日記帳(09年7月13日〜7月25日)

 

 

今日の土曜日(25日)は,天気予報が曇りだったので久しぶりに蒲刈へ行った。

しかし朝から大雨で,しばらく車で待機。そのうち雨は小降りになったが,海が一面

泥水で魚の気配は全くなし。満潮の昼ごろまで粘ったが,タコが1匹掛かったのみ。

せっかく遠くまで行ったのに条件が最悪で残念。次回の蒲刈は9月ごろを予定している。

 

で,今日はもう仕事の予定はないので,カープのことを書く。

オールスター前の12試合で1勝11敗と負け続けて,Aクラスはもう無理になった。

カープの試合は最近時々しかテレビでは見ないが,スコアはチェックしている。

最近は,負けた試合の翌日の中国新聞のコラム「球炎」が楽しい。書いている本人

(3人のコラムニスト)は真剣なのだろうが,ツッコミどころが満載で,あれはあれで

一種の芸かもしれないと思う。

 

http://www.chugoku-np.co.jp/Carp/index.html

 

以下,最近10試合のコラムを転載して,ツッコンでみよう。

なお,話の都合で,ちょっと前の記事も1本だけ出しておく。

新外国人・フィリップスの活躍などで3連勝したときの記事だ(7月8日)。

 

この3連勝は、チームの方向性を大転換した補強の成果というべきだろう。

今季、目指した足を使う野球は貧打で十分に機能せず、フロントはてこ入れ策として

フィリップスを獲得。夏本番を前に走守から長打重視へと移行する流れをつくり、打つ

野球の芽も吹き始めた。

補強が的中したかどうかの判断は時期尚早かもしれない。しかし、フィリップス入団後の

打線は8試合で12本塁打。この間に2死からの本塁打で得点するケースなど、今までに

ない攻撃力を発揮している。大味な野球への回帰はご免だが、得点パターンは増えた。

鈴木清明球団本部長は言う。「ブラウン監督と常に話をし、この時期の方針転換も

球団として支持している」。シーズン半ばで、拙守は受け入れ、それ以上に点を取る野球

に変えた。それが勝つための最善の策として現場とフロントは一致した。何とも蜜月だ。

昨年から追っていたフィリップスは開幕時に獲得したかったが、強いメジャー志向が

壁となり、入団は6月末にずれ込んだ。その副産物として外国人選手の競争が熱くなり、

マクレーンに緊張感がある。これほど短期間で補強効果が実感できれば、残り72試合は

面白くなるかもしれない。(木村雅俊)

 

この時点では,コラムも「打つ野球」への方向転換を評価していたのだが・・・

 

以下,最近10試合(前日のスコアを参考として入れてある)の翌日のコラムだ。

 

● 広0ー4中

【球炎】長打頼みは覚悟が必要(7月12日)

カープ野球はどこへ向かおうとしているのか。「攻撃重視」の野球にかじを切り、長打力の

ある外国人を中軸に据えた。しかし、この3連戦で奪った得点は1。この方針で、得点力

不足という闇は晴れるのか。貧打という言葉は似合わない。3試合で20安打。今日も

8安打を放っている。先頭打者を4度も出し、無死満塁の好機もあった。それでも、1点が

遠いのは、打線が線としてつながらないからだ。ただ、これはある意味、確信犯といっていい。

今の方向性は、線にすることにそれほど固執していないからである。

今、首脳陣が打線に求めているのは長打。犠打や進塁打がなくても得点になる。本塁打

なら流れも変えられ、走者がいれば大量点。外国人を重用する狙いはこの一点にある。

事実、先の横浜、阪神戦ではそうして得点を重ねてきた。だが、この3連戦でよく分かった

一線級の投手を前に、この野球は通用しない。自由に打つだけの外国人が3、5番。

これでは、単打を生かしていく野球は難しい。当面の敵である巨人、ヤクルト、中日の

投手陣はつわものぞろい。長打を求めるにも限界があろう。それでも、この道を進むなら、

相当な覚悟が必要となる。(小西晶)

 

さすがにこの時点では,書き手が違うとは言え,7月8日に上の記事が出てからわずか

3試合ということもあって,フィリップス・マクレーンの3・5番をあからさまに批判してはいない。

しかし,たった3試合見ただけで「この3連戦でよく分かった」とは・・・最後の文の「相当な

覚悟が必要となる」の主語として,筆者は「チーム」を想定しているのかもしれないが,

覚悟が必要なのはコラムニスト本人だろう。

 

● 広2−5横

【球炎】実績より勢い優先の時(7月14日)

16日ぶりの本拠地だというのに何とも重く、よどんだ雰囲気の野球だった。その元凶は

クリーンアップにある。本日は12打数2安打で、4連敗中は45打数8安打、打率1割7分8厘、

1打点。走者をかえす役割がアウトを重ねるのだから、打線もつながるはずがない。

打線は適度な安打で塁上をにぎわせながら得点力不足。貧打に悩んだ時期に比べ、随分

ぜいたくな悩みで、ちょっとした一手で事態は好転する。それはメンバー表を書き込む時の

数分の作業。フィリップス、栗原、マクレーンと並べたクリーンアップの解体である

守備のミスは見て見ぬふりを決め込み、長打力にかけた陣容だった。それが今季に進退を

懸けるブラウン監督の決断ならば、悔いのないようにすればいい。しかし、頑固に3人を並べて

起用し続ける現状はベンチワークの乏しさを露呈しているにすぎない。両外国人に挟まれた

栗原は広角に打つ持ち味を失い、体勢を崩すフルスイング一辺倒。あれほどバットが振れて

いた末永は4試合連続でスタメン落ちした。今は昔の実績や相性より、現時点の勢いや調子が

最優先される時期。貧打を脱した今こそ、ベンチワークが問われている。(木村 雅俊)

 

タイトルにあるとおり,「実績より勢い優先の時」というのも,確かに1つの考え方だろう。

しかしこの木村というコラムニストは,7月8日に上のとおり「(打力重視への方向転換に

よって)残り72試合は面白くなるかもしれない」と書いた張本人だ。それを,わずか4試合で

「ベンチワークの乏しさ」と言われるようでは,ベンチもたまったもんじゃない。

 

● 広1−6横

【球炎】気になる指揮官の焦り(7月15日)

「これまでの野球観の枠にとらわれず、こうした野球もあるのかと見ればいいんだ」。

カープのあるコーチからブラウン野球を見る上でもらった言葉だ。これを不可解な采配や

選手起用のたびにいつも思い出す。今日は「7番・会沢」がそれだった。

順位が決まった後の消化試合なら疑問も抱かない。育成と解釈する。しかし、60試合

以上を残した今、石原をスタメンから落とし、倉をもすっ飛ばし、なぜ1軍初マスクの

会沢まで振り子を動かすのか。その理由は選手の危機意識をあおるためだという。

なるほどとは思う。得点力不足の原因は選手にあるとして、明日以降の反発心の

呼び起こしに期待したのだろう。賭けのような采配がどう出るかは分からないが、

そこに見えるのはブラウン監督の焦り。勝てない、いら立ちを選手に向けたようにしか

思えない。得点力不足は決して選手だけの責任ではない。ここまで捕手2人制を貫き、

低率な石原と倉の打席でも代打を送れず、得点機を逃した「失政」もある。

今後必要なのは会沢を3人目の捕手として置き、好機は捕手に代打を送り、点を

取りにいく野球だろう。いま怖いのは指揮官の焦りである。(木村雅俊)

そして,翌日のこの記事だ。同じ人物が書いたとは思えない。あんたは前日に,

「実績より勢い優先の時」と書いたばかりだろう?監督は,倉の実績よりも会沢の

勢いを買ったに決まっているではないか(実際スポーツ新聞の記事によれば,監督は

「私は会沢がただ若手だからという理由で起用したのではない」,つまり会沢の実力を

評価して起用したのだ,と述べている)。「勝てない,いら立ちを選手に向けたように

しか思えない」とは語るに落ちるというやつで,あんたが自分のいら立ちを監督に

向けているだけだろう?

 

● 広4−5横

【球炎】もう落ち込む暇はない(7月16日)

野球にはプロもアマも関係なく、忘れてはいけないものを教えられた試合である。終盤の

攻防はまるで高校野球の県大会をほうふつとさせた。ともに負けたくない思いがぶつかり、

そこに勝ちたい気持ちがどれだけ上回るか。特に広島は久しくなかった光景があった。

例えば石井。七回に放ったソロで、一塁ベースを回って見せた派手なガッツポーズは

単なる喜びではない。うだつの上がらないチームを鼓舞し、1点への執着を強く訴えていた。

無抵抗のまま惰性では終わらない、こんな姿勢が今のチームに最も足りないのだろう。

九回、広瀬のスクイズもしかりである。同点スクイズを成功させた後のガッツポーズは

勝ちたい気持ちの凝縮だった。連敗で暗いベンチの雰囲気を変えるには十分だったろう。

そんな心意気も最近は失われすぎている。

プロである以上、負ければ何も評価すべきでないかもしれない。2カード連続の3連戦

3連敗を食らうなど、情けない限りだ。しかし、チームの雰囲気に落ち込むのが選手なら、

それを変えるのも選手。無責任に「明日があるさ」と言えない事態になりつつあることを

知れば、もう落ち込んでいる暇はない。(木村雅俊)

この記事には,珍しく特にツッコミどころはない。

 

● 広2−5ヤ

【球炎】「軸」不振 手詰まり状態(7月17日)

こんな野球が本来の野球なのだろう。もちろんヤクルトの野球がである。打線は軸が

獅子奮迅の活躍をして、あとの人は与えられた役割をこなす。この日、ヤクルトが見せた

野球からは今季、広島に不足した要素が見えてくる。

その第一は、この日のデントナの猛打と比較するまでもなく、栗原の不振である。

本来なら一本出れば乗っていくタイプだが、今季はなぜか考えすぎている節がある。

軸が不発とあれば、塁に出ることや走ることを大きな役割にした人の責任が重くなるのは

当然。貧打の原因だろう。 もう一つはルイスが本調子でないこと。この軸が昨年のように

どっしりしていないから、前田健も必要以上に負担がかかっているようにみえて仕方がない。

確かに今季、軸として期待された投手ではあるが、何分にも実質2年目の投手。チームが

困窮状態とあれば、力みもしよう。投打の軸がこうした状態だけに、今の広島ナインは

おびえて野球をしているように見える。万策尽きた手詰まり状態の中、残る処方せんは

野球を単純に考えてやることである。(永山貞義)

 

赤字の部分は,職業として野球をしている選手たちに対して,非常に失礼な言い方では

ないかと思うが,どうか?

 

○ 広8−4ヤ

【球炎】「開き直り戦術」奏効(7月18日)

関係者ならびにファン一同、これほど喜べる勝利もあるまい。なにせ「またか」と敗戦を

覚悟した終盤、「まさか」の反撃で逆転したとあれば、同じ1勝でも笑顔が違おう。

逆転の規模としても、今季最大級。紋切り型の表現を使えば、ここまでの連敗で累積した

うっぷんが大爆発したような勝利である。

この逆転劇を大局的に振り返れば、ブラウン監督の「開き直り戦術」が奏功した勝利と

いえるかもしれない。ここで言う開き直りとは、会沢を先発で起用したこと。さらに中軸を

迎えた場面で、3番手として今井を指名したこと。その真意を探れば、これらの若さに

賭けた窮余の一手だったのだろう。

若さは時に膨大なエネルギーを生む。特にこの日の会沢は打っては2安打、守っては

2度も二盗を阻止するなど大車輪の活躍。2イニングを無失点で抑えた今井の好投と

併せて、これらの働きが終盤の大反撃に結びついたと見ていい。

というような次第で、とりあえずは危機を脱出。七、八回のような元気があれば、もう

同じような連敗をすることもないだろう。(永山貞義)

 

ブラウン監督に代わって,コラムニストたちにイチャモンをつけてあげよう。

「キミたちは,チームが負けると『監督の采配が悪い』と言い,チームが勝てば『開き直り

が功を奏した』」と言うのかい?その言葉は,私の采配への褒め言葉ではないよね?

「開き直りが幸運にも成功した」と言いたいのだろう?結局,私は何をやってもキミたちに

褒められることはないのだね。

--- ただ,ここでの最大の問題は,会沢と今井を同列に扱っていることであり,彼らの

起用を「開き直り」と評価している点にある。言っておくが,会沢と今井とでは,現時点

でのポテンシャルが全然違う。高卒4年目の今井は,率直に言って1軍で投げるには

まだ早い。ファームでは去年からローテの軸を担っているが,イニング数に対する

四死球の数が多すぎ,ブラウン監督の嫌うタイプの投手の域を脱していない。だから,

今井の起用を「開き直り」と呼ぶのは間違っていないだろう。しかし,会沢はそうではない。

コラムニストたちは会沢を単なる「若手」としか評していないが,彼は栗原以来の逸材だ。

遅くとも来年,早ければ今年の後半には石原を押しのけて正捕手に座るだろう。

彼の能力は,2軍での成績をみれば明らかだ。1年目は打数不足ながら3割近い打率を

残し(これは栗原と同等),2年目はケガで出場なし。3年目の今年は昇格するまで

ウエスタンで3割7分台と打ちまくっていた。入団3年目までに高卒で右打ちの野手が

これだけの成績を残した例は,栗原の前は江藤にまで遡らねばならない。それくらい,

会沢の潜在能力は傑出している。そんなことは数字を見れば素人でもわかるのに,

プロの野球記者たちの目は節穴なのか?顔を洗って出直して来い!

 

● 広1−3ヤ

【球炎】攻めの「ムダ」省きたい(7月19日)

どうやら前夜の猛打は、夢だったようである。一夜明けると、猛打どころか打てる気配すらない。

なにせ筋金入りの「貧打線」。やはり1試合ぐらいの爆発で、完治する病ではなかったか。

一般的に弱さや未熟さの根本には、「ムリ」、「ムダ」、「ムラ」の「3M」があるという。これを

この日の打線に当てはめると、3度の好機をフイにした四回までの攻めが「ムラ」と「ムダ」。

こんな攻撃をしていては、石川クラスの投手を攻略するのは到底、「ムリ」である。

その点、小松には成長の跡が見えた。この日は「ムダ」な四球を出さなかったし、全体的な

中身も「ムラ」のない投球。ただ六回、宮本に適時打を浴びた配球がどうだったか。それは

会沢のサインに首を振って、投じた内角の直球。三回の福地の適時打を含めて、力で

「ムリヤリ」抑えようとしたのが結局、墓穴を掘る形となった。しかし、自分が考えて投げた末、

負った小松の傷は糧となって次に生きてくるはずだ。問題は打線。「3M」を一気に解消する

のは「ムリ」としても、せめて「ムダ」だけは省きたい。(永山貞義)

 

この永山というコラムニストは,この手の「言葉遊び」が好きだ。毒にも薬にもならないし,

おそらくは紙面を埋めるための知恵なのだろうが,これはこれでいいと思う。

 

● 広3−4中

【球炎】不可解采配の被害甚大(7月20日)

シュルツも人間である。調子の悪い日だってある。今日の負けは仕方ないと受け入れよう。

そんなきれいごとで収まるような試合ではない。シュルツの出来が悪かったのは事実だが、

この逆転負けは人災のにおいがプンプンする。八回裏、シュルツが登板した時、なぜ3年目の

会沢を捕手に選んだのか。この采配(さいはい)がどうしても引っ掛かる。

石橋をたたいてでも渡らない。それくらいの慎重さが必要な場面ではなかったか。

会沢はシュルツと3度組んでいるが、中日戦は初マスク。経験の少ない若手を大胆に起用

する余裕など、今のチームにはない。ベンチには倉が残っていた。会沢の強肩で中日の

機動力を封じる。監督の意図は理解したとしても、バッテリーの呼吸は明らかに合って

いなかった。同点になり2死満塁。打者小池への初球で、シュルツはサインに7度も首を振り、

間合いを取った。SOSを送っていたのだ。決勝点はその直後のバッテリーエラー(暴投)。

あえて人災といった根拠はここにある。記者席は「不可解采配」の大合唱。その不可解さは

白星を失わせただけでなく、若い芽にも傷を付けた。ああ、今夜はやりきれない。(小西晶)

「球炎」のコラムニスト3人のうち,この小西という人が一番アナーキーである。もしかしたら

3人のうちでの役割分担があって,この人が「暴走」担当なのかもしれない。記者席が

「不可解采配の大合唱」であったかどうかは本人しか知らないことだが,仮にそうだったと

しても,それはたぶんあんたが扇動したからだろう。あんたが間違っていることは,ごく

近い将来に会沢くんが証明してくれるだろう。

 

● 広4−7中

【球炎】大きすぎる精神力の差(7月21日)

今夜はいい夢を見せてもらえると思ったが、しょせんは届かぬコイである。ウルトラE級の

反撃を受け、まさかまさかの逆転負け。あまりにシビアな現実である。

勢いの差、戦力の差、ベンチ力の差…。これまで嫌というほど味わってきたが、この試合で

見せつけられたのは、埋めようのない精神力の差である。六回、待ちに待った中軸の爆発で

4点のリードを奪う。斉藤の出来を考えれば、これで平穏なジ・エンドが当然の成り行きだった。

ベンチにも「今日は勝った」という自信が生まれたはずだ。

この自信に、自信で対抗してきたのが中日である。その裏、焦ることも慌てることもなく、

淡々と斉藤の攻略にかかった。先頭の井端が甘く入った直球をたたき出塁。これだけで、

広島の自信はあっさりぐらつく。斉藤の球は上ずり始め、荒木にも痛打を浴びる。リードして

いるはずの広島が追い詰められ、及び腰に。そんな構図が、逆転劇の根底にはあった

逆にリードされた広島は七回以降、無安打。反発はなく、あっさり負けを受け入れた

「負け犬根性を一掃し、最後まであきらめず戦う集団にする」。4年前、ブラウン監督が

語った所信が今、むなしく響いている。(小西晶)

 

この記事を読んで共感する人はまさかおるまいとは思うが・・・どうということもない一連の

事実(この試合で言えば,相手打者の技術が投手・斎藤の技術を上回ったという事実)を,

自分の頭の中でまとまったストーリーにしてしまうのがこの人の「芸」である。作家になれば

よかったかもしれないし,もしこの人が警察官なら冤罪が続出していたことだろう。

古き良き時代の「根性論」が好きな人には,この人のコラムは面白いかもしれない。

ただしこの人が「精神力」うんぬんを語り始めるのは,ほぼ決まってカープが負けた翌日の

コラムの中なのだが。

 

● 広2−3中

【球炎】「守りの野球」もう一度(7月22日)

59年ぶりの屈辱など、どうでもいい。絶望感の源は、「3位と12ゲーム差」という事実である。

新球場元年。悲願のクライマックスシリーズ進出は、目標とさえ呼べないほど遠くへかすんだ。

「打力重視」への転換。すべてはここから始まった気がする。キャンプから掲げてきた「守りの

野球」の御旗を降ろしたのだ。チーム内で起こる反作用も想定はしていただろう。それでも、

フィリップス、マクレーンの併用で道が開けると信じた。だが、監督の決断は残酷なほど裏目に

出た。宣言した9日以降、チームは1勝11敗。両外国人の湿ったバットに、選手の心は折れた

今、監督が考えるべきは失速の言い訳ではない。残り60試合をいかに戦うか、である。

結果は出た。外国人の併用をやめ、今季の原点である「守りの野球」に、もう一度戻るべきで

ある。特効薬にはならない。苦しい戦いも続くだろう。だがその道は、広い新球場で戦い続けて

いくカープの未来へと続いている。最終的に3位を逃したとしても、来季へ残せるものはあるはずだ。

後半戦、自らの進退や野球観にとらわれず、スタートラインから走り出せるか。監督の勇気ある

決断が問われている。(小西晶)

 

これが前半戦最後の試合の翌日の記事だ。どこから語っていいか迷うほど,ツッコミどころが

満載である。まずタイトルだが,「守りの野球に戻るべきだ」と言うのなら,当然「今は守りの

野球になっていない」ということになると思うが,果たしてそうなのか?守りと言えばまず投手だが,

投手起用は開幕から一貫しているので,「戻る」も何もない。では守備か?しかし上の記事には,

「守備を強化すべきだ」という趣旨のことは書かれていない。確かにフィリップスは慣れない外野の

守備でもたついているが,そのせいで負けた試合はない。もしも「打力重視の方針をやめるべきだ」

と言うのなら,具体的にはどうすればいいのか?前半戦最後の試合のスタメンはこうだった。

4 東出

8 末永

7 フィリップス

3 栗原

5 マクレーン

9 天谷

6 石井

2 石原

1 大竹

機動力と守りを重視するなら,両外国人を下げて,外野には赤松,三塁には梵を入れることに

なるだろう。果たしてそれで,点が取れるのか?この小西というコラムニストは,もう投げやりに

なっていて,「負けてもいい」みたいなことを書いているが,現場はそうはいかない。勝つことを

第一目標から外してしまったら選手のモチベーションがガタ落ちして,チームのタガは外れてしまう。

だから監督なら誰でも,たとえAクラスの可能性がほとんどなくなっても,目の前の試合に勝つ

確率を最も高める選手起用をするだろう。しかし,仮にブラウン監督がそういう起用をしたら,

おそらくこの小西という人は「自分の契約更新という私欲のためにチームの成長を妨げている」

みたいな批判をするだろう。この人がどういう性格や品性の持ち主であるかは,その文章に

如実に現れているのだから。上のコラムにある「選手の心は折れた」だとか,「監督が考える

べきは失速の言い訳ではない」だとかの文言から推察されるこの筆者の心性は,一般社会で

言えばたとえば「クレーマー」とか「ワンマン社長」とか「モンスターペアレント」とか呼ばれるような

人々のそれに近い。「監督の勇気ある決断が問われている」などと格好のいいことを書いて

いるが,要するに「オレの言うとおりにやれ」という酔っ払いオヤジの愚痴と変わりない。

 

もっと客観的に見てみよう。小西氏の言い分は要するに,「最近12試合でチームが1勝しか

できなかったのは,フィリップスとマクレーンのせいだ」と言っているのに等しい。それは本当

だろうか?この12試合でチームが挙げた全28点のうち約3分の1に当たる9点は,この2人の

打点である(フィリップス4打点・マクレーン5打点)。一方,この2人にはさまれた4番の栗原が

この12試合で挙げた打点は,わずか1点にすぎない。また,この12試合でチームが放った

本塁打はわずか6本だが,そのうち5本を両外国人が打っている(残りの1本は石井)。

ここから推測されることは,次の2点である。

●この12試合のチームの不振の最大の責任は,4番・栗原にある。

●外国人2人の長打がなかったら,チームの得点力はさらに下がっていた可能性が高い。

第2の点は,上のスタメンから両外国人を外し,代わりに赤松と梵を入れたときのことを想像

してみれば簡単にわかるだろう。

 

以上のことから,上の小西氏のコラムをより現実に即して,かつ冷静な視点からリライトするなら,

およそ次のようなものになる。

 

「打力重視への方向転換によって,得点力は確かに向上した。しかし,その向上をもってしても,

なお絶対的な得点力不足は深刻であり,それが最近のチーム成績の不振につながった。

あえて『戦犯』を探すなら,それは4番・栗原である。チームの勝敗だけを考えれば,栗原を

スタメンから外す選択肢もあったかもしれないが,それは後付けの批判になる。ブラウン監督の

選手起用や,フロントの外国人補強方針に大きな誤りがあったわけではない。」

「ただ,チームにAクラス入りの望みがほとんどなくなった現状では,ファンに明るい話題を提供

する観点からも,後半戦は来年度以降の戦いを見据えて,『目の前の試合に勝つ』ことと『若い

選手を育てる』ことの両方のバランスを取りながら戦っていく必要があるだろう。Aクラス入りが

残留の条件となっているブラウン監督には酷な注文だが,チームの将来のために最善を尽くして

もらいたい。具体的には,近い将来の正捕手候補である会沢と,先日のジュニアオールスターで

ウエスタンの4番を打った新人の岩本(ちなみに会沢は5番)を積極的に登用してもらいたい。

この2人は,かなり高い確率で将来クリーンアップを打てる器だ。今年前半の戦いぶりから見て,

投手陣にはある程度の目途が立ったと言ってよいが,先発投手陣が固まったのは昨年の後半戦

からである。今年の後半戦の戦いを通じて来年以降の打線の形が見えてくれば,たとえBクラスに

終わってもファンは納得するだろう。」

 

ちなみに,来年の打線の基本構想は,こんな感じになる。

8 赤松

4 東出

7 天谷

3 栗原

5 新外国人

9 岩本

2 会沢

6 梵(小窪・松本)

※フィリップスが後半戦で3割台の打率をマークすれば,残留の可能性もある。栗原は腰の状態が

   よければ三塁にコンバートし,一塁に長打力のある外国人を入れるのがベストだが。

 

 

 

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