日記帳(08年12月15日〜12月31日)

 

 

実際はこれを書いているのは12月28日ですが・・・切りのいいところで。

 

こういうところにこういうネタを書くのもどうかと思いますが・・・

世間では不況の風が吹き荒れ,年の暮れに仕事も住む家も失う人が続出してます。

私らのような「自営業者」がその風を受けずに済む,ということはあり得ません。

ぶっちゃけ私,今年は経済的に苦しいです。

 

私が執筆者として名を連ねている著書(毎年改訂新版が出る本を含む)は,今年

10冊出版されました。しかし,市販本の印税だけでやっていこうと思えば,最低でも

年間20冊くらい出す必要があります(増刷されない限り)。ペース的には可能ですが,

そんなに仕事があるわけもなく,最近は新刊本の企画もほとんど通りません。

出版業界全体の競争の激化と,インターネットの普及に伴う書籍販売の低迷を

考えれば,当然の成り行きでしょう。

 

そうなると,もう1つの仕事である「下請けの原稿書き」で収入を補填しなければ

ならんわけですが(市販本は印税方式。下請けとは買い取り方式の原稿のこと),

これも「下請け」というくらいで,世間一般の下請け業者と同様に,仕事の絶対量が

以前ほど多くはありません。

 

もっとも,仕事がなくて時間を持て余しているということは全然なく,毎日せっせと

原稿は書いています。しかるに今年はどうして「経済的に苦しい」のかと言えば,

今年の1月以降にやった仕事の「売上金」の多くが,いまだに回収できていない

からです。具体的に言うと,今年の1〜4月は,次の2冊の本の執筆にほとんど

かかりきりでした。

  A TOEIC対策英単語集(BE社)

  B TOEIC対策英単語集(JT社) ※AとBは内容的には全く違います。

8月は,ずっと次の原稿を書いてました。

  C センター試験対策英単語集(出版社は未定)

つまり,12か月のうち5か月間,これら3冊の本の原稿を書いていたことになります。

そしてこれらの本の「売上」は,今のところゼロです。まだどれも出版されてないので。

これでは,金に困るのも当たり前ですわね。

 

もちろん,これらの本が出版されて,期待どおりに売れてくれれば元は取れます。

しかし,5か月分の「給料」をこれら3冊(Cは出版されるかどうかさえ未定なので

実質的には2冊)で生み出すというのは,「数字的には年間20冊がノルマ」という

程度の本しか今まで書いてきていない身には,ものすごく高いハードルなのです。

 

ただし,望みが全くないわけでもありません。Aは有名人のYさんとの共著本なので,

Yさんのネームバリューでけっこう売れるのではないか?と,関係者一同期待して

います。情けないっちゃあ情けないですが。中身はもちろんそれなりに自信あります

けど,著者の自信が売り上げに直結するならこの世はベストセラーだらけですわね。

 

そして,B。これが,この日記にしょっちゅう出てきている「マグロ」です。AもBも,

2009年の2月ごろには出る予定です。初版の印税は微々たるものなので,

これらの本が増刷されないと・・・・非常に・・・・・・あー,この話おわり!

 

ちなみにCが「2本目のマグロ」ですが,未だに買い手が見つかりません。

この日記をたまたまどこかの出版社の方が見ておられたら,どうでしょうか?

 

 

と,今年最後の日記にえらく暗い話を書いてしまいましたが,ここからが本題。

 

定収のない自営業の身には,日々の生活の心配もあり,これから先まともに仕事が

あるだろうか?という不安もあります。では,「自分の人生,これでよかったのか?」

「この道を選んだことに後悔はないのか?」「今の自分の暮らしをどう思うか?」

みたいなことを自問自答するならば,少なくとも自分自身については,一点の曇りも

なく「満足だ」と言えるわけです,これが。(家族のこととか別の心配事はありますが)

もうホント,今死んでもいいやオレ,みたいな。

 

交通事故で若くして死んだ友人がいます。

重い病気で苦しんでいる友人もいます。

人の命は,水に浮かぶ泡のようなもの。

どうせなら,やりたいことをやって死にたいじゃないですか。

 

私は2年半前に,長年お世話になっていた親会社との契約が打ち切りとなり,

それ以後フリーで仕事をしています。あのままあそこにいれば,たぶん今より

金の苦労は少なかったでしょう。しかし,最近2年半の間に自分がしてきた

仕事と,その親会社でやっていた仕事とを比べると,フリーになってからの仕事

(具体的に言えば執筆した本)の方が,はるかに自分にとっても社会にとっても

意味のあるものだと確信しています。端的に言えば今の私は,経済的な苦労と

引き換えに,表現者としての自己実現をなし得ていると思っています。

まあそれも,辛らつな見方をすれば「そういうふうに自分を納得させるしかない

からだろう」と思われるかもしれませんが。他人がどう思おうと関係ないです。

私ごときの書いた本など,どれも数年以内に書店の棚から消える運命にある

のでしょう。でも,モノを作る人なら誰でもわかると思いますが,自分の納得

できる作品を仕上げた喜びは,お金に換えることのできない価値があります。

 

願わくば来年以降も,今の仕事を続けられるような社会環境でありますように。

あと,2月ごろに発売される2冊の本が売れますように。

それから,2本目のマグロに買い手がつきますように。

それから・・・・いや,あまり欲を出してはいけませんね。

遠くの幸せをつかもうとすれば,いつまでたっても幸せは逃げていくばかりです。

こういう安易な一般論はどうかと思いますが,でも言います。

 

幸せは,日々の暮らしの中にあるのであり,そこにしかないのです。

 

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