日記帳(06年3月13日〜3月18日)

 

 

雨降りで釣りに行けず時間があまったので。

 

「フェネック」というアウトドア雑誌にまた頼まれて,今の時期に海で採れる海草や貝の

写真を撮りに行った。海草類はちょうど今が旬で,けさはわりに干潮の潮位も低かった。

天気は曇りで,だんだん雨雲が来るという予報だったので,早朝だけ近場で竿を出す

ことにして,6時過ぎごろ柳津港へ。ほとんど干潮で潮が動かず。数投したところで

庄原のKさんが到着。入れ替わりで場所を譲って,浦崎経由で田島まで行った。

今の時期はいろんな海草が採れるが,全国紙に載せるにはポピュラーなものが

えかろうということで,ワカメ・ヒジキ・フノリ・ホンダワラなどを採取。貝は小型は

なんぼでも採れるが,見栄えがせんので写真はパス。

 

7時半ごろ,坊地でちょっと竿を出してみた。が,すぐ雨が降り出したので撤収。

柳津へ戻ってKさんにワカメとフノリをおすそ分けして,自宅へ戻って即下ごしらえ。

 

 

写真の左は採りたてのワカメとフノリ。右は茹でてきざんだところ。

今晩はこれをキュウリとあえて酢の物にする。

 

このあと仕事場で写真を整理して,フェネックの編集さんにメールで送信。

雨がやんだら釣りに行くつもりでしばらく様子を見たが,なかなかやまず。

一時天気が回復しそうになったが,車に乗って釣り場へ向かうとまた雨。

昼ごろまた柳津へ行ってみたが,Kさんはもう帰った後だった。

 

 

さて,話は変わって。

ここ数日,「世の中にはいろんな人がおるなあ」という思ったことがいくつかあった。

まずは,WBCのアメリカの審判。今回の大会の主役と言っても過言ではない。

それにしても,まさかメキシコがアメリカに勝つとは。アメリカの選手も立場ないが,

これから対戦する日本と韓国も,どっちが勝ってもお互い気持ち悪かろう。

もし韓国が勝ったら,同じ相手に3連敗した日本の選手は恥をさらすことになる。

逆に日本が勝ったら,韓国は「ワシら日本戦を2勝1敗で勝ち越したのに,なんで

決勝戦へ進めんの?」という話に当然なる。まあ,どっちも頑張りんさい。

 

その2。数日前の「報道ステーション」に出演した,山口県の母子殺害事件の遺族

である29歳の男性。この記者会見は,すごかった。経緯は,こういうことだ。

犯人は事件当時18歳の少年で,一審・二審とも無期懲役の判決が出ている。

遺族の男性は極刑(死刑)を求めている。弁護人はつい最近変わったばかりの,

死刑廃止論者の弁護士である。この弁護士が法廷を欠席したために,判決が

延期になったという。遺族の男性は,記者会見でこの弁護士を痛烈に批判した。

驚いたのは,その人の語り口である。思わず聞き入ってしまったが,記憶に残って

いる限り,彼は一度も言葉をトチらなかった。これは,普通考えられないことだ。

あらかじめ用意しておいた原稿を丸暗記してきた,というような状況でもなかった。

しゃべりのプロであるTVアナウンサーやコメンテーターでも,文をいくつか口に

すれば,たいてい一度や二度は言い間違えたり言い直したりするものである。

しかしこの男性は,まるで機械のように流暢に,かつ内容的にも理路整然と,

マイクの束の前で自分の意見を主張していた。感情的には,平静でおられる

はずがない。わざわざ仕事を休んで山口から上京してきたのに,しかも3年間

待ってようやく判決が言い渡されるその日に,明らかに弁護士側の遅延行為に

よって裁判が中断してしまったのだから。ましてこの人は,強姦目的で侵入した

犯人に若い妻と子供を殺され,今は(たぶん)孤独な人生を送っているのだよ。

いろんな意味で,ハラワタが煮えくり返る思いであったろう。それを思うと,

何というか,テレビの中のその人が実際に自分の目の前にいるかのような,

鬼気迫る執念のようなものを感じたのだった。

 

その3。東京地裁の判決。経緯はややこしいのでごく簡単に言うと,「公務員

から得た情報を記事にした新聞記者は,法廷で情報源の人物の氏名を明らか

にする義務があるか?」という話である。新聞記事を読む限り,地裁の判決は

こんな感じである。

 

「公務員が守秘義務に違反して漏らした情報をもとにして書かれた記事に

ついては,記者は誰からその情報を得たかを秘密にすることは許されない。

もし言わなければ,公務員の(守秘義務違反という)犯罪行為に加担したこと

になる。(この判決によって)結果的に公務員からの取材が困難になったとしても,

その分(守秘義務違反という)犯罪が減ることになるのでむしろ喜ばしいことだ」

 

「開いた口がふさがらない」と言うべきか。教師にも警察官にも聖職者にも,

どんな職業であれメチャクチャな人は一定数含まれている。裁判官の中にも,

そういう人がおるのだなあ。新聞やテレビは「報道の自由」とか「国民の知る権利」

とかカタいことを並べているが,そもそも上の判決には素朴な疑問がある。

それは,「取材源を語らないこと」は,いったんどんな「罪」として裁かれるのか?

ということだ。オウムの麻原にさえ,法廷での黙秘権はある。被告が公務員なら,

何かの法的な規定が適用できるかもしれない。しかし,新聞記者は民間人である。

偽証が罪になるならわかるが,「語らない」ことが罪になるのか?という気がする。

 

また,上の判決のロジックには,穴があると思う。守秘義務に違反して公務上知り

得た秘密を新聞記者に漏らした公務員が仮にいたとしたら,裁かれるべきはその

公務員である。しかし記者が情報源を秘密にした結果としてその記者の方が裁か

れるとしたら,その記者は罪を犯した公務員の「身代わり」として罰を受けることに

なる。「それがイヤなら真犯人を吐け」と,上の判決は主張しているように響く。

言うまでもなく,記事の真実性に対しては当然記者自身が責任を負っている。

取材源を明かさないことで記事の真実性が証明できず,結果的にたとえば名誉

毀損が成立するようなことは起こり得るだろう(民主党の偽メール事件と同じ)。

しかし,取材源を明かさない限り「真犯人」がいるかどうかはわからないのだから,

「取材源の秘匿」という行為が「真犯人の犯罪(=公務員の守秘義務違反)に加担

した」ことの証明になることは決してない。要するに上の判決は,(いるかどうかも

わからない)「真犯人」の存在を前提としなければ成り立たない理屈であり,記者が

取材源を秘匿する限りその(真犯人の存在という)前提が証明されることはない。

つまり,堂堂巡りである。「ロジックに穴がある」とは,そういうことだ。

 

ホワイトデーのことを全然忘れとったことに,3月15日になって気づいた。

コンビニにもなんも売ってなかったので,15日は夕飯を作ってアップルケーキを焼いた。

「これでホワイトデーのプレゼントの代わりにしてくれい」と言ったら,「いつもやっとる

ことじゃん。ありがたみがないわ」と子供らに言われた。いろんな意味で,おまえらな−!

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