2014/1/25 up

大人の英文法066−不定詞(副詞的用法A)  

 

副詞的用法の不定詞には,065で取り上げた「目的」「感情の原因」のほかに次のような用法があります。

・ 結果を表す用法

・ 判断の根拠を表す用法

・ 程度を表す用法

・ 条件を表す用法

・ 独立用法

この項では,これらを順に説明します。


◆ 結果を表す不定詞:「(その結果)〜」

高校生が使う文法書には,よく次のような形が載っています。

(a)  She grew up to be a beautiful lady. (彼女は成長して美しい婦人になった)

(b)  Few people live to be 100 years old. (100歳まで生きる人はほとんどいない)

(c)  I woke up to find myself lying on a bench. (目覚めると私はベンチに寝ていた)

これらの文では,たとえば grow up to be が「成長して(その結果)〜になる」という

意味を表すので,下線部の不定詞は「結果」を表しています。

しかし,これらの意味は次のようにも表せるので,不定詞を使う必要はありません。

したがって不定詞の結果用法は,アウトプットの観点からはあまり重要ではありません。

(a) ≒ She (grew up and) became a beautiful lady.

(b) ≒ Few people live until (they are) 100 years old.

(c) ≒ When I woke up, I found myself lying on a bench.

なお,only to do(〜したが結局…に終わった)の形は日常的にも使います。

(d) I ran to the station only to find my train had left.

   (駅まで走って行ったが,電車は出た後だった(のがわかった))

不定詞にはさまざまな意味がありますが,only to do の形は「結果」の意味にしか

解釈できないので誤解が生じません。それがこの表現が好まれる1つの理由でしょう。

never to do(〜して二度と…なかった)にも同じことが言えます。

 

一方,実際の文章の中には次のような不定詞の使い方がしばしば見られます。

Oak and almond trees evolved to have toxic elements in their seeds to avoid 

having their seeds eaten. (オークやアーモンドの木は,進化して種を食べられる

のを避けるために種の中に有毒の成分を持つようになった)

これは植物の進化に関する文章からの引用です。和訳文と照らし合わせると,

to have は「結果」,to avoid は「目的」の用法と言えるでしょう。

しかし重要なのはそのような用法の分類ではなく,(大西泰斗先生風に言えば)

不定詞の「気分」をとらえる感覚です。繰り返し説明しているとおり,不定詞の to は

もともと「方向」を表す前置詞の to と同じものだったので,上の文は

・evolved to have 〜 = 進化して〜を持つ方へ向かった

・have toxic elements ... to avoid 〜 = 有毒成分を持って〜を避ける方へ向かった

のように理解することができます。つまり,ネイティブ感覚的に言えば,この2つの

不定詞は全く同じものだと言えます。

「結果を表す不定詞とは grow up to be や live to be のような形のことだ」と誤解して

いる生徒(あるいは指導者)も少なくないでしょう。そのような理解の仕方だと,実際の

文章に出てくる不定詞の働きがうまくつかめないケースも出てくるはずです。

英文中の不定詞の働きがよくわからないときは,「〜の方へ向かう」という to の

原義に立ち返って考えてみるとよいでしょう。


◆ 判断の根拠を表す不定詞:「〜するとは」

この用法の不定詞の例を1つ挙げておきます。

・ He must be rich to travel around the world

  (世界一周旅行をするとは彼は金持ちに違いない)

この文の場合,「彼は金持ちに違いない」というのは話し手の判断であり,to travel は

その根拠[理由]を表しています。感嘆文にして How rich he is to travel around the

world! (世界一周旅行をするとは彼は何と金持ちなのだろう) とも表現できます。

ここで注意しておきたいのは,次のようには言えないという点です。

×He is rich to travel around the world.

この文の話し手は「彼は金持ちだ」という事実を語ろうとしており,そこには話し手の

判断は含まれません。したがって,「判断の根拠」を表す不定詞は使えません。

正しくは次のように言います。

 He is rich enough to travel around the world.

   (彼は世界一周旅行ができるくらい金持ちだ)

この文の不定詞(to travel)は「程度」を表します。


◆ 程度を表す不定詞:「〜するのに(は)」

この用法の不定詞は,enough(十分に) ・ too(〜すぎる)と結びつけて使います。

私立高校の入試では,次のような書き換えが定番です。

(a1)  He is healthy enough to run a marathon.

      (彼はマラソンを走れるくらい(十分)健康だ)

(a2) He is so healthy that he can run a marathon.

     (彼はとても健康なのでマラソンを走ることができる)

* so 〜 that ... = とても〜なので…

(b1)  It's too cold (for us) to play tennis.

      ((私たちが)テニスをするには寒すぎる)

(b2) It's so cold that we can't play tennis.

     (とても寒いので私たちはテニスをすることができない)

この場合,(a1)(b1)は「程度」に,(a2)(b2)は「結果」に焦点を当てた言い方です。

so を使う表現はたいてい「結果」を意識していると考えてかまいません。

(a3) He is so healthy as to run a marathon.

学校では〈enough to do = so 〜 as to do〉と説明しますが,(a3)には「程度」と

「結果」の両方の意味が含まれます。なお,(特にアメリカ英語では)(a3)よりも

(a1)の方が普通の表現です。

 

また,上のような言い換えが常に成り立つわけではない点にも注意が必要です。

(c1) She is old enough to get a driver's license.

    (彼女は運転免許が取れるくらいの年齢だ)

×(c2) She is so old that she can get a driver's license.

(c2)が誤りなのは,これだと「彼女はとても年寄りなので運転免許が取れる」と

いう意味になるからです。つまり(c1)のoldは「〜の年齢だ」という〈尺度[程度]〉の

意味を表しますが,(c2)のoldは「年寄りだ」という意味にしかなりません。

(c1)の old が〈程度〉の意味に解釈できるのは,〈程度〉を表す enough と結び

ついているからです。また,old / young の対比においては old が無標である

ため(→028 「無標」と「有標」を参照),〈尺度〉の意味では young でなく old を

使うとも言えます。この点は比較の項で後述します。


◆ 条件を表す不定詞:「もし〜なら」

不定詞が条件を表すのは,ほとんど次のような文に限られると言ってよいでしょう。

・ To hear her speak English, you would take her for a native speaker.

    [≒ If you heard her speak English, ...]

    (彼女が英語を話すのを聞けば,君は彼女をネイティブスピーカーと間違えるだろう)

下線部は仮定法過去の条件節と同じ働きをしています。したがって,この文の would を

will にすることはできません。この形の不定詞は,to hear(聞けば)・to see(見れば)

どちらかのケースが大半です。


◆ 独立用法(独立不定詞)

独立(用法の)不定詞とは,次のようなものを言います。

To tell the truth, I'm out of work now. (実を言うと,私は今失業中です)

この文では下線部が文修飾副詞(後ろの文全体を修飾する副詞)のような働きをして

います。このように,文中の特定の語句から独立して使う不定詞を独立不定詞と言います。

独立不定詞の多くは,話し手の態度や意見を表すのに使います。一種の熟語なので,

文法参考書などで確認してください。いくつか例を挙げておきます。

・ to be frank (率直に言えば)    ・ to put it briefly (手短に言えば)

・ to begin with (まず第一に)     ・ to make matters worse (さらに悪いことに)

・ strange to say (奇妙な話だが)    ・ needless to say (言うまでもなく)

 

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