● かぶせ釣りのメインターゲットと言えば,まず頭に浮かぶのはチヌとアイナメでしょう。釣期は秋から春にかけてですが,数が釣れるのは12〜1月ころです。ただ,この時期のアイナメは産卵後でやせているものが多く,4〜5月に釣れる丸々と太ったいわゆる「ビール瓶級」あるいは「ポン級」と呼ばれるものが,釣り味・食味ともに抜群です。大型のアイナメは,他のエサ(虫類・モエビなど)には見向きもしないけれどカキでなら釣れる,ということがしばしばあります。

● かぶせ釣りの対象魚としてのアイナメは,なかなか手ごわいターゲットです。この魚の特徴は「いったん口に入れたエサを吐き出す」という点にあります。冬場のかぶせ釣りで,当たりがあってもハリ掛かりしないことがあれば,相手はまずアイナメだと思って間違いありません。


● アイナメ専門に狙うなら,道糸2号・ハリス1.5〜2号くらいでOKです。ハリはチヌバリの2〜4号を使います。食いが渋いときは,ハリの号数を落とすと掛かりがよくなることもあります。活性が高いときは,手元に「コツン」と伝わる当たりがあるので,この瞬間に合わせます。活性が低いときは,カキを吸い込んだ直後に違和感を感じて吐き出します。このときは,「ツンツン」と竿先を揺らすだけで,手元に当たりが伝わることはありません(サシエのカキを吸い取られることもあるし,カキがカラに残ったままになることもあります)。いったん吐き出したエサは,二度と口にしません。合わせが遅れると,最初に説明したようにため,ハリ掛かりしません。活性が高いときは置き竿でも釣れますが,手持ちの竿できちんと当たりを取れるようにならないと,上達は望めません。

● 使うカキは,チヌの場合と同じく,身の白い部分の大きさが親指の先くらいのものがベストです。また,中身のよく詰まった(人間が食べてもおいしそうな)カキを使うことも大切です。釣り上げたアイナメがマキエのカキの身を大量に吐き出すことがありますが,たいていは真っ白い良質の身しか食べていないようです。


● なお,アイナメは取り込み時に特に注意が必要です。この魚は,根にもぐろうとして足元の岸壁に突っ込んでくる習性があります。そのため,素早く巻き上げないとハリスが根ずれで切れてしまいます。必ず「根ずれに強い」タイプのハリスを使うようにしてください。