日記帳(07年12月25日〜08年1月20日)

 

 

2007年のうちの会社の売り上げを月別に集計すると,こんなふうになる。

 

 

去年を振り返ると,8月が一番きつかった。仕事が一番忙しい時期であった上に,

なかなか金が入ってこなかったので。いずれ入る金とはわかっていても,手元の

通帳に入金されるまでは落ち着かない。まだ未収の金もだいぶ残っているが,

3月までには回収できるだろう。一種の自営業になって改めて思うが,月々の

収入にこれだけ差があると,入金の額に応じて毎月精神的な余裕の度合いが

違ってくる。最近はフトコロが暖かいので,金銭的なプレッシャーはない。

 

 

今は1月20日(日)の日曜日の午後1時過ぎ。朝からみぞれ混じりの雪が降っている。

もちろん釣りには行ってないし,行く予定もなかった。仕事にどっぷり浸かっている。

今日は広島で駅伝が行われているが,夜に録画で見るつもりだ。

本当はこの日記を書いている時間も惜しいが,ちょっと気分転換に。

 

今の心境は,たとえて言えば恋に落ちた15歳の少女のような・・・すまん。気持ち悪いな。

初めて成人映画を見に行った15歳の男の子のような・・・同じか。

とにかくそういう,異常にテンションの高まった状態にある。「異常に忙しい」のではない。

 

年末年始にいろんなテレビ番組を見たが,ダントツに面白かったのは,年末に民放で

放送されたマグロ漁の番組だった。青森県大間の3人のマグロ漁師が,それぞれの

事情や思いを掛けて1匹何十万円もするマグロの一本釣り漁に挑むドキュメンタリー

仕立てだったが,「結婚する息子の結納金にどうしても百万円がいる」とかドラマ性が

あって,3人ともそれぞれの物語を完結させているところが凄かった。話ができ過ぎて

いるので,ヤラセが混じっとんじゃない?という疑問もなくはない。しかし,たとえ番組の

9割が捏造だったとしても,全然かまわない。誰かに迷惑がかかるわけじゃないし

(ちなみに時点は,NHKで放送された「技能五輪」の番組だ)。大みそかはヨメの実家で

紅白を見たが,本当は無人島スペシャルの方が見たかった。あれも当然演出が入って

いるだろうが,「獲ったどー!」のカタルシスが気持ちよい。紅白では「吾亦紅」が印象に

残ったが,ホンマにあんたが作詞作曲したん?と思うくらい,さだ調の曲だった。誰も

知らないと思うが,すぎもとまさとは作曲家になる前,ニューミュージックの歌手だった。

今から20年以上前のことだ。今と変わらないハスキーな声で「30のバラード」とかシブい

曲を歌っていた。当時はファンだったのだが。

 

で,再び今の心境をたとえて言うなら,一本釣りの漁師が,体長3メートル・重さ1トン級の

超巨大マグロをフッキングさせたような感じだ。取り込めたら莫大な値がつきそうだが,

もたもたしているとサメが寄ってきて食いちぎられるかもしれない・・・

 

 

マグロとは何かと言うと,本の原稿だ。ただの本ではない。ベストセラーになるかもしれない

畢生の力作である。ここ1週間ばかり寝ても覚めてもこの本の原稿書きのことが頭から

離れず,時間が惜しいので今日も朝の6時過ぎから出勤してパソコンに向かっていた。

この本(英語の本ですが)の構想じたいは前からあったが,原稿を書くのに時間がかかるし,

思うような仕上がりになるかどうか・・・と着手をためらっていた。しかし,正月明けに急ぎの

仕事がなかったのでちょっとプロトを作ってみると,「これはイケる!」と確信するに至った。

で,その後は午前中ルーチンの仕事(別の市販本の原稿書き),午後からはこのマグロ

との格闘が始まった。ここ数日は昼夜を分かたずひたすら格闘しているが,進捗状況は

まだ1割くらいか。しかし,今まで30冊以上の本を書いてきたが,これほど「売れる確信」が

持てた本は1つもない。もちろんどの本も書き上げた時点ではそれなりに満足感があるが,

「これはたぶん売れるはず」と自分で思えた本は数冊くらいしかない。その予想は外れる

こともあり,当たることもある。「これはダメかな?」と思った本が意外に売れたこともある。

今のところ,自分が書いた市販本(小池さんと共著)で,一番売れているのはこの2冊だ。

(学参は出版社の印税計算が複雑で発行部数がよくわからない)

 

@「中学英語を5日間でやり直す本」(PHP文庫)<2004年2月発売>

A「英語力テスト1000」(PHP文庫)<2005年9月発売>

 

@はあまり期待してなかったが,今のところ71,000部。Aは売れる期待が大いにあり,

現在61,000部が売れている。Aは書き上げた時点で「目標は10万部」と思ったが,

現在続編が校正段階なので,シリーズ累計で10万部に届く可能性は十分ある。

 

今までで自分で一番売れそうな感触のあったAは,それでも「間違えて10万部くらい

売れてくれんかなあ」という程度だった。しかし今書いている原稿は,最低でも10万部,

あるいはまさかのミリオンセラー?というくらいの手ごたえがある。宝の山を掘り当てた

気分だ。そもそも,本を書くとき一番大変なのは,「出版社に企画を通してもらう」ことで

ある。ふだんは小池さんと相談して簡単な企画書を作り,小池さんを通じていろんな

出版社を当たってもらうが,あれだけ莫大な著作を持つ有名人である小池さんの力を

もってしても,通る企画よりボツになる企画の方がずっと多い。今書いている本の場合,

まだどこの出版社にも企画を上げていない。完成した原稿を見せる方が,判断しやすい

と思うからだ。そして,完成原稿を見せれば,どこの出版社であろうとゴーサインが出る

はずだと確信している。それくらい,今書いている原稿には自信がある。唯一の問題は,

横からサメに食われること,すなわち同じアイデアを持った他の誰かが先に類書を

出してしまうことだ。しかし,たとえ同じ着想を持っても,おいそれと具体化できるもの

ではない。市販本の原稿はいつもだいたい2〜3週間で書き上げるが,このマグロは

完全に仕留めるまでに最低でも2か月くらいはかかりそうだ。一刻も早くこいつを船に

引きずり上げたい,そのためには他のことなど構っちゃおれん・・・・・

 

というわけで,他の仕事をほっぽり出して,この原稿にかかりきりになっている。当然,

釣りに行っているヒマなどない。年末にうちのHPの常連さんの一人から「ミクシィに

入りませんか」と誘われたが,すいません△さん,今こういう状況なもんで,仕事が

落ち着いてからにします。

 

ところが間が悪いことに,きのうのセンター試験で,英語の出題傾向が今年もまた

かなり変更されていた。さっそく得意先のひとつからきょう電話がかかり,「センターの

新傾向に合わせた問題集の原稿を書いてください」と頼まれた。「今はそれどころじゃ

ないんじゃ!このマグロを仕留めたら,遊んで暮らせるほどの金が入るかもしれんのに」

と仕事を断ってもよかったが,さすがにそこまで妄想を暴走させてはまずいので,一応

仕事を受けた。今抱えている別の市販本(締め切りも1月末)は多少遅れてもかまわない。

センター問題集は3月発売なので待ったなし。お宝を目の前にして残念ではあるが,

マグロの取り込み作業は一時中断せざるを得ない。釣りにも当分まともには行けそうに

ないが,まあええか。2月は寒いし。

 

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