◆ カキ ◆

 

  

● カキのベストシーズンは,1〜3月ごろです。採取場所は,波止・磯の岩場・ゴロタ浜などです。潮位が50cmくらいまで下がった干潮時に採取するのが理想ですが,150〜100cmくらいまで下げれば場所によっては採取可能です。用意するものは,軍手・カナヅチ(片方の先端が尖っているか扁平なもの)・切り出しナイフ・バケツ・長靴といったところ。波止の石垣に付いているのを採るときは,カナヅチよりも釘抜きが便利です。

● 上手な人は,岩についたカキの殻のすきまからナイフ(または専用の貝開け器)を差し込んで,身だけを集めています。ただこの方法はある程度技術が必要なので,初心者はカキを殻ごとバケツに集めて,後からまとめて殻を外す方が簡単だと思います。

● 採取場所を決めたら,まず適当なカキをカナヅチで軽く叩いて割り,中の身の詰まり具合を確認してください。真っ白いミルク色の身が詰まっていれば,そこら一帯のカキはOKです。濁ったような色で透明な感じがあるものは,食用に向きません。いくつか割ってみて,全部同じような生育不良のカキだったら,その場所での採取はあきらめてください。同じ場所のカキでも身の入り具合がまちまちの場合もありますが,これは外から見ただけではわかりません。後で身を取り出すときに選り分けてください。

● カキを集めるときは,石や岩に出っ張った感じではり付いているものを,カナヅチで軽く叩いて取ります。この段階では,まだ殻付きです。石垣のカキを採る場合は,底に釘抜きを当てて引きはがします。平べったいものよりも,丸っこいカキの方が身が詰まっていることが多いです。カキの大きさは好みによりますが,私の場合はあまり大きなものよりも,身の大きさが4〜5cmくらいのものを中心に採っています。

● 食べる分だけ集めたら,カキの殻を割って身を取り出します。要領は,次のとおりです。この方法だと,カキの身のフチに多少傷がつくことはありますが,まず失敗することはありません。

@ カキには,丸くふくらんだ側(表)と平らな側(裏)とがあります。平らな側を下にして置いたとき,貝柱は左側上部にあります(右の写真では平たい殻を外してあるのでの部分)まず,この貝柱の位置を判断してください。

A 平らな側を下にして(扇を広げた形のように)カキを置き,扇の頂点(上部の縁の真中)を先端の尖ったカナヅチで軽くたたいて割り,スキマをあけます。この上部のスキマからナイフを入れて,平らな殻に沿って刃先を左にすべらせると,貝柱に当たります。貝柱をナイフで切ると,平らな殻が外れます。この状態で裏返すと,上の写真のようになります。

B 最後に,丸い方の殻についた貝柱を切り離し,完全に身を殻から分離します。

● 持ち帰ったら調理をするわけですが,一般に知られているように,カキは大根おろしでもみ洗いすると汚れがよく落ちます。なお,生食は基本的に避けた方が無難です。カキで食当たりすると,それはもう大変な苦しみだそうです(私は経験ありませんが)。1〜3月ころのカキなら生で食べてもまず大丈夫だと思いますが,4月以降のカキは必ず加熱してください。5月中旬以降は,食べない方がいいです。また,秋のシーズンは天然のカキはおおむね未成熟です。海で採ったカキを食べるのは正月が明けてから」「生食したければ1〜3月のみ」,と心得ておく方がいいと思います。

● 下の調理例は,カキのすまし汁です。味付けは粉末だしとショウユのみ(味噌でも可)。写真ではカキとトウフ・ネギを使っていますが,とき卵を散らしたり生ワカメを入れたりしても美味しいです。