日記帳(07年7月22日〜8月26日)

 

 

この1か月ほど,ほとんど釣りにも行かず(暑さで行く気にならず),仕事場にこもりきりだったせいで,

仕事は順調にはかどった。8月だけでも,6つのクライアントに大小とりまぜて11本の原稿を提出した。

それでも仕事はまだまだ山のようにあり,全然ヒマになる気配はない。ついでに言うと,これだけ仕事

している割には会社の通帳にあまりお金が入ってこない。待っていればいずれは入る金ではあるが,

仕事の報酬が手に入っていないうちは,あまり気分よく「打ち上げ」をする気にもなれん。

 

大きな仕事が2,3本終わって一段落したので,今日は先週に続いて朝の7時ごろから3時間ほど

干汐でチヌを狙って紀州釣りをしたが,ボラが邪魔して30cm弱を1枚と手の平級を1枚上げたのみ。

 

きのうの土曜日は,昼から映画を1本見た。タイトルは「キサラギ」。ここ2,3年のうちに見た映画の

中では一番面白かった。去年は「嫌われ松子」や「フラガール」や「かもめ食堂」など話題作は一通り

見たが,どれも今イチだった。「キサラギ」,最高!福山ではシネマモードで上映しています。興味の

ある方はぜひ。内容は,自殺したアイドルの一周忌にネットで知り合った5人の男たちが追悼会を

開き,話し合ったり殴り合ったりする。それのどこが面白いのか?と思うだろうが,見ればわかる。

途中から「なるほど,こういう展開か」ということがだんだんわかってきて,推理力が刺激される。

ストーリーがクロスワードパズルのようにきっちりしていて,終わり方もきれいにまとめてある。

詳しく書くとネタがバレるのでこれ以上は省くが,個人的には今年のイチ押しの映画だと思う。

 

暑くなってからは,釣りより映画館へ足が向く。しかし夏休みは,あまり好みでない映画が多かった。

基本的にアクション映画と恋愛映画はあんまり好きでないのだが,福山市内の大きい映画館で

上映しているのは「西遊記」や「トランスフォーマー」的なのばっかりで,仕方なく小さい映画館へ。

2週間前に,アニメ映画「ピアノの森」を見た。予想どおり原作の単行本第5巻までの内容にほぼ

忠実に作ってあったが,いくつかのエピソードを省いたために物語の奥行きがなくなって,映像は

きれいだったが原作の半分も感動できなかった。マンガの原作をアニメや実写のドラマにしても,

なかなか原作を超えられないことが多い。もう1つのアニメ「河童のクゥと夏休み」は,結局見に

行かなかった。少年の見つけた河童が金儲けをもくろむ大人の争いに巻き込まれる,という予告

を見て,「景山民夫の『遠い海から来たCoo』のパクリじゃん」と思ったので(タイトルも似ている)。

そういうわけで,「夕凪の街桜の国」も見なかった。原作を読んだらもうええわ,という感じ。

 

その前の週は「歌謡曲だよ!人生は」を見た。10人の監督が昭和の名曲をバックに作った10本の

短い映画を並べたものだが,映画にする必然性がない(コントの延長のような)ものが多く,映画を

作るのはなかなか難しいことだとつくづく感じた。これは,その前に見た「大日本人」にも言える。

あんなマニアックな笑いのネタを,外国人が理解できるわけがない。特に前半はうんざりするほど

退屈した。

 

それで思い出したが,ヨメと下の娘が今夢中になって,文字どおり食い入るように見ているテレビ

ドラマがある。タイトルは「女帝」と言い,これも原作はマンガである。内容は,ホステスの世界で

文字通り「女帝」を目指す若いヒロインの成り上がり物語だが,何があそこまであいつらを熱く

しているのか,オヤジにはわからない。いっぺん頭の中をのぞいてみたいものだ。

 

最近読んだ本では,今読みかけの「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(洋泉社)は

なかなか「面白い」。ただしその面白さは,「トンデモ本」のそれに近い。特にデータの解釈に

関して筆者の主張はかなり強引であり,書いてあることの全部を信じてはいけない本だと思う。

その典型が,冒頭に出て来るペットボトルの話である。筆者は「ペットボトルの使用量が増加

したのは,リサイクルを始めたからである(結果的にリサイクルされないペットボトルも増えて

ゴミになるから,リサイクルはやめた方がいい)」と言っているが,この因果関係の説明は

非常に疑わしい。筆者によれば「一般人はペットボトルがリサイクルされると思い込んでペット

ボトルをどんどん使っている(実際はリサイクル業者が引き取ったペットボトルはほとんど

焼却されている)」と言う。しかし実際に多くの消費者がペットボトルを使うのは,単に便利

だからであり,リサイクルされるかどうかを意識している人は少ないだろう。もしも筆者の

主張が正しければ,リサイクルをやめればペットボトルの消費量は減るはずであるが,

たとえリサイクルをやめても消費量が減るようなことは起こりそうにない。

このようにデータの解釈にかなりのバイアスがかかっているだけでなく,ネットで検索して

みると,引用されたデータ自体が捏造であるという。よく売れている本だからよけいに注目を

集めるのだろうが,本を実際に読んでネットでその批判を読めば,2倍楽しめると思う。

 

1か月ほど前にブックオフで105円で買って読んだのが,「鉄槌!」(いしかわじゅん)だ。

BSマンガ夜話でおなじみの漫画家・いしかわじゅんが7年前に出した本で,出たときに

買う気はあったがハードカバーの高い本なので結局買わず,最近になって読んだ。

内容は,乗り込んだスキーバスに途中で置き去りにされた筆者が自分のマンガの中で

バス会社の悪口を書いたらその会社から裁判を起こされ,その裁判のプロセスを文章で

書きつづったものである。筆者が最初にかかわった弁護士が一種の詐欺師だったという

話にも驚いたが,大きい会社が裁判という手段で個人を恫喝しようとする様子がよくわかる。

自分自身の経験とちょっと似たところがあるので,筆者の怒りはよく理解できた。

 

 

全然話は変わって,夏の甲子園の決勝戦について。テレビは見ていなかったので,

広陵の中井監督が言う「佐賀北に対するえこひいきの判定」が実際にあったのかどうかは

わからない。ただ,その後の新聞報道などによって,およその雰囲気は想像できる。

それまで完全に抑えられていた佐賀北高校が8回裏にチャンスを迎えたとき,球場全体が

阪神に対する阪神ファンの応援のような雰囲気になったこと,広陵の捕手が捕球後,監督に

よれば「普段は絶対にしない」ような態度を取ったこと,試合後のインタビューでも意味深な

発言をしたこと,そしてとりわけ,佐賀北の優勝に対して高野連の会長が「普通の公立高校が

優勝したことは喜ばしい」という発言をしたこと。プロではない審判の頭に「温情」がよぎった

としても不思議ではない。広陵が4対3で勝ったら一番よかったのだろうが。それにしても,

高校野球のトップが『公立高校が勝ってうれしい』と発言するのは,ふざけた話である。

それではまるで,広陵その他の私立高校の選手や関係者たちが悪者のようではないか。

おそらく彼らの頭の中には「理想的な高校野球」のイメージがあり,そこからはみ出すものを

排除しようとする(保守派と呼ばれる人々に共通する)心理が働いているのだろう。しかし

私立学校にしてみれば高校野球は「学校経営」のための一つの手段であり,それ自体を

責めることはできない。少なくとも選手たちには罪はない。広陵の選手たちが今回の件で

心に傷を受けていないことを祈る。

 

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