように覚えておけば十分ではないでしょうか。

@「許可」の意味のmayは, May I 〜?(〜してもいいですか)という形でのみ使う。

A「可能性」(〜かもしれない)の意味では常に might を使う。

may と might に関しては,この2点だけを知っておけば日常的な場面では困らないでしょう。

以下,補足説明です。

 

◆ 「〜してもよい」という意味のmay

(a) May I sit here? (ここに座ってもいいですか)

(b) Can I sit here? (ここに座ってもいい?)

(c) Might I sit here? (ここに座らせていただいてよろしいでしょうか)

(d) Would you mind if I sat here? (ここに座ってもかまいませんか)

mayは「目上の者が目下の者に許可を与える」というニュアンスの語なので,(a)は「私がここに

座る許可を与えていただけますか」というていねいな言い方になります。これに対しては,

Sure.(いいですよ)とか Yes, of course.(ええ,もちろん)などと答えます。Yes, you may. だと

「私があなたに座る許可を与えます」という尊大な響きになりかねないので,避ける方がいい

でしょう。断るときは I'm sorry, (but) it's taken.(すみませんが,その席はふさがっています)

などと言います。

(b)の直訳は「私はここに座ることができますか」。(a)よりもフランクな表現で,親しい間柄なら

こちらを使えばいいでしょう。助動詞の過去形は現在形よりも控えめな気持ちを表すので,

(c)は(a)のていねい表現ということになります。ただ,上の訳語のようなニュアンスになるので

状況によってはていねいすぎる感じにも響きます。(c)は避ける方が無難でしょう。

(d)は(a)よりもていねいな響きを持ち,会話でよく使います。以上をまとめると,

(b)→(a)→(d)の順にていねいな言い方であり,状況に応じてどれかを使うようにしましょう。

You may 〜(あなたは〜してもよろしい)は上に述べたとおり「上から目線」の表現であり,

He may 〜(彼は〜してもいい)のような形も実際にはあまり使いません。1つの理由は,

「彼は〜かもしれない」の意味に混同されるおそれがあるからです。

 

◆ 「〜かもしれない」という意味のmight

(a) He may be late. (彼は遅れるかもしれない)

(b) He might be late. (彼は(ひょっとしたら)遅れるかもしれない)

(a)と(b)には実質的な意味の差はありません。特にアメリカ英語では(b)が好まれます。

(a)は「彼は遅れてもよい」〈許可〉の意味にも解釈可能ですが,(b)をその意味に解釈する

ことはできません。それが,(b)が好まれる1つの理由でしょう。したがって我々は,

「〜かもしれない」の意味では常に(b)のように might を使えばいいと思います。

 

◆ mayのその他の用法

以下は,読み飛ばしていただいてもかまいません。

私たちが高校生の頃,学校や塾・予備校では次のような知識を学んでいました。

@譲歩のmay(例:whatever may happen=たとえ何が起きようと)

A目的のmay(例:so that you may succeed=君が成功するように)

B祈願文(例:May you be happy!=あなたが幸せでありますように)

Cmay well 〜=〜するのももっともだ(it is natural ...)

Dmay [might] as well 〜=〜してもよい

Emay [might] as well A as B=BするくらいならAする方がましだ

 

以上の6つのうち,日常的に利用価値が高いと言えるのはDのみです

昔の入試の書き換え問題にはDの may as well を had better で言い換えさせる

ようなトンデモ問題も出ていましたが,この表現は次のように使います。

・"Shall we go to the movies?" "Might as well."

(「映画を見に行かないか」「(特に行きたくもないが)それもいいね」)

これは「ウィズダム英和辞典」から引用した例です。この表現の may [might] は

「〜してもよい」〈許可〉の意味であり,「〜してもしなくても同程度に許される」が

原義です。つまり積極的に「〜する方がいい」と言うのではなく「どっちでもいいけど,

まあやってもいいかもね」という気持ちを表すのに使います。そのようにあいまいな

情報を伝えるには控えめな気持ちを表すmight が適しており,might as well の方が

may as well よりも好まれます。

@〜Bは堅苦しい表現であり,特にABは日常的にはほとんど使いません。

@は may も使えますが,whatever happens のように現在形で表せば十分です。

Cの may well は「多分〜だろう」の意味で使うのが普通です。この may は「〜かも

しれない」の意味で,well を加えれば「可能性が十分ある」という意味になります。

たとえば He may well be late. の普通の解釈は「彼は多分遅れるだろう」であり,

「彼が遅れるのはもっともだ」という意味になるのはレアケースでしょう。

Eは日本の入試問題では好まれますが,英英辞典にはこのような見出しは載って

おらず,「彼に金を貸すくらいなら捨てる方がましだ(You may as well throw your

money away as lend it to him.)」のような文が作れなくても日常的には困りません。

その内容は,たとえば  Lending your money to him is just like throwing it away.

(君の金を彼に貸すことは,それを捨てることとちょうど同じだ)などと表現できます。

 

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