日記帳(08年5月26日〜6月15日)

 

 

今日の日曜日は,GW以来となるかぶせ釣りを須波でやってみた。

早朝から満潮の8時まで釣って,時々フグの当たりがあっただけ。

帰りぎわにリリースサイズのコブダイが1匹。これで終了。

最近は朝の1〜2時間だけ竿を出して,小イワシやキスをちょっとだけ

釣って(またはボウズで)帰るパターンが続いたため,釣り日記は出せず。

何やかやで生活に追われて,この日記を出すのもままならない。

 

今は15日(日)の9時半ごろ。午後は家族で福山美術館へ日展の巡回展を

見に行く予定。最近,土曜はほぼ仕事モード,日曜は仕事3割・家の用事など

5割・ヒマつぶし2割,という感じのことが多い。先月,成り行きで犬を飼う

ことになった。今度の犬は室内犬のポメラニアンで,世話がめんどくさい。

ポメラニアンは小さいくせに性格が凶暴で,ソファやカーペットをかじりまくり,

まだトイレのしつけもできてないし,あれこれ手間がかかる。しかも長生き

だそうで,最長で20年くらい生きるらしい。20年先のことを考えるとちょっと・・・

 

先週とその前の週,映画を2本見た。1つは「うん,何?」。主人公の高校生の

男の子の周囲で起こる出来事をつづった,癒し系ムービーだ。採点するなら,

65点くらい。ロケ地となった島根県・雲南市の風景が美しい。ただ,特に印象に

残るようなものでもなかった。

2本目は「神様のパズル」。採点はズバリ,20点。最近見た映画の中で,

途中で席を立ちたくなったのは,松本人志の「大日本人」以来だった。

まだ公開中なのでストーリーの詳細は省くが,とにかくセンスが古い。

特にヒーローが,今どきあれほど空気の読めん若者はおらんじゃろ?

というくらい,バカ丸出しのキャラだ。ヒロインの女がまた絵に描いたような

自己中で,まるで感情移入できない。しかも,あのストーリー展開で,どうして

最後がハッピーエンドになるのか,まるで理解できない。原作は読んで

いないが,監督を間違えたんじゃないか?という気がする。

 

 

最近のニュースから,秋葉原の殺人事件について一言。

犯人の気分や犯行の背景は,まあ想像できる。子供の頃は優秀な男の子だったが,

高校では進学校の中で勉強に落ちこぼれ,家族ともうまくいかず,派遣先をクビに

なり,彼女もおらず,自暴自棄になって・・・しかし,逮捕された後でこの犯人が,

「誰かに止めてほしかった」と警察に語ったというのは,いかにも情けない。

犯人を弁護するつもりはないが,「死刑にしてほしいから人を殺した」と言う方が,

まだしも本人なりの筋は通っているだろう。後悔するくらいなら,最初からやるな!

 

で,この事件に関する識者たちのコメントも読んだが,多くの人々の指摘している

ことがおおむね的を射ていると思った。それは「安定した仕事に就けない」という

現実への不満が事件の背景にある,という指摘だ。きのうの新聞に載っていた,

「日雇い派遣の原則禁止」が政府で検討されているという記事も,その延長だろう。

ただ,仮に日雇い派遣が禁止されたとしても,どの程度実効が上がるかわからない。

月給制でも賃金が安ければ同じことだし,外国人労働者への依存がますます高まる

可能性もある。「従業員の生活よりも会社の存続の方が大事だ」という考え方を

各企業が持ち続ける限り,問題の根本は変わらないだろう。

 

それとは直接関係ないが,最近は「一度レールから外れたら二度と復帰できない」

という風潮が強いと言われる。具体的には,新卒の大学生が正社員として採用

された場合,いったんその会社を辞めてしまったら,次に別の会社で正社員に

なれるチャンスはほとんどない,という。だから,正社員であり続けるためには

きつい仕事やサービス残業に耐えるしかなく,いったんドロップアウトしたら派遣

労働者として低賃金に甘んじるしかない。だから,どちらを選んでも先が見えない。

仕事全般に対するそうした厭世観が,少なくとも今回の事件の背景にはあるだろう。

 

しかし実際には,再起不能を思われた境遇から復活した人々もいる。本人たちに

とっては思い出したくない過去だろうが,強く印象に残っているので書いてみたい。

 

1人目は,ある将棋指しだ。話が飛ぶが,世の中には「やっていいことと悪いこと」

があるが,それは必ずしも法律とは関係がない。法律で禁止されていなくても

「絶対にやってはいけないこと」はいくらでもあるし,法律で禁止されていても

実質的には大目に見られていることもある(法律の方が実態に合わなくなっている

ケースも含めて)。その善悪の判断は人によって違うわけだが,ぼくが今までに

「絶対に許せない」と思ったケースの1つが,この将棋指しに関する出来事だった。

10年以上前になると思うが,彼はあるスキャンダルに巻き込まれた。ただし,ある

意味では自業自得とも言えた。彼は,(記憶が定かでないがたぶん妻子ある身で)

ある女性棋士に言い寄り,ストーカーまがいの電話を繰り返した(ただし当時は

ストーカーという言葉はなかった)。彼にとって不運だったのは,この女性棋士が

とんでもない女で,自分の売名のためにこの事実をマスコミに売ったことにある。

彼女が録音した彼からの口説きの電話の一部始終が,連日ワイドショーで繰り返し

流された。それがたまたま耳に入った。聞いた瞬間,「これは,とてもじゃないが

人前に出していいような代物じゃないだろう」と思った。要するに,一種のピロー

トークのようなものを公共の電波に乗せているのだ。棋士はスポーツ選手と同様に

民間人と芸能人の中間のような存在であり,マスコミにプライバシーを暴かれる

こともある程度は覚悟しておかねばならないだろう。しかしこのときの報道は,

明らかに常軌を逸していた。視聴者は間違いなく喜ぶだろう。しかし,世の中には

やっていいことと悪いことがあるのだ。たとえば自分の部屋に盗聴器や隠しカメラ

が仕掛けられていて,本人の了解なく自分のプライベートな会話や映像がテレビで

流されたら,おまえらは耐えられるのか?おまえら(マスコミ)のやっていることは,

本質的にそれと同じだ。もしおまえらのせいでこの棋士が自殺したら,誰が責任を

取るんだ?--- と,当時ぼくは本気で思ったし,自分なら自殺したかもしれない。

それくらい,あの電話の声をテレビで流されることは,本人にとって恥ずかしいこと

だったはずだ。同時に,「これで,この人の棋士生命も終わったな」と思った。

出来事としては世間でもよくある単なる浮気だったのだが,ここまで世間に恥を

さらしたんじゃ,まず人前に出られないだろう。自分から廃業するんじゃないか?

--- しかし,その事件はやがて人々の記憶から消え,彼は今や元のレールに戻って

将棋界の指導者になっている。女性棋士のその後は知らない。

 

二人目は,野球選手だ。彼は数年前,某球団に逆指名で入団するのが確実と

言われていた。ところが彼が4年生のとき,あるスキャンダルが週刊誌に載った。

名前は伏せてあったが,プロ注目のある大学生選手がアダルトビデオに出演して

おり,しかもそれがゲイのビデオだ,という記事だった。本人は小遣い稼ぎくらいの

軽い気持ちで出演したのだろうし,それ自体は取り立てて騒ぐようなことでもない。

しかし,その雑誌の記事が出たせいで,当初獲得を予定していた球団は指名を

回避し,彼は結局その年のドラフトでは指名されなかった。彼のような有力選手が

指名されなかった理由を,スポーツ新聞などのマスコミは報道しなかったが,

あの1本の記事が原因だったことはたぶん間違いないだろう。このときも,おまえら

にとってはたかだか1〜2ページの穴埋め記事かもしれないが,そのせいで一人の

青年の人生が台無しになったことをどう考えているのか?と,週刊誌に問うてやり

たい気分だった。--- そしてその年,彼は海を渡ってメジャーに挑戦し,主に3Aに

在籍していたが,今では日本に戻って別の球団の一軍選手として活躍している。

 

棋士も野球選手も,回り道をしたけれど,元のレールに戻ったと言えるだろう。

もちろんそれは,彼らに才能があったからだ。逆に言えば,もともと才能があって

目立っていたからこそ,トラブルに巻き込まれやすかったとも言える。

いずれにしても,本人に意欲さえあれば,一度外れたレールに戻ることは不可能

ではない,ということだ。もちろん,才能や努力や運も関係するだろうが。

 

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