日記帳(07年6月25日〜7月1日)

 

 

現在,7月1日(日)の午後2時半。最近,釣りには行っても釣り日記に出せるほどの釣果が

なく,日記帳でお茶を濁すパターンが続いていたが・・・今日も同じ結果になった。

 

今日は「月刊釣り仲間」の取材で蒲刈へ。気合いを入れて夜中の3時半に家を出て,

向Aに着いたのが5時ごろ。車を降りると声をかけられた。能登原のyさんだった。

昨夜から来て車中泊とのこと。その後,ツカポンさん,西条のムラカミさん,ヤギマスクさん

さらに7時ごろには真打ち・倉敷のAさんまで来られて,ヤギマスクさんはC,他の4人はAで

竿を出した。今日は満潮が10時ごろの大きい潮で,曇天弱風の好条件。誰かに本命が

ヒットしたら取材は成立したが,残念ながら満潮過ぎまでに全員ノーヒット。ヤギマスクさんに

1回だけ本命っぽい魚が掛かったが,ハリスを切られたとのこと。途中,倉敷のマサさんから

情報提供の電話が入ったが,今日はAチームには本命らしき当たりは全くなし。

しかし,手土産は一応ゲット。中型のマダコ。既に足2本は刺身になって冷蔵庫へ,残りの

6本はナベの中でぐつぐつ煮込まれている。

 

 

「月刊釣り仲間」とはどうにも相性が悪く,ボツ取材ばっかりで申し訳ない。しかしこのまま

引き下がるのも悔しいので,次回は取材抜きで2週間後か4週間後にまた狙ってみたい。

ちなみに,きのうの土曜日は須波へちょっと様子見に行ってみた。サンマが回遊していて,

波止の際を群れが行ったり来たりしていたが,サビキにはほとんど釣れてなかった。

数日前には入れ食いで,サビキ仕掛けに一度に数匹掛かったりしたらしい。

今日帰りに寄った蒲刈・丸谷港でも,先週は港内でだいぶサンマが釣れたとのこと。

味はよくない,と釣った人たちはみんな言うが,話のタネに一度釣って食べてみたい。

以上,釣りの話は終わり。

 

 

きのうの中国新聞の朝刊のコラムに,光市の母子殺害事件の裁判への感想が載っていた。

コラムニストの知人の弁護士は,あの「母胎回帰」うんぬんの動機について,「弁護団が

でっち上げたものではないはずだ」と言ったそうだ。素人的に言えば,どう見てもあれは

弁護団が作り上げたシナリオを被告に忠実に語らせているだけのようにしか思えない。

ところが・・・プロの見方はどうやら違うらしい。おとといの金曜日,広島で昔の仕事仲間が

集まる会があった。その中に今は弁護士をしている友人がいたので,ちょうど話題になって

いるこの事件の感想を聞いてみた。すると彼も,新聞のコラムニストの知人の弁護士と全く

同じ回答をした。いわく,「今回新たに出てきた動機は,被告が語った話をベースにしている

と思う」。これはまあ,同業者に味方したくなったのだろう,と解釈することもできる。しかし,

今回の21人の弁護団の中には彼の知り合いもいるとのことで,彼の話によると,弁護団も

必ずしも一枚岩ではないようだ。まず,Yという弁護士については「何を考えているのかよく

わからない」。これは,世間一般の感覚とも一致する。他の弁護士の中には,付き合いで

仕方なく・・・という感じの人もいるらしい。何より驚いたのは,「結局判決はどうなるのか?」

と聞いたとき,「当然死刑だろう。21人の弁護士たちも全員そう思っているはずだ」と彼が

答えたことだった。あの被告が死刑にならない,などと思っている弁護士は一人もいない,

と彼は断言した。まさか?という気がした。あの弁護団の人々は,正直に言って,一種の

妄信的な新興宗教団体のように素人目には映っていたからだ。被告に死刑判決が出る

ことを確信しながら,あれほど真に迫った「演技」ができるのは,さすがプロとしか言いよう

がない。しかし一方で,死刑が確定的な被告に関してあんな狂言じみたストーリーを法廷で

展開することにどんな意味があるのか?--- ここからが我々素人とプロの弁護士との違う

ところで,彼はこのように言う。

 

「弁護士というものは,被告が孤立無援で周囲から責められれば責められるほど,『弁護士

の自分が守ってやらねば』と考える習性がある。そして今回の弁護団は,世間の非難を

浴びる(仕事の依頼が減る可能性も高い)ことまでも覚悟の上で弁護を行っているわけで,

少なくとも広島地区から弁護団に参加している人たちにとって,今回の裁判は売名行為など

では決してない。自分の収入が減るリスクを負ってまで,あえてあの元少年の弁護をしようと

する姿勢には,同業者として頭が下がる。」

 

言われてみると多くの弁護士は,今回の弁護団をそのような目で見ているのかもしれない。

弁護士も商売であり,今回の弁護は一種のボランティアである。同じ弁護士として,自分に

同じことができるだろうか?--- 自ら率先して過疎地の医療に当たる有徳の医師に対して

同業者の医師たちが抱くのと同じ種類の敬意を,一般の弁護士たちは21人の弁護士たち

に対して感じているのかもしれない。

 

しかし素人には,「少年を弁護しなければ」という職業倫理は理解できても,だからといって

クロをシロと言いくるめるのは別の面で倫理に抵触するように思える。そこで,「本人が全部

罪を認めて『早く死刑にして欲しい』と言ったら,どう弁護するのか?」と彼に質問してみると,

「たとえ本人がそう言っても,弁護士は彼を弁護する義務がある」という答えが返ってきた。

要するに法廷はディベートの場であって,片方が降りてしまっては議論が成り立たない。

だから弁護士は,形式的に議論を成立させるために,相当ムチャな理屈を持ち出さざるを

得ないケースもままある。そんなときは,弁護士・検察・裁判所が一種の「談合」を行い,

阿吽の呼吸で「ここで弁護士が主張していることは,裁判の形を整えるためのポーズで

あって,判決に際して考慮する必要はない」というようなことをお互いが了解し合いながら

審理が進むことはままある,という。そりゃそうだろう,ということは素人でも理解できる。

だとすると今回弁護団が新たに持ち出してきた一見ムチャクチャなストーリーは,プロの

目から見れば一種の「手続き」の一つにすぎず,たまたま世間で大きな話題になっている

事件だからクローズアップされているだけで,同種のことは普通の裁判でも行われている,

と見るべきなのかもしれない。そこまで考えると,あの21人の弁護士たちに対して,まるで

異端者を見るような目を向けていた自分の態度は間違っていたのかもしれないな,とも

思うし,プロの考え方を聞くことによって自分の「世間的視野」が一つ広がったような気にも

なるのだった。

 

ところで,話のついでにその弁護士の友人に,「裁判員制度」に対する感想も聞いてみた。

「やってみたらええんじゃないん?」というのが彼の結論だった。彼に聞いてみたいことは,

2つあった。まず,「裁判員は弁護士や検事のパフォーマンスに騙されるんじゃないか?」

ということだ。だから「自分が被告なら,裁判員には自分の裁判に加わってほしくない」と

言ったら,彼の意見は少し違っていた。被告は裁判員が裁判に加わるかどうかを自ら

選択できるが,裁判員が加わると(有罪無罪の判決はさておき)量刑的には従来より

軽い判断が下される可能性が高いのじゃないか,と彼は言う。なぜなら,弁護士の目から

見て,さまざまな個人的事情を抱えた被告を目の前にすると,普通の人は必ず同情心が

沸くからだそうだ。弁護士はたいてい被告の味方をする立場なので特にそうなのかも

しれないが,これも確かに納得できる話ではある。逆に言うとプロの裁判官にはそういう

「同情」をさしはさむ姿勢は基本的にないわけで,そのことが彼の「やってみたらええ」と

いう意見につながっている。第2の質問として「裁判員制度はプロの裁判官のプライドを

大いに損ねるのではないか」と彼に尋ねると,「それはその通りだが,むしろその方が

いい」という趣旨の返事が帰って来た。弁護士一般が判事をどういう目で見ているかは

知らないが,彼から見ると判事は机の上でしか物を考えないタイプのエリートであり,

やはり一般人の感覚とはズレがある(彼の立場から言えば,量刑の判断が厳しすぎる)

らしい。そうすると,裁判員制度もやはり,法曹関係者からは歓迎されているのだろうか。

 

この日は二次会で,カープの元投手T.Sさんが経営しているスナックへ初めて行った。

本人が店にいて,顔を見たらすぐわかった。その日はお客は満杯で,マスターのT.S

さんは,テレビの解説などもしていた有名人だけあって気さくな感じのいい人だった。

当然野球の話になった。その日は市民球場でカープ対巨人の試合があって,カープは

先発のフェルナンデスがめった打ちに合い大敗した。「ナックルは風があるとコントロール

が難しいらしいから,彼はドーム球場だけで登板させた方がええんじゃないですかねえ」と

言うと,「風があったら投げられんなんて,ピッチャーじゃないですよ」とT.Sさんは言った。

そりゃそうだ。プロ野球関係者もこの店にはよく来るらしく,スカウト本人から聞いた話と

して,広島出身で現在某球団の主力である某内野手の契約金のことも教えてもらった。

当時もかなり話題になったが,噂話でしかなかった。だいたい噂は正しかったようだ。

最初にカープが1億,次にT球団が4億,最後にG球団が5億を提示して落札したという。

その店にはカラオケもあって,しばらくすると一人の客がマイクで1曲歌い出した。

えらい上手な人じゃなあ,と思っていると,なんとその人は広島では有名なプロ歌手の

南一誠さんだった。プロ野球の面白い話の加えてプロ歌手の歌までタダで聞かせて

もらって,ラッキーな日だった。

 

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