日記帳(09年11月29日〜12月13日)

 

 

このHPを解説したのが1999年の12月9日。つい先日,10周年を越えた。

記念にあれこれ書こうかと思ったが,ありきたりの内容になりそうなので簡潔に。

 

このHPは「波止のかぶせ釣り」というちょっと変わった釣り方を紹介するために始めた

もので,最初から「ある程度の反響はあるだろう」と思っていた。類似のサイトが全く

なかったからだ。しかし,最初の数年間の盛り上がりは,当初の予想をはるかに超えていた。

「かぶせ釣りで町おこしができるかも・・・」というくらいのフィーバーぶりで,当時のレポートを

読むと常連さんたちの熱中ぶりが懐かしく思い出される。

 

男女関係にたとえて言うとその頃が恋愛感情真っ盛りで,今はちょっと落ち着いた感じに

なっている。しかし先日HPの存続の危機を迎えたとき,懐かしい常連さんたちを含めて

多くの皆さんから励ましとお祝いをいただき,このHPを見ていただいている人たちが

大勢いることを改めて実感した。

 

前にも書いたが,もともと釣りサークルのようなものを作るつもりはなく,気が向いたら

時々見てくださいね,時には釣り場で会いましょう,という緩やかなコミュニケーションを

志向していたので,今くらいの感じがちょうどいいんではないかと思う。それにしても,

このHPのおかげでテレビには出るわ,かぶせ釣りの本まで出版させてもらえるわで,

一介のサンデーアングラーには過分な経験をすることができた。皆さん,今後とも

よろしくお願いします。

 

 

話は変わって。年末を迎え,今年1年を振り返ってみたい。

 

仕事の方では,本は7冊出た。これらを含めて,著作がちょうど50冊になった

 

 

 

今年の仕事上の一番大きな出来事は,何と言っても「マグロ」(左上の写真)が出版されたこと。

今年中にもうちょっと売れてほしかったが,市場に定着してくれさえすれば増刷が期待できるので,

今後に期待したい。その右の本は,業界では有名な安河内哲也さんとの共著本で,売れ行きに

大いに期待したが,残念ながら・・・。最後の本は12月中旬に発売予定で,英語の知識と英米の

一般常識などを1問1答式で尋ねるクイズ形式になっている。一般常識のジャンルには,こんな

問いが入っている。興味のある方は買ってください。

 

@ 英国から初期にアメリカへ移民した者の子孫である支配的中産階級の白人を指す,4文字の略語は?. 

A アメリカには50の州がありますが,49番目と50番目に加わった州を答えてください。

B 1849年は,カリフォルニアである社会現象が起きた年として知られています。その「事件」とは? 

C アメリカのプロ野球組織の略称はMLB(Major League Baseball)。では,プロバスケットボール組織の略称は? 

D NFLの優勝決定戦を何と言うでしょう? 

E アメリカの祝日のうち,Memorial Day を日本語に直すと?

F リーヴァイ・ストラウス(Levi Strauss)とは,何を発明した人でしょう? 

G アメリカ北東部のハーバード(Harvard),エール(Yale)など8つの名門私立大学の総称は? 

 

 

<正解>(本には解説もついてます)

@ WASP(「ワスプ)   A アラスカ州・ハワイ州   B ゴールドラッシュ 

C NBA(National Basketball Association)   D スーパーボウル(Super Bowl) 

E 戦没者記念日   F ジーンズ(jeans)   G アイビー・リーグ(Ivy League)

 

今年は何やかやで忙しく,本はほとんど読まなかった。

映画は10本くらい見たが,ベストワンは「サマー・ウォーズ」で決まり。

きのう公開された「ワンピース」の劇場版も,興行記録を塗り替えそうなすべり出しらしいので,

見に行くつもりでいる。一番最近見たのは「曲がれ!スプーン」で,これはまずまずだった。

「ゼロの焦点」にしようか「カイジ」にしようか迷った末に,結局これになった。基本的に,

小市民たちがドタバタする映画が好きなので。その前に見た,箱根駅伝をテーマにした

風が強く吹いている」も,駅伝のリアイティがよく出ていて面白かった。そのほか

ディア・ドクター」「山形スクリーム」「守護天使」など,マンガが原作の映画では

釣りキチ三平」「大阪ハムレット」「ルーキーズ〜卒業〜」「20世紀少年」「名探偵コナン

などを見たが,「大阪ハムレット」以外はどれも今イチだった。特に「ルーキーズ」は,

原作はあまり読んでなかったが,「どうしてこんなバカ教師が生徒に慕われるんだ?」

という素朴な疑問がわく,あまりにも子どもっぽい映画に思えた。

 

それで思い出したが,見るスポーツで一番好きなのは駅伝だ。マラソンはいったん脱落

すると逆転はまず起きないが,駅伝は区間ごとに順位が変わるのが面白い。今年の

全国高校駅伝は来週の日曜日だが,広島代表(男女とも)の世羅高校の順位をズバリ

予想してみたい。男子は,ベストオーダーが組めれば優勝。女子は12位くらいと見る。

男子の予想オーダー(7区間)は,北−土生−カロキ−竹内−渡邉−藤川拓−松井。

故障で県予選を欠場した松井が使えるかどうかがカギだろう。女子は1区の藤原が

20分そこそこで走れば8位入賞も狙えるが,ちょっと厳しいか?来年の都道府県対抗

駅伝は,女子に久しぶりの入賞を期待したい。今年は中学生がちょっと弱いが,

県立広島の相原・井口から松山大に進んだ田村・(天満屋からふるさと選手で呼べれば)

井口出身の栗栖・(出身地の島根から出るかもしれないが)デオデオの辰巳ら,ベストの

布陣を組めれば勝負できるだろう。問題は最長10区を誰が走るかで,デオデオの

山田(旧姓小鳥田)が去年のような出来だと苦しい。

 

カープは今年は5位だったが,投手陣が安定したので来年は上位も狙える。

ただし,2人の新外国人の打力しだいだろう。近年,新戦力の力を見極めている

うちに黒星が重なるというパターンが続いているので,開幕までに使えるかどうかの

目途を立ててもらいたい。将来を考えると岩本を中心打者に育てる必要があるので,

彼だけは我慢して使ってほしい。会沢は放っておいてもレギュラーを取るだろう。

残念ながら,今の控えや二軍の選手のうちで,将来の中心選手になれそうな素材は

会沢・岩本以外にはいない。今後の伸びに期待しているのは,斎藤・今井と同期の

左腕・相沢だ。もちろんドラフト1・2位の今村・堂林には期待している。

 

テレビ番組では,今年見た中で一番面白かったのは,先月NHKスペシャルで放送

された「リーマン予想・天才たちの戦い」だ。学生の頃から数学は全然苦手だったが,

この番組は素人でも楽しめるエンターテイメントに仕上がっていた。「素数の配列は

創造主の暗号である」というテーマが,ミステリー小説のようで面白い。何より,天才

数学者たちの苦悩と格闘に,実話ならではのリアリティがあった。

 

マンガの話は,始めるときりがない。たとえばここに一個の備前焼の茶碗があるとする。

それは普通の人にとっては単なる道具にすぎないが,焼き物が趣味の人にとっては

そうではない。その人は,余人には見えない美を,「ただの」湯飲み茶碗に見る。

他人にとっては取るに足りないものでも自分にとっては特別の意味があるわけで,

釣りやマンガもそれと同じだ。今年印象に残った作品をいくつか挙げておく。

 

地を這う魚(吾妻ひでお)

ぼくはコアなアズマニアではなく,単行本も全作品の5〜6割くらいしか持ってない

と思うが,この作品は吾妻ひでおの最高傑作と呼んでいいと思う。ネット上では

賛否両論あるようだが,何よりも絵が素晴らしい。もともと漫画家という人種は

一人残らず「お絵かきが大好きな子ども」だったわけで,マンガを味わうなら

ストーリーや思想よりも,まず絵を評価すべきである。吾妻ひでおのこの作品は,

最後の1ページまで,作者の情熱が忠実に絵に表れている印象を受ける。

この情熱が作者の若い頃にあったら,もっと大成していたことだろう。

 

ココナッツ・ピリオド(山田玲司)

「環境問題への啓蒙」とエンターテイメントの要素が見事に融合した,素晴らしい

作品だと思う。食のガイドブックのようになってしまった「美味しんぼ」などと比べて,

マンガ作品の完成度ははるかに高い。ネット上ではこのマンガを批判した記事が

検索の上位にあるが,それは「マンガを道具にして環境問題を語る」という立場

からの,間違った批判だ。「ゴー宣」に対しても同じことを言った覚えがあるが,

マンガはそれ自体が芸術作品であり,思想を語るための道具ではない。

作者・山田玲司は,単行本の最終巻(第3巻)のあとがきで,こう書いている。

「『ココナッツピリオド』は名作です。wwwwwwwwwwwと言われても。傑作です。

作品の価値は自分で決めます。そしてこれからもドンキ山田は戦います。」

カッコええぞ,山田!

 

星守る犬(村上たかし)

今年大きな話題を呼んだので多くの人が知っていると思うが,内容はまあ予想の

範囲内というか,人間と飼い犬との交流を描いた「ちょっと悲惨ないい話」である。

それよりも,作者・村上たかし氏の境遇にシンパシーを感じる。ヤングジャンプで

動物ギャグを描いていた頃の印象は,「この人もネタが切れたら消えていくんだ

ろうなあ」というものだった。実際,特定の対象ばかりを描くマンガ家は長続き

しない。ネコは専門誌もあるので「ネコ漫画家」は成立するだろうが,昆虫や

恐竜ばかり描いていた漫画家はやがて見かけなくなった。村上たかし氏も,

自転車操業のような東京での四コマ漫画作家としての生活に疲れて,奥さんの

実家がある東広島に転居し,編集者の勧めでじっくり腰を据えてこの作品

(ストーリー漫画)を描いたら,望外のヒットに恵まれたのだという。こういう

幸運はなかなか起こるものではないが,この人の人生そのものが「ちょっと

いい話」である。

 

この世界の片隅に(こうの史代)

上巻・中巻は昨年出ていて,今年の4月に下巻が出た。広島の原爆がテーマな

だけに,下巻ではさぞかし悲惨な結末が描かれるのだろうと予想したが,意外

にもヒロインの家族は誰も死ななかった。しかしこの作品も,何と言っても絵が

素晴らしい。上手とか下手とかいうのではなく,作者の思い入れが絵に生命を

与えている,という感じを受ける。この作品に描かれているのは,一言で言えば

「太平洋戦争中の,呉市に住むある一家の生活」だ。戦争漫画にありがちな

押し付け臭さがなく,リアリズムに徹している点が素晴らしい。子どもが読んでも

この作品の良さはピンとこないだろうが,大人なら共感できるに違いない。

 

キーチVS(新井英樹)

この作品は前作「キーチ」(全9巻)の続編で,カリスマとなったキーチと社会悪との

戦いを描いている。本来なら映画化されてもいいような強烈なインパクトを持つ

作品なのだが,残念ながらこの作品が映像化されることはまずない。理由は,

「キーチVS」の作品世界を理解するためには前作「キーチ」のエピソードが

必要であり,その「キーチ」という作品は,女子小学生売春というヤバい事件が

物語の重要なファクターとなっているからだ。こんな作品を映像化しようと思えば,

そういう子役を探してこなければならないわけで,実写はどう考えても無理だ。

同じことは作者の代表作「The World is Mine」にも言える。話自体はハリウッドで

映画化してもいいようなスケールがあるが,中身がちょっと残虐すぎる。

作者・新井英樹はいわばロックスターのような人で,格闘マンガとは別の意味で

「熱い」マンガを描かせたら天下一品だ。

 

ラーメン発見伝(原作:久部緑郎,作画:河合単)

今年完結したが,単行本の最後の2巻で登場人物全員がうまく収まるべきところに

収まった感じで,好感が持てた。食をテーマにしたマンガは,「美味しんぼ」のような

ウンチク系と「食いしん坊」のようなバトル系に二分されるが,この作品は物語性と

情報提供のバランスがよく,完成度の高いマンガだった。

 

プルートゥ(浦沢直樹)

こちらも今年完結したが,逆に「終わり方」が釈然としなかった。おそらく単行本の

冊数の都合で,本当ならもう少し話数を増やしたかったのに,無理やり詰め込んだ

ような印象を受けた。クマのぬいぐるみが撃たれて終わり,はないだろう。

 

変ゼミ(TAGRO)

分類するなら萌え系のマンガだが,この作者にも「おめでとう」と言いたい。

手元に,彼の初単行本「MAXI」がある。出版は1999年だから,10年前だ。

作品のテイストは今も昔も変わらず,基本的に変態さんしか出てこない。

しかし,失礼な想像だが,この人も「変ゼミ」がヒットするまでの10年間,生活は

楽ではなかっただろう。この作品や二次使用の印税で,明日の飯の心配は

たぶんなくなるだろう。うらやましい(笑)。作品自体は面白いよ。

 

以上は,自分で買ったマンガ。レンタルで借りて読んだもののうち印象に残ったのは,

「ひぐらしの鳴く頃に」(竜騎士07原作・作画は複数の漫画家),「論理少女」

(つじ要),「ゆうやみ特攻隊」(押切蓮介),「エデンの檻」(山田恵庸)など。

 

まだ単行本が出ていない作品の中では,「ボクラハナカヨシ」(田中誠)が面白い。

あの「ギャンブルレーサー」の作者とは思えない絵で,マンガ家はやっぱり絵が

上手いもんだ,とつくづく感心する。それから,これは来年の話題作の一つになる

はずの「I care because you do」(西島大介)が注目だろう。あの西島大介が

オウム神理教事件を描くというだけで,わくわくする。「モーニング・ツー」の連載の

最初の回はほとんど文字だけだったが,十分不気味だった。

 

 

最後になったが,新聞ネタでは今年は何と言っても「政権交代」がトップニュースだ。

事業仕分け」は,見ていて非常に面白い。特に,学者やスポーツ選手などが

記者会見を開いて予算の削減に反対する場面だ。彼らにしてみれば当然の行動

だろうが,ああいうことを今までは族議員や県庁の職員がやっていたのだろうと

想像すると,滑稽でさえある。限られた予算にどう優先順位をつけるかが,政治家の

仕事だ。削られるところからは当然反対も出るだろう。しかしそれらの要求をいちいち

呑んでいたのでは,予算を決めることはできない。その決め方が悪かったというなら,

次の選挙で民主党に投票しなければいい。仕分け人には,独断でいいから自分が

不要と思ったものはどんどん削ってもらいたい。ただし,事業仕分けには心配な面も

ある。それは,来年度以降も継続して行うという点だ。今年については,全体として

成功したと思う。しかし毎年の行事として行うようになれば,予算を削ることが自己

目的化してしまい,いわば「お役所仕事」に堕するおそれがある。また,地方でも

事業仕分けを行うとなると,仕分けできるだけの人材が本当にいるのか?という

問題もある。見る分には面白いが,継続して成果が出せるかどうかはわからない。

 

この日曜日は釣りと日記で潰れたので,来週は年賀状や大掃除などがメイン。

忘年会もある。お歳暮もまだ出してなかった。おせちの準備もある。仕事も・・・

 

 

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