日記帳(10年8月9日〜8月17日)

 

 

今年のお盆は,こんな感じだった。

 

8月13日(金)

昼間は普通に仕事。夜は毎年8月13日に福山駅前のホテルで開かれている

高校の学年同窓会に行った。参加者は例年より少なく,30数名だった。

特に行きたいわけでもないが,地元に住んでいるのに知らん顔もできんので,

お付き合い感覚で都合のつく年は出るようにしている。

参加していつも思うことだが,高校時代は印象に残るような思い出があまりなく,

体育会系の濃厚な友だち付き合いもしてなかったので,場違いな所にいるような

気分がする。顔を見れば「ああ,こういう人もいたなあ」とは思うが,当時の思い出を

語ろうにもネタが何もない。それでもこの年になれば誰とでも世間話くらいはできる

わけで,特に苦痛というわけでもない。町内会の寄り合いに参加するような気分だ。

一方,大学時代の友人や昔の職場の友人たちと会う機会も時々あり,その人たち

との付き合いはもっと親密だったので,毎回会うのが楽しみなんだが。

 

8月14日(土)

急ぎの仕事は片付いたが,8月中が締め切りの仕事をあと数本抱えているので,

この日も仕事。しかし曇り空で風も弱そうだったので,昼から3時間ほど釣りをした。

場所は横島の浜沖波止。紀州釣りでチヌを狙ったが全く当たりがなく,帰ろうかと

した満潮からの下げ始めに10分ほどの時合いがあり,25cmと27cmのチヌが

釣れた。あとはエサ取りもおらず,水面下に見える魚はザブトン級のエイばかり。

汗をだらだら流したので,夜はたらふくビールを飲んだ。

 

 

8月15日(日)

帰省している下の娘とシネマ尾道へ「ソラニン」を見に行く予定だったが,娘が

寝坊して開始時間に間に合わなくなったので,結局この日も終日仕事。夕方

釣りに行こうかとも思ったが,あまりにも暑いので外へ出るのはやめた。

 

8月16日(月)

夕方4時過ぎまで普通に仕事。帰宅してシャワーを浴び,ヨメの実家の広島へ。

親戚が集まって夕食。しかし親戚の小学1年生の男の子の具合が悪く,しばらく

入院するという。一時は「川崎病」と診断されたが,どうもそうではないらしく,

とりあえず肝臓が弱っているので入院して詳しく調べるそうだ。本人も大変だが,

親の方も経済的に大変だと思う。

 

8月17日(火)

これを書いている今は17日の午後5時過ぎ。今日はヨメのお母さんの実家の

県北まで墓参りに行って帰る予定だったが,ヨメに通夜の仕事が入ったので

それはパス。安佐南区にあるお義父さんの墓参りだけして帰った。結局この

お盆は,休みと言えるようなものはなく,ほとんど仕事場で仕事をしていた。

明日からまた本格的に仕事に追われる日々が始まる。

 

 

話は変わって。ちょっと前に,上の娘が福山駅前の喫茶店から電話をかけてきた。

「腹が痛くて動けんので,車で迎えに来てほしい」と言う。松永から福山駅までは

車で30分ほどかかるので,「救急車を呼べ!」と伝えて,すぐ仕事場を出た。

福山駅へ行く途中で車を停めて娘の携帯に電話したが,応答がない。119番へ

電話して,「福山駅あたりに救急車が出動してないですか?」と尋ねると,娘らしい

患者を乗せた救急車が今病院を探しているという。しばらくして向こうから連絡が

入り,娘が運ばれた先は,国道2号線沿いにある「○○病院」だと聞いた。

 

「えー,あそこ?」と,そのとき思った。その病院の悪い評判は,地元では有名だからだ。

実際に自分や身内がその病院にかかったことはないが,世間の評判はすこぶる悪い。

福山市民なら知らない人はおるまい,というくらい悪い。しかし救急指定をされている

病院の1つなので,救急患者がそこへ運ばれるのはまあ止むを得ない。果たして,

その世間の評判は,正しいのか,それとも誤解なのか?--- ちなみに娘に後で聞いた

話では,救急車のスタッフには「たぶん,おなかの風邪でしょう」と言われたそうだ。

 

 

このエピソードの顛末は,想像を超えるものだった。

 

1つは,世間の評判の悪さだ。後日,誰に聞いても,「あそこは絶対にやめといた

方がええよ」と言われた。一般人のみならず複数の医者からも,同業者だから露骨な

言い方ではないが,「あそこの病院はいろいろ問題があるとは聞いてます」と言われた。

もう1つは,実際にうちの家族が体験した話だ。端的に言うと,病院の設備とか,受付や

看護師の応対には特に問題を感じなかった。ダメダメだったのは,医者だけだ。

 

娘が救急車で運び込まれたのが土曜日の夕方で,連絡を受けて病院へ行くと,最初の

医者Aが「今晩と明晩の2泊の入院が必要です」と言った。医者の言うことだから

もちろん聞くしかないので,当日夜に着替えなどを持って行ってやった。このときは

本人の苦しみ方も相当なもので,点滴を受けたままベッドの上で「腹が痛い」と言っていた。

医者の話では,腸が全く動いていないので,物は食べずに腸の回復を待ちながら点滴で

栄養を送ります,という話だった。そこまではいい。

 

翌日の昼ごろ様子を見に行くと,既に娘は見た目完全に回復していて,「腹が減った」と言う。

しかし点滴の針が刺さったままでもあるし,まだ絶食状態だった。もともと体調が回復すれば

2日で退院できるという話だったが,娘の話では,この日娘を診察した別の医者Bから,入院

期間が延びるかもしれないと言われた,という。結局翌日の昼ごろヨメが迎えに行き,無事に

退院できたわけだが,後で娘とヨメから聞いた話を聞いて,いろいろと驚かされた。

 

入院した日に血液検査をした結果,肝臓の値が異常に高くなっていて(何の値かは知らない),

翌日にはだいぶ下がったが,「毎晩大酒を飲んでいる年寄りと同じくらいの値です」と医師Bは

娘に言い,「いったん退院しても,この値が下がるまではすぐ入院し直す必要がある」という

趣旨のことを言ったそうだ。さらに娘は胃カメラを飲まされ,あれこれと病気の診断を下された。

医師Bは,本人の目の前で病名を読み上げながらカルテに書いた。ついた病名は,「大腸炎

逆流性食道炎」,そして「慢性肝炎」だ。退院の日にヨメがその医師に説明を受け,さらに

「心電図をとりましょう」と言われたが,ヨメは拒否した。「これ以上,お金のかかる検査はやめて

ください!」とヨメは言ったそうだ。2泊の入院と検査などに要した費用は,社会保険を適用

して5万数千円だった。どうやら医師は一種の「営業トーク」として患者の不安をあおっている

ような感じで,患者が黙っていればとことんぼったくられる,という感じだ。さらにその医師は,

聞いてもいないのに「実は自分は以前は某・大病院にいたのだが,いろいろあってここへ

飛ばされた」という趣旨の身の上話を,娘の前で始めたそうだ。あとで看護師さんが娘に,

「あの先生,ちょっとヘンですけど,気にせんでくださいね」とフォローしたという。

 

娘が退院したその足で,近所の胃腸科専門の病院へ連れて行き,その病院の医師の

診断を仰いだ。「詳しいデータを見てみないと何とも言えませんが,たぶんウイルス性の

大腸炎だと思います」と言われた。その病院の医師は,「どこまでがtoo much(やり過ぎ)

かは判断の分かれるところですが,自分だったら血液検査もしないし,入院もさせなかった

かもしれません」という。後日,最初の病院からレントゲン写真などのデータをもらって来て

その先生に見せると,結果はまさにそのとおりで,要するに救急隊員の言った「おなかの

風邪でしょう」という見立てが正しかったのだ。娘は今はもうピンピンしている。

 

後で思うに,最初の医師Aは,間違ったことは言ってなかったと思うが,最初から「2泊の

入院が必要」という判断をしたのはどうかと思う。現に娘は1泊したらほとんど回復していたが,

食事ももらえずずっと点滴の針を刺されっぱなしだった。そして医師Bは,どうして1回の

診断で肝臓の値が高いからといって「慢性」肝炎とわかるのか?娘は1年ほど前に別の

病院で血液検査を受けたことがあり,そのときはどこも悪くなかった。だから少なくとも

「慢性」ではないだろう。そして,「交通の便の問題もあるので近所の別の病院に変わりたい」

と理由をつけてこの病院から検査データをもらった際に,医師Bが書いた引継ぎの診断書も

いっしょに入っていたのだが,そこには「慢性肝炎」とも「逆流性食道炎」とも書いてなかった。

つまり医師Bは,あれこれ病名をつけて患者をむりやり入院させたいのか,あるいは病気の

名前によって薬代とかの利益幅が違ってくるのかは知らないが,とにかく何らかのよこしまな

動機によって,厳しく言えば「病気を捏造」していたことになる。これが犯罪に当たるのか

どうかは知らないが,少なくとも医者のやることではないだろう。2番目に言った地元の病院の

先生はわりと大らかな人で,「まあ大したことはないでしょう」という診断をしたが,普通に

考えればこういう対応の方が医師側のリスクは大きい。「先生は大丈夫と言ったはずなのに,

実際は大丈夫じゃなかった。責任取ってくれ」という話になる可能性があるからだ。したがって,

医者としては「万一のことを考えて,関係ないかもしれませんが胃カメラも飲みましょう,心電図

も撮りましょう」というのは,一種の自己防衛あるいは経営戦術としては「あり」なのかもしれない。

しかし,患者の側からすれば,そんな医者にみてもらおうとは思わない。

 

営業妨害をするつもりはない(医者には大いに問題があるが病院スタッフには恨みはないので),

病院の名前は出さない。福山市民なら「ああ,あそこね」とわかるだろう。万一事故にあって

救急車で運ばれて,気づいたところがその病院だったら,「入院は1日だけにしてください。

それ以上必要なら別の病院に入ります」とはっきり主張する方がいいと思いますよ,皆さん。

 

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