2017/8/13 up

 「大人の英文法」を読んでいただいている皆さんへのお知らせ

(2017年8月)

 

本業が多忙なため,記事の更新がしばらくストップしています。申し訳ありません。

ここでは,「大人の英文法」をお読みの皆さんに4つのご報告とお知らせをしたいと思います。

 

@「大人の英文法」の記事の更新は,しばらくの間中断します。

理由は,Bをご参照ください。

 

A英文法に興味のある方は,下の新刊本をお読みいただけると幸いです。

「英文法、何を重点的に教えるか」(大修館書店)

 

まだ手元に見本が届いたばかりですが,まもなく書店にも出回ると思います。

この本は,「英文法の参考書に載っている知識と,実際に使われている英語との間にはギャップがある」という前提に立っています。

その観点から,過去のセンター試験の問題を分析して,「英語の4技能の習得に役立つ文法知識」と,そうでない知識とを仕分けしていきます。

「そうでない(=4技能の習得に役立たない)知識」とは,日本の大学入試の文法問題にしか出ない知識です。

たとえば had it not been for 〜(もし〜がなかったら)などがそうです。

このフレーズは入試の文法問題にはよく出ますが,日本人が英文を読んだり書いたり話したりする際にはほぼ必要ない知識です。

もちろんネイティブがこの表現を一切使わないということはありません。

しかし私自身,今までに自分が読んだ英語の文章の中にこの表現を見た覚えはありません。もちろん自分では使いません。

もう1つ例を挙げます。

この本では,センター試験の読解問題・会話問題中で,それぞれの文法項目の使用頻度を手作業でカウントしました。

たとえば「現在分詞を使った分詞構文」の集計結果は次のとおりです。

・〜ing句+主文=12件 (分詞構文を前に置く形)

・主文+〜ing句=82件 (分詞構文を後ろに置く形)

このデータから,文法の教科書でよく見かける 「〜ingを文頭に置く形」(例:Walking in the park, I met an old friend.)は,

実際には非常に少ないことがわかります。

このようにこの本では,文法の知識を4技能の習得に応用するためのヒントとなる情報をたくさん盛り込んでいます。

基本的には高校教師向けの本ですが,「大人の英文法」を読んでおられる皆さんには役に立つのではないかと思っています。

 

B 桐原書店から,全く新しい英文法学習書が出ます。(2020年発売予定)

「大人の英文法」の記事がしばらく更新できそうにないのは,現在この本の執筆に着手しているからです。

この本は,学習参考書に関しては私のキャリアの集大成の1冊にしたいと思っています。

タイトル(「○○総合英語」)はもう決まっているのですが,現時点では伏せておきます。以下,おおまかに説明します。

(1)この本は「アトラス総合英語」の後継書となります。ただし中身は全く違います。

(2)基本的な性格は高校生向けの(学校採用用)参考書ですが,書店でも買えます。(一般読者にも役立つ内容です)

(3)この本と類書との決定的な違いは,「何を教えるか」のチョイスの違いです。そこには,上のAの本の分析結果も反映しています。

(4)要するに,他の本とは書いてある内容が全く違います。本当の意味で,英語の4技能の習得に役立つ本にするつもりです。

ここではあえて詳しいことは書きません。これをお読みの皆さんには,発売を楽しみに待っていただきたいと思います。

 

この本が目指すのは,「高校生が使う文法参考書」というマーケットにおいて,市場占有率100%を達成することです。

どんなジャンルでもそんな商品は1つもありませんが,この本の最終目標はそこにあり,不可能ではないと自分では思っています。

たくさん売ること自体が目的ではありません。私はこの本を,日本のすべての高校生,すべての英語学習者に使ってほしいと思っています。

なぜなら,この本を使った人と,他社の類書を使った人の間には,英語の運用能力の習得において大きな差が出るに違いないからです。

この本を実際に使った人は,高校生であれ社会人であれ英語教師であれ,こう思うはずです。

「今まで自分がやってきた英語の勉強は,いったい何だったのか?」

いわばこの本は,鎖国状態にある日本の英語教育にショックを与える「黒船」となります。

 

ここで私が雲をつかむような構想をいくら語っても,現物を見なければ話になりませんね。

1つだけ例を挙げておきます。高校生が使っているどの参考書を見ても,「比較級に the がつく場合」という学習項目があります。

そこには次の3つのパターンが挙げられています。

@ the+比較級+of the two (2者のうちで〜な方)

A (all) the+比較級+for/because 〜(〜だからますます…)

B the+比較級 〜, the+比較級 ... (〜すればするほど…)

しかし,これらのうちで実用な見地から知っておく必要があるのは,Bだけです。

逆に,「比較級の前に the がついている」例は,上記の3つ以外にもいくらでもあります。

(例)One of the bigger problems for me is money. (私にとってより大きな問題の1つはお金だ)

「比較級の前にtheがつくのはどんな場合だろう」と自分の頭で考えてみれば,こんなことはすぐにわかります。

しかし日本の英語教師は,文法書をあたかも宗教の経典のように扱い,学習者には中身を丸暗記することを求めます。

それは教育というよりも一種の洗脳です。

文法学習は英語の運用能力を高めることが目的のはずですが,実際には文法を教えることが自己目的化しているのです。

その背景には,そうした洗脳を受けてきた大学入試の出題者が,ダメ問題を量産しているという現実があります。

それを受けて「実用性があろうとなかろうと,入試に出るのだから教えないわけにはいかない」と,高校教師は言います。

学習参考書を作る際には,そこが大きな壁になります。アトラスのときもそうでした。

営業的な都合から言えば,上の@Aのような無駄な知識も載せておかないと,学校に採用してもらえないのです。

したがって英文法参考書の学習項目は,どの本も似たり寄ったりになります。

「ビジョンクエスト」,「ブレイクスルー」,「デュアルスコープ」,「エバーグリーン」,… … そして「アトラス」。

執筆者も編集者も,独自性を持たせようとそれなりに工夫をしているのですが,

営業的な見地からたとえば「比較級に the がつく場合」という学習項目を入れないわけにはいかず,

それを入れれば必然的に上の@Aの説明も必要です。だからどの本も同じような内容になるわけです。

現在執筆している新しい参考書は,この問題を解決しました。

だから内容そのものが類書とは全く違います。その上で,シェア100%の達成は可能だと思っています。

つまり「上の@〜Bをすべて教えなければならない」と考えている高校教師を満足させることもできるということです。

なぜか?それは,現物を見てもらえればわかります。

 

2年後の今ごろには,見本が完成していると思います。そのときには大々的に宣伝します。

この本には,私のこれまでの職業生活のすべてを注ぎ込むつもりです。ぜひ,ご一読ください!

 

C 「大人の英文法」も,いずれは書籍として出版します。

執筆作業はBの桐原の本のあとになるので,発売時期は未定です。

出版社のゴーサインをもらうことはできそうですが,どこの社から出すことになるかは未定です。

何しろ分厚い本になると思うので,制作も大変ですが売れないと大赤字になりかねません。

私の構想では,Bの桐原の本で著者の知名度が上がって,「大人の英文法」も売れればいいなと思っています。

桐原の本は主に高校生向けなので,学習分野の配列などは大枠が決まっています。

しかし一般向けの本なら自由に書けるので,一般的な英文法の体系を一度解体して組み立て直すイメージです。

大西先生の「一億人の英文法」の私バージョン,というところでしょうか。

この本にも,「他のどの文法書にも書かれていないこと」をたくさん盛り込むつもりです。

そして,重視するのは「実用性」と「読み物としての楽しさ」です。

レファレンス型の参考書ではなく,文法概念をかみくだいて説明することに力点を置きます。

「『英語のしくみ』を5日間で完全マスターする本」(PHP文庫)をバージョンアップしたようなイメージですが,

「ネイティブの英語感覚」がどういうものかを日本人が理解できるような言葉で説明したいと思っています。

こちらは,もう少し構想が具体的になったら改めてお知らせします。

 

 

「大人の英文法」のトップへ