日記帳(08年1月28日〜2月3日)

 

 

現在時刻は,2月3日(日曜日)の午前8時過ぎ。今日は朝から雨で,釣りはパス。

午前中は仕事をして,午後は上の娘の振袖(来年の成人式用)の予約に行く。

成人の日が近づくと貸衣装の店は予約が殺到するので,1年前に予約するのが

普通だそうだ。その1日のために大量の着物の在庫を用意しておく必要があると

いうのも,貸衣装店にしてみればあまり効率的ではないだろうが。

 

その上の娘(大学1年生)には,最近こんなことがあった。アルバイトを始めて

1か月近くが経ったある日,面倒なので仕事を当日にドタキャンした。「風邪を

ひいたので」と言って別の人に代わってもらおうとしたが,バイト先の責任者から

「どこの病院で診察を受けたのか,確認するから病院名を言え」と問い詰められ,

適当にごまかそうとしたら先方が激怒して,結局1か月分のバイト代の支払いを

自ら辞退してそのバイト先を辞めたそうだ。1か月分タダ働きをしたことになる。

まあしかし,それも社会勉強だ。そういう金銭的な痛みを感じないと,仕事の

厳しさもわかるまい。ちなみにそのバイト先とは,「コーヒーレディ」,つまり

パチンコ屋でお客にコーヒーを配って回るアルバイトである。ただ注文を待って

いればよいわけではなく,売り上げのノルマがあるそうだ。

 

きのうの土曜日の夜は,その娘が帰って来たので久しぶりに家族4人で尾道の

旬彩」へ行った。外観が変わっていて,客席が増えていた。店内はほとんど

満杯だったので安心した。あの店が潰れては寂しいので。料理は1人5千円の

コースを注文し,相変わらず美味しかったが,娘らは「肉が食べたい」と言う。

おまえらが「旬彩へ行きたい」ゆうたんじゃろーが!

その後自宅近くのカラオケへ行き,ほとんど娘らに歌わせて,オヤジも数曲

歌った。UGAの部屋が空いてなくDAMへ入ったが,DAMはUGAより格段に

曲数が少ないので物足りない。「コバルトブルー」(THE BACKHORN)とか,

「黒いカバン」(泉谷しげる)とかを歌った。

 

そこから遡って言うと,きのうの午後はずっと仕事をしていた。午前中は,

瀬戸田・名荷港の岸壁「月刊釣り仲間」の取材を受けていた。しかし,

HPの常連さん2人が応援に駆けつけてくれたにもかかわらず,3人がかりで

キープしたのは,絵にならないサイズのコブダイ2匹のみ。取材はボツとなり,

来週仕切り直しをすることになった。午後が満潮の潮なのでめんどくさい。

駆けつけてくれた2人とは・・・まあ失敗したから名前を出すのはやめとこう。

 

仕事の方は,金曜日までに中くらいの仕事を2本片付けて,明日の月曜日

からの週はとりあえず小さい仕事が2本入っているだけなので,「大物」の

原稿との格闘に時間を割ける。この大物は,10mくらいたぐり寄せたが,

まだ200m沖くらいでのたうちまわっている。

 

数日前,1枚のハガキが来た。差出人は「月刊釣りサンデー」の編集部。

3月1日発売の4月号をもって「釣りサンデー」は廃刊となり,ウェブマガジン

に絞って情報を提供するそうだ。去年も取材を受けた雑誌なので寂しい。

紙面がなかなか凝っていて,「釣り仲間」と比べると制作費が2ケタくらい

違う感じだったが,社員の皆さんの仕事は大丈夫だろうか?

そう言えば,以前仲間に入れてもらっていた「めじっこクラブ」も,去年で

解散したと,管理人さんからの今年の年賀状に書いてあった。何事も,

継続するのは難しい。

 

最近は休みの日もなるべく多くの時間を仕事に費やしているので,ほかの

ことをする余力がない。せいぜい本を読むくらい。最近読んだ本で印象に

残ったのは,次の2冊だ。

 

@「下流食い−消費者金融の実態」(須田慎一郎・ちくま新書)

A「なぜ日本人は劣化したか」(香山リカ・講談社現代新書)

 

@は武富士やアイフルなどの大手消費者金融やヤミ金の実態のルポで,

取材現場の描写が生々しい。その中に「サラ金の悪魔的ビジネスモデル」

というのが出てくる。大手サラ金が採用している27%の年利で計算すると,

「200万円を借りて月々4万5千円ずつ返済した場合,永遠に借金が

減らない」。そして,サラ金ではそういう客が「上客」なのだそうだ。貸した

金をきっちり返済する客は歓迎されず,いつまでも借金を抱えたままの

状態にキープしておくために,サラ金は過剰融資などあの手この手の

手段を使う。もちろんそれは消費者金融に勤める個々の社員の問題では

なく,サラ金が採用しているビジネスモデル自体が「悪魔的」なのだ,と

筆者は指摘している。これを読んで,構造は同じではないが,何となく

今の日本も「悪魔的な経済運営モデル」になっているような気がした。

元凶は膨大な財政赤字にあり,これはサラ金からの借金に似ている。

それを返済するために,「経済成長によって税収を増やす」という方向性が

採用される。結果,中小企業は淘汰されて「競争力のある」大企業だけが

残っていくが,それらの企業もまた国際競争にさらされて,自転車操業の

ように「耐えざる成長」を余儀なくされる。内部留保を増やすには,余計な

経費はできるだけ節約したい。ターゲットは人件費である。正社員の数は

極限まで絞り込まれ,スタッフの大半は非正規職員となる。それでも

経費がかさむときは,会社の根幹をなす人事管理の拠点までも中国に

移し,本社人事部社員のクビを大量に切るようなことまでもする(NHKの

特集でそういう番組をやっていた)。正社員は「名ばかり管理職」などとして

低給でこき使われ,非常勤社員はさらに低い賃金と不安定な身分に苦しむ。

各企業は,それが国際競争を生き抜くための最善の策と信じて疑わない。

結果的に,たとえ経済成長が達成できたとしても,勤労者は誰も幸福には

なれない。会社の経営者や幹部も同様である。彼らは「いつ会社が潰れたり

乗っ取られたりするかもしれない」という恐怖と戦っているわけで,「格差が

広がって上流の人々だけが幸福をつかめる」と一概には言えない。

実際,今の日本のリーダーたちの多くの姿を見ていると,あたかもかつての

軍国主義を見るような思いさえする。彼らは「国の経済力を成長させることが

国民の幸福につながる」と考えて,結果的に多くの国民の「人生」を台無しに

している。その姿は,「敵国に勝つことが日本のため,ひいては個々の国民の

ためだ」と信じて戦争に突っ走ったかつての軍隊とダブって見えてしまう。

 

なお言うなら,そういう不幸な現実の背景として,「世界の中のごく一部の人々

(=アメリカの投資家たち)のマネーゲームに,他の多くの国々の一般人たちが

巻き込まれている」という図式がある。NHK職員による株のインサイダー取引

が社会問題化して「日本はマスコミ関係者への規正が緩すぎる」という指摘が

あったとき,各国の実態が紹介された。それによると,アメリカでは日本よりも

厳しい規制を敷いているが,ヨーロッパの国々ではそうした規正の必要性さえ

あまり意識されていない(なぜなら,株取引をする人間が少ないから)だそうだ。

その事実,あるいはここ数年頻繁にニュースを賑わせるアメリカ資本による

日本企業の買収の話題などを見るにつけ,「大量の資金を持っている集団が

その金を右から左へ動かすだけで『濡れ手に粟』の大金を稼ぐ」という現実と,

そうした金の流れが世の中に与える悪影響の大きさに慄然とする。ガソリン

価格の高騰がその典型であることは言うまでもない。金持ち同士でゲームを

するのは勝手だが,無関係な一般庶民までそのゲームに巻き込むのはやめて

もらいたい。もっとも,日本の国民の9割がそれと同じ思いを共有したとしても,

それで事態が好転するわけでもない。言ってみれば,負け犬の遠吠えではある。

 

Aの本についても書きたかったが,時間が惜しいので続きは次回の日記で。

 

 

日記帳の目次へ戻る