2000/10/15 up

 〜 昼間に狙う根魚釣り 〜

根魚と言えば夜釣りが主体ですが,私は昼間に根魚を狙っています。釣り方は,次の3種類です。

(A) ウキさぐり釣り    (B) 穴釣り    (C) ぶっこみ釣り

とりあえず,(A)の釣法をご紹介します((B)(C)はまた後日)。昼間に釣行する方の参考になればうれしいです。

釣期

備後地方では10〜1月ごろ。盛期は11〜12月

エサ

生きエビ(これ以外のエサは不可)

タックル

6.2m万能チヌ竿(0号)+スピニングリール(道糸2号)

他に必要なもの

ハリス・ハリ・棒ウキ・オモリ・玉網・エビバケツ・エビをすくう手網

※ベイカが寄っている場合があるので,イカ仕掛けも用意しておくとよい。

私の主な釣り場

田島・天神波止/横田港大波止,沼隈・能登原波止,向島・干汐波止など

● 仕掛けは,特に変わったものではありません。遊動ウキ仕掛けで,ウキは安物の棒ウキ(プラスチック製)で十分です。ウキで当たりを取るわけではないので,感度は関係ありません。オモリ負荷は0.5〜1号くらい。水深が10m以上ある場所では,オモリ負荷2号くらいの丸いウキを使うこともあります。ハリスは1〜1.5号を1.5〜2mと,長めにします(根掛かりしたとき結び直すとだんだんハリスが短くなるので)。ハリスの太さは細くても1号までです。それより細いハリスだと,大物が掛かったときハリス切れで悔しい思いをすることになりかねません。ハリはチヌの1〜1.5号が標準で,小魚のエサ取りが多いときはチヌ0.5号まで落とします。メバル用のハリは大型魚が掛かると伸ばされることがあるので使いません。オモリはタル型(サルカン付き)のものを使います。ウキとオモリが直接触れ合うとカラミやすくなるので,タル型オモリの上5〜10cmくらいのところ(道糸)にジンタン大のカミツブシオモリをつけて,ウキ止めの代わりにします(ウキ止めは高価なので使い捨てにするのはもったいないため)。

● エサは,生きエビ(モエビ)1本です。夜釣りなら青虫に分があると思いますが,昼間に根魚を釣るときは,モエビ以外のエサではほとんど釣れません(カサゴは場所によってはオキアミでもよく釣れますが)。私は千葉に住んでいた頃この釣りをやりたかったのですが,関東では生きエビはポピュラーなエサではないのか,小さな釣具店には売っていませんでした。エビの大きさは狙う魚種によって違いますが,メバルの場合は2.5〜3cmくらいのものがベストです。カサゴ・ソイ・アコウなどを狙うときはもう少し大きいものも可ですが,根魚以外の魚もこの釣りの対象になるので,私はたいてい小ぶりのモエビを使っています。なお,エビをハリへ刺す方法はいろいろありますが,私の場合はシッポをハサミで切ってハリを刺し,腹の中央から後ろ寄りでハリ先を出します。

● 釣り方ですが,まず底立ちをていねいに取ります。この釣りではタナ取りが命なので,タナ取り用のオモリをいろんな場所に投入して,底の状態を探ります。多くの波止では,右図のように足元5〜6mまで先まで敷石が入っており,その先は1m以上の落ち込みになっています。さらに先は,沖へ行くほど徐々に深くなっているのが普通です。

● 次に,ウキ下を調節します。ここがこの釣りの一番のポイントです。ウキ下は,投入ポイント(15〜20m先)の水深よりも30〜50cmくらい深くして,図の@のような状態でエサが底をはうようにします。オモリの下には糸のたるみができますが,ウキは立った状態になっています。

● 以上で仕掛けの準備は完了です。では,釣り開始。モエビをハリに刺して,できるだけ遠くへ仕掛けを投入します。目安は20mくらい。仕掛けがなじんだらウキが立ちます。この瞬間(エサが着底した瞬間)にすぐに当たりが出ることがよくあります。当たりがなければ,仕掛けを徐々に手前へ寄せてきます。このとき,できるだけじわ〜っと,「エビを底から引きはがす」ような感じで竿先を数十センチ上げるようにするのがコツです。

● 理想を言えば,竿を水平に伸ばしたとき敷石の向こう側に仕掛けが届くのがベストです(竿は長いほど有利です)。しかし,竿の長さより敷石の先が沖に出ている場合,竿下まで仕掛けを寄せてくると,上図のAのようにオモリが敷石の上に乗っかって,ウキが寝てしまうことになります。この時点で,ウキの役目は終わりです。あとはウキを無視したミャク釣りになります。ウキ止めを見て仕掛けがどの程度浮き上がったかを確認しながら,敷石の上をなめるようにエビを動かします。要するにこの釣りでは,「エビが泳いで底から浮き上がる動き」を演出するするわけです。当たりは,たいていその瞬間に出ます。ついでに言っておくと,潮の低いときは敷石の沖で,満潮が近くなってくると敷石の上で当たりが出ることが多いです。敷石の上だけで勝負するときは,仕掛けを遠投する必要がないので,海が穏やかならウキを外して純粋なサグリ釣りにした方が有利です。このときは,上記の仕掛けからオモリを外してサルカン(できればビニール製の自重の軽いもの)に換え,ハリの上約5cmくらいのところにB〜3Bのガン玉を打ってやります。これがミャク釣りの基本的な仕掛けです。ガン玉とハリの間隔は,長くても5cm,短ければ2cmくらいでもかまいません。オモリが魚に見えると食いが落ちるように思えるかもしれませんが,そんなことはありません。この間隔が離れすぎると,根掛かりしやすくなります。

● 当たりのパターンは,上図の@の位置(敷石の向こう側)に仕掛けがあるときは,次の2種類があります。

当たりの出方 その当たりで釣れる魚種
(A)ウキを消し込む当たり スズキ(セイゴ)・チヌ・マダイ・メゴチ・マゴチ・ヒラメ・ベラなど
(B)竿先をゆっくり持ち上げようとしたときに,手元に「チクッ」と感じる小さな当たり メバル・カサゴ・ソイ・アイナメ・アコウなど(根魚)

 

● Aの位置に仕掛けがあるときは,上の表の(B)のパターンの当たりを取ります。この,手元に感じる当たりが出たときは,ひと呼吸(5つ数えるくらい)待ってから,じわっと竿先を持ち上げてやります。既に魚がエサを飲み込んでいることもありますが,食いが浅いときはこの動作が誘いになって追い食いしてきます。大きくあおるように合わせるのは禁物です。魚がぐいん!と竿先を持ち込んだら,最初はリールは巻かずに竿の弾力でゆっくり魚を浮かせてから,取り込みに入ります。

● この釣りには,次の2つの利点があります。

(1) 普通のサグリ釣りよりも広範囲に仕掛けを投入できる。

(2) (遠投するので)根魚以外の魚も釣れる。

● この釣りでは,ウキは基本的に「仕掛けを遠くへ投入して,サシエを早く底まで落とす」ための道具にすぎません。手元に伝わる当たりを取るのが基本なので,ミャク釣りの変形と言えます。一見根掛かりが多いように思えますが,ハリスを長くとってサシエが着底する抵抗を少なくしてやると,案外根掛かりしないものです。ただし,水深の変化に応じてこまめにウキ下を調節することが必要です。特に満ちの潮を釣るときは,ウキ下を徐々に深くして,必ずエビが底に着く状態を保ってください。私は自分のような釣り方をしている人を他に知りませんが,多くの人はウキ下を底より若干浅くして,潮に乗せてサシエを流すような釣り方をしているようです。しかし,その釣り方ではほとんど魚は釣れない,と断言します。昼間に根魚を釣るときは,「底に張りついている魚を,サシエのアクションで誘って釣る」という方法がベストだと思います。メバルだけは昼間でも食いが立つと中層で釣れますが,昼間釣れるメバルは型が小さい(せいぜい18cm前後)ので,私はメバル以外の根魚を主に狙っています。

● なお参考までに --- ウキにも変化がなく手元にも何も感じないのに,サシエのエビがきれいになくなっている場合,それはハゲ(ウマヅラハギ)の仕業です。このときは,この釣りはあきらめてください(笑)。この釣り方では,絶対にハゲは釣れません。それから,小さな当たりはあるがエビがかじられて上がってくる,という場合があります。この当たりの犯人としては,3種類考えられます。第1にフグ(クサフグ),第2にイカ(ベイカ),第3にカニ(イシガニ)です。フグはこの釣りでも時々掛かります。イカやカニもまれには掛かりますが,別の仕掛けに切り替えるのが賢明です。

● 今年はまだこの釣りをしていないので,参考までに昨年の釣果から。右の写真は,昨年(1999年)12月12日のものです。場所は田島・天神波止。内訳は,メバル4(19〜15cm)・カサゴ2(26/20cm)・アイナメ1(20cm)。午後1時の満潮前後の約3時間での釣果です。夜釣りほど数は出ませんが,晩のオカズくらいの釣果は十分期待できます。備後地方でのベストシーズンは10月下旬〜1月上旬ごろで,特に年末は毎年各波止で良型のカサゴが釣れています。私も,11月からかぶせ釣りと並行してこの釣りをするつもりです。

● 最後に一言。この釣法は昼間専用であり,夜にやろうとしてもなかなかうまくいきません。夜はウキの動きがつかみにくいからです。また,夜は魚が浮いてくるので,特に底をなめるように釣る必要もないと思います。念のため。