日記帳(10年4月5日〜5月5日)

 

 

久しぶりに日記を書く時間が取れたので、今回はまずゴールデンウィーク前後の行動の記録を。

 

4月27日(火)

仕事の打ち合わせで、1泊2日で東京へ。最初に行ったのは、神田のメトロポリタンプレス社。

本当なら4月末に脱稿しておくべき原稿が他の仕事の関係ではかどらず、締め切りを延ばして

もらうためだ。結局6月の頭まで延ばしてもらったが、それでも楽じゃない。社長さんも忙しそう

なので、電子書籍がらみの話などを少しして、30分ほどで退散した。村上春樹の「1Q84」は

バカ売れしているが、紙媒体の本でのミリオンセラーはこれが最後、とも言われている。

これからはネットや携帯上で本を読む時代になりそうなので、うちらの仕事もそっち方面に力を

入れていかねばならない。で、毎晩ヒマを見つけてコツコツとそっち系のデータを入力しているが、

まだ企画も出してないし、採用される当ても当面ない。こういう地道な努力が大切・・・かどうか。

このあと、神保町にある岩波書店へ。6月に出る予定の本(岩波ジュニア新書)の初校の

ゲラを持って行った。通された「会議室」というのが何と広い和室で、テレビまでついていた。

締め切りの迫った作家とかをカンヅメにして執筆させるための部屋かもしれない。

このあと編集のMさんに連れられて、近くの店で酒を飲んだ。気のきいたつまみがいろいろ

置いてあり、キビナゴの刺身も美味かったが、生のホタルイカが最高だった。今までに居酒屋

とかで食べたことのあるホタルイカはどうも生臭くて好きじゃなかったが、やっぱり鮮度のいい

イカは全然味が違う。話がはずんで日本酒をだいぶ飲み、かなり酔ってホテルへ戻って寝た。

 

4月28日(水)

午前11時からの打ち合わせのため、総武線で津田沼へ。共著者・Yさんの事務所へ行くと、

大勢の関係者が次々に集まってきた。桐原書店から出るシリーズものの英語問題集を6人で

作業分担して執筆することになり、仕事の割り振りを決めた。最近は著作権の許諾が年々

難しくなり、以前なら大学入試問題を使って本を書くのは実質的に自由だったが、今では

そういうわけにいかない(英語の場合、原典の執筆者、つまり外国の人に著作権の許可を

得る必要がある)。結局、誰かが日本語でシナリオを書き、それをYさんが英訳することに

なった。オリジナルの英文なら著作権の心配をする必要はない。6人の共著なら、たぶん

1冊当たりの印税はせいぜい一人10円くらいだろうが、桐原は学校営業が強いので期待

している。1冊10円でも、10万部売れれば100万円だ(言ってみただけ)。

津田沼駅近くでみんなで昼食を取って別れ、西船橋から東西線に乗って九段下へ行き、

数研出版と打ち合わせ。下請け仕事をもらって、4時過ぎごろに出た。東京駅に着いて、

土産を買うためにあちこち歩いていると、1階も地階も新しい売り場になっていて、うまそうな

食材がいっぱい並んでいる。前夜に酒を飲みすぎたので今回の帰りの車中は酒抜きで・・・

と思っていたが、小さく仕切られた容器に入ったおつまみセットの誘惑に負けて、1,700円

ほど食い物を買い込み、東海道新幹線のホームへ。東京へ行くときは、だいたいいつも

行きは指定席(座れないと困るので)、帰りは自由席(始発なので待ちさえすれば座れる)

にしている。5時10分発の博多行きの自由席に座ろうと10分ほど前にホームへ行くと、

かなり人が多い。しかし隣のホームの5時13分発の大阪行きはガラガラだったので、

そっちの1号車に乗った。予想したとおりこの列車はかなりすいていて、二人掛けの席の

隣に誰も座ってこないので、大阪までゆっくり酒を飲んで、大阪から山陽新幹線に乗り

継いで夜の10時ごろ帰宅した。

 

4月29日(木=祝)

祝日だが、出張の疲れと締め切りの迫った原稿のため、一日中仕事場にこもりきり。

連休明けまでに片付けねばならない小さい仕事が4本あり、そのうち1本はどうしても

パソコンを使った作業が必要になる。これを優先的に片付けるため朝から夜まで

がんばって、1本目が完了。残る仕事は3本だが、そのうち1本の半分くらいは出張の

新幹線の中でやったので、実質はあと2本半だ。胃がくたびれているので夜は酒抜き。

ソーメンや卵焼きなど、消化によさそうなものを食べた。

 

4月30日(金)

仕事の目途が立ってきたのでちょっと釣りをやるつもりだったが朝寝坊してしまい、

海へ車を走らせる途中で風が強くなったので釣りは断念。そのまま仕事場へ。

昼過ぎまでに2本目の仕事がアップ。これで残りはあと2本。夕飯の買出しなどをして、

夕方は連休用のカキ取り。干潮の潮位が低かったので、ついでにシャコを掘ってみた。

しかしいつもの場所で15分ほど掘ったが全然おらず、腰にもきそうなので断念。

夕飯はスーパーで買ったマグロの刺身や焼きウドンなどを食べる。明日からは釣った

魚が食卓に並ぶ予定だ。

 

5月1日(土)

午前中は横島・田島で釣り(をしながら時々車に戻って仕事)。午後は仕事場で、

夕方までかかって3本目の仕事がアップ。時々ラジオを聞きながら仕事したが、

カープが負けて気分が今イチ。夕飯はハゲの煮付け・バンバンジーなどを食べて

焼酎を飲み、明日に備えて10時に就寝。下の娘も大阪の大学から帰省して

一家4人揃ってはいるが、昼間は各自別行動なので、ゆっくり釣りができる。

 

5月2日(日)

この日も午前中は釣りで、午後は仕事。夕方までに4本目の仕事が半分ほど完了。

今日は夕飯は各自が友達らと食べるというので、コンビニとスーパーで好きなつまみを

買って帰って一人で晩酌。今日釣れたチヌは、刺身と塩焼き用にして実家へ持参した。

撮り溜めしていたビデオを見たり、娘がツタヤから借りてきたマンガ本を読んだりして、

10時に就寝。この時期は、だいたい「10時に寝て4時半に起きる」ような生活になる。

 

5月3日(月=祝)

どうしてもハゲが釣りたいので生名島へ。活性が低かったが、どうにか5匹ゲット。

午後は3時過ぎまで仕事をして、4本目の仕事も無事に完了。これで、連休中の

仕事のノルマはとりあえず終わった。ただし、企画書作りなどはまだ残っている。

連休中に釣りしかしないのもなんなので、夕方は映画を見に行った。見た映画は、

「パレード」。若い男女の共同生活を描いたヒット小説を原作とする映画で、特別に

エキサイティングでもなければ泣けるわけでもないが、なかなか面白かった。

マンガに例えると、最近の浅野いにおのテイストだ。彼の出世作「ソラニン」も

映画化されて公開が近いようだが、あれは健全すぎて作者の持ち味とは少し違う。

この日も夜は10時過ぎに寝た。

 

5月4日(火=祝)

昔なら休みさえあれば一日中釣りオンリーだったが、最近はたまの休みでも

釣りをする時間は短い。3日連続で釣りをして、4日目はどっちでもよかったが、

仕事も片付いたしとりあえずやることがないので、4連チャンで釣り。場所は横島。

9時ごろまでにチヌが2枚釣れて、気分よく帰った。5月に入って一気に気温が上がり

この日もだいぶ汗をかいたので、シャワーを浴びて、コンビニで買った冷やしラーメンと

おにぎりとお茶の昼食をとり、ちょっと昼寝してから、またちょっと仕事。4月に宝島社に

出した企画書がダメ出しを食らったので、修正版を作った。「通るかどうかわからない

企画書」を作るのに平日の昼間の貴重な時間を割くのはもったいないので、この種の

仕事は休日にやるしかない。ついでに、ジャパンタイムズ社から来ている新刊企画の

執筆の参考にする本が数冊送られて来ているので、ざっと目を通す。夕方、下の娘と

映画を見に行く。「名探偵コナン」の劇場版だ。近年駄作が多いが最初からずっと

見ているので今年も惰性で見たが、今回のはまずまず面白かった。コナンの劇場版

は今回が14作目で、個人的には4〜5番目くらいにランクできる。シナリオがよく

練られていた。作者・青山剛冒のことは、同人誌時代から知っている。少年サンデー

連載中のコナンを読むと、よく1週間のサイクルであれだけの情報量の話を考え出し、

それを毎回決められたページの中に収められるものだと感心する。映画版は来年も

制作が決定しているようだ。今回は「クレヨンしんちゃん」の劇場版も前評判がよく、

どちらも見たかったが時間がないのでコナンにした。両作品とも、今後も当分は

映画が作られるだろう。夜は家族4人で居酒屋で外食。大学入学1か月目の娘が

カップめんや目玉焼きのような手軽なものばかり食べていて,魚や肉を最近口にして

いないと言うので,寿司や肉を食わせてやった。

 

5月5日(水=祝)

連休最後の日。釣りはお休み。下の娘が大阪へ帰るので、弁当を作ってやった。

自分が大学生の頃、東京へ帰るときにはいつも母親が弁当を持たせてくれていた

のにならって、2〜3日に分けても食べられるくらいの豪華版の弁当を作った。

 

 

メニューは,

 

・マッシュポテトの豚肉巻き

・焼き鳥(つくね・うずら卵)

・アスパラの牛肉巻き

・鶏の唐揚げ(フライパンで焼くタイプ)

・炒め物(豚肉・キャベツ・ピーマン・ウインナ)

・鮭の塩焼き

・ブロッコリーのおひたし

・ほうれん草のごまあえ

 

2時間ほどかけて作り,残り物で昼食をとって,今は仕事場でこれを書いている。

上の娘が仕事で車を貸してくれというので,今日はこのまま仕事場で夕方まで過ごす。

下の娘は午後の新幹線で大阪へ帰る。明日からまた,普段通りの生活が始まる。


 

今日はもう釣りの予定はないので、日記ふうのことを書いてみる。

 

鳩山総理の運命はどうなるのだろうか?沖縄の米軍基地の移転先が月末までに

決まらないと責任を取る、と言っているようだが。この件に関して世間の評価は

かなり厳しいようだが、総理を責めるのは気の毒だ。「地元の合意が必要」という

前提がある以上、誰が総理大臣であっても(たとえビートたけしでも)、この問題を

円満に解決することは不可能だろう。日本中を探しても、米軍基地を進んで受け

入れる自治体があるわけがない。「絶対に解けないパズル」を与えられた人を、

そのパズルが解けないのはお前の責任だと追い詰めるのはあんまりかわいそうだ。

強いて言えば、机上の案としてこういうことは考えられる。太平洋か東シナ海の

日本領土内の無人島をベースにして大規模な埋め立て工事を行い、人工島を

作って米軍の基地を移設する。これにはもちろんケタ外れの予算がかかるが、

「どの既存の自治体にも迷惑をかけない」ことを最優先するなら、この案しかない。

しかし、仮にこの案を出しても世論は大反対するだろう。「なぜ米軍のために

そんな多額の金をかけねばならないのか?」という理由で。結局、世論の大勢を

見ていると、次から次に新しいオモチャを欲しがっては、飽きるとすぐに捨てて

別のオモチャを欲しがる幼児のようだ。現時点での新しいオモチャは舛添さんかも

しれないが、誰が次期総理になっても、すぐに飽きられてしまうのは目に見えている。

そう考えると、政治家も気の毒な商売だ。


 

 

今は2010年の5月。フリーライターになってから、丸4年が経過した。

それまでは、某予備校の契約社員だった。当時と今の生活を比べると、基本的な

仕事のスタイルには大きな変化はない。毎日机にへばりついて原稿を書いている。

うちの会社の売り上げは、当時に比べると減っている。2〜3割減といったところか。

しかし、フリーになってつくづく思うのは、「もっと早くフリーになっときゃよかった」と

いうことだ。収入が多少減ったことなど、大した問題じゃない。今は、いろんな会社の

いろんな人たちといっしょに、いろんな本を作っている。出版社にもいろいろあり、

編集者にもいろんな人がいる。仕事の種類もさまざまで、好き勝手に原稿を書かせて

くれるところもあれば、ローンの契約書のごとく複雑なマニュアルに沿って書かねば

ならないこともある。印税方式の本は売れれば儲かるが、売れないと割りに合わない。

下請けや孫請けの原稿書きは報酬のベースがまちまちで、1日必死に働いても

水揚げは1万円以下のような仕事もある。しかし、そういう諸々の有利不利を

考慮しても、今の仕事の方がそれ以前の(契約社員としての)仕事よりも圧倒的に

楽しい。その1つの理由は、「モノ」と向き合っていさえすればいいからだ。モノとは、

パソコンとか、参考資料とか、締め切りとか、人間以外のもろもろだ。以前の仕事は、

必ずしもそうではなかった。何かを書くという作業は同じでも、実質は「ヒト」を相手に

しているようなところが少なからずあった。モノが相手の仕事は、基本的にストレスが

溜まらない。ヒトを相手にする仕事には、多かれ少なかれ人間関係上のストレスが

つきまとう。これは、どんな仕事でも同じだろう。

 

より重要なことは、今の仕事では、常に何か新しいモノを生み出している喜びがある。

以前の仕事はそうではなく、日の目を見ない企画や資料の方が多かった。

モノを作り出すという営みは、それが好きな人にとってはたまらなく面白いわけで、

板前さんや大工さんが自分の仕事に対して感じるのと同じ種類の喜びを、私も日々の

仕事の中で感じておるわけですね。

 

思えば自分、小さい頃からモノを書くのが好きでした。日記?もちろんつけてました。

昔の日記も取ってあります。恐くて読み返せませんが。中学2年生の時、夏休みの

宿題で「作文」が課されました。原稿用紙1〜2枚、という指示だったと思います。

自分、20〜30枚書いて提出しました。ちなみにテーマは、「少女マンガ論」です。

当時普通に愛読していた少女マンガの絵と少年マンガの絵をトレーシングペーパーで

なぞり、資料として添付しました。中学卒業後二十年以上たってから開かれた同窓会で、

「おお、君はマンガの作文を書いた佐藤くんか」と中学時代の恩師に言われました。

中学3年の夏休みにも、自由課題で作文が出ました。このときは、修学旅行の紀行文を

全文五七調で書いてみました。先生に読み上げられたときは恥ずかしかったですが。

「三つ子の魂百まで」とは、よく言ったものです。

 

上の娘は今、いろいろあって大学を中退し、ヨメの勤める(形式的にはうちの会社から

派遣している)葬儀会社でパートをやっています。娘は今、自分探しの真っ最中です。

娘には常々言っています。後悔するな、前だけ見ろ、と。オヤジも君くらいの年には、

いや30を過ぎても、さんざん自分探しをしてきた結果として、今の自分があるのだよ。

どんな経験も、ムダにはならん。一度きりの人生、思うように生きりゃええじゃないか。

自分で自信の持てることが何か見つかりゃそれでええし、なけりゃないで全然かまわん。

大切なことは、自分の選んだ道に対して、自分で責任を取ることだ。「世間並み」とか

「勝ち組負け組」とか「玉の輿」とか考えても、何にもならん。いつも言うとるけど、

結婚相手を選ぶなら、金持ちはやめとけよ。男は金を持つと浮気するけんな。

わしの経験上、この法則に例外はない(断定(笑))。しかし貧乏人もやめとけよ。

「金さえあったら夫の愛情はいらん」「愛情はあっても金がない」

--- どっちも、ええことないぞ。何が自分の幸せか、ゆっくり考えーよ。

 

 

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