日記帳(2014年3月2日)

 

 

今手がけている仕事があと1週間〜10日かかるので,今日の日曜日も朝から

パソコンに向かっている。3月中旬くらいには釣りに行きたい。

 

最近,東京の図書館で「アンネの日記」や関連本が切り刻まれるという事件が起きた。

中国新聞の投書欄にも,この事件に対する感想が多く寄せられていた。

今どき新聞に投書するのはほとんど年寄りだが,みんな同じようなことを言っている。

いわく,「犯人が許せない」。

 

そうですか。許せませんか。

許せるか許せないかと問われれば,誰でも「許せない」と言うだろう。

でも,オジサンはちょっと違う感想を持ちました。

 

それは,「犯人がかわいそう」。

人間の寿命はたかだか数十年。思想とか病気とかお金とか人間関係とか,いろんな

制約に縛られて不自由な生き方をしている人を見るのは胸が痛む。

前に掲示板荒らしがあったときにも書いたが,貧しい国で飢えに苦しむ子どもたちに

対して感じるのと同じ気持ちを,今回の犯人に対しても感じてしまう。

 

ちょっと前の話になるが,少年ジャンプに連載中の人気マンガ「黒子のバスケ」の

作者や作品を扱うイベントなどに執拗に脅迫を繰り返した男が逮捕された。

意外にも犯人は作者と面識がなく,「標的は成功者なら誰でもよかった」と供述した。

この犯人も,あるいは今でも頻繁に新聞の紙面に載るオレオレ詐欺グループなどの

高齢者を狙った犯罪者も,本人たちはどういう気持ちだろうかと思う。

一片の良心の呵責も感じない,ということはたぶんないだろう。

亡くなったまど・みちおさんじゃないが,人間は生きているだけで価値がある。

われも人間,犯罪者も人間。みんな自分の命を全うして死ねたらいいですね。

 

 

話は変わって。

オジサンは国会中継が好きではない。

理由は,議員たちの質問の要領が悪くて見ちゃいられないからだ。

穏当に言えば質問に戦略性がない。露骨に言えば頭が悪い。

多くの場合,質問者は最初のうちは質問しているが,途中から持論を語り出す。

「(私の考えでは)〜じゃないんですか」という類の質問には,相手に「それは

あなたの考えであって,私はそうは思わない」と答えられたらそれでおしまいだ。

数日前にもテレビのニュースで映像が流れていたから見たんだけども。

NHKの会長が答弁に立って,どこぞの国会議員が質問していた。

ところが,この質問がまるでなってない。談合でもあるんじゃないかと思うくらい,

相手がいくらでも言い逃れできるようなことを尋ねていた。

NHKの会長は就任時に10人の委員に日付を入れない辞表を提出するよう強制

したことが問題視された。これに対して本人は「民間では普通のことだ」と答えた。

民間で普通かどうかを論じても答えは出ないし意味がない。問題は,本人が辞表を

提出させた意図だ。国会で本人は「人事のことだからコメントできない」と答弁した。

そのとき質問者は,「辞表を出させれば委員は脅迫されたような気持ちになるん

ですよ」という愚かなことを言い出した。これではディベートには勝てない。

 

このニュースを見ていて,かつてオウム神理教がマスコミを賑わしていた当時の

報道を思い出した。その頃テレビで当時のオウムの広報部長と並んでよく見かけた

のが,人気作家S氏の友人でメディアにも顔が売れていたK弁護士だった。

ところがこのK氏。血の気が多すぎるのか,視聴者は客観的な情報を求めているのに

自分の意見を語るばかりで,途中からぱったり出なくなった。コイツじゃだめだ,と

テレビ局が判断したのだろう。弁護士でもその調子だから,(あくまでイメージだが)

理屈で物を考えるより自分の主張を語るのが好きな政治家たちに,論理的な思考を

期待する方が無理な気がする。だからオジサンは国会中継が好きではない。

「なんでこういう質問をせんのじゃ!」とツッコミたくなって,ストレスが溜まるからだ。

 

あそこは,こう尋ねてほしかった。

 

あなたが辞表を預かるのはあなたの自由です。あなたには委員を罷免する権限が

ありますから。では,あなたが委員を不適格と判断するとしたら,その基準は何ですか」。

 

この質問に対してNHK会長がどう答えようと,質問者は自分の有利な方向に

議論を導くことができる。分析的に言えばこうだ。

 

(1)会長が「人事のことだから答えられない」と回答した場合,質問者はこう切り返す

ことができる。「判断基準を答えられないということは,自分の好みで委員を罷免する

こともありうるということを,あなたは自ら認めたことになりますね」。ここで質問を

打ち切れば,このディベートは質問者の勝ちだった。

 

(2)会長が「委員の意見が(いろんな意味での)公平性を欠く場合は不適格と判断

される」という趣旨の答えをした場合は,「その公平性をあなたが判断するという

ことは,あなた自身は自分が公平だと思っておられるわけですね」と言うだけでいい。

それだけで国会中継を見ている国民には十分なメッセージが伝わるだろう。

 

(3)会長が「世間で行われている人事と同様の常識的な判断をします」と答えたら,

「つまり,半沢直樹のようなことが起こり得るわけですね」と言ってやればいい。

一般企業や役所の人事が公平に行われていると信じているおめでたい社会人は

まずいない。

 

代議士の本来の仕事は国会の論戦なんだから,もうちょっと議論のしかたを勉強しようね。

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