日記帳(2017年12月17日)

 

年末進行で仕事も雑用も忙しく,気温も低いので釣りはなし。

今日の日曜日は,年賀状作りと施設に入っている父の見舞い。夜は忘年会が入っている。

下の写真は,先週の日曜日に釣ったコブダイを月曜日に調理したもの。

前に生春巻を作ったときにスイチリ(スイートチリソース)が余っていたので,コブチリにしてみた。

片栗粉をまぶして焼いておくと身が崩れにくい。ヘルシーで家族にも好評だった。

 

夕方まで時間があるので,ツイッターふうのコメントを添えてざっと今年を振り返ってみたい。

記憶に残った今年のニュースを思い出すままに並べてみると,まず今年の漢字にもなった「北」の問題が思い浮かぶ。

国境の向こうから銃撃を負いながら韓国へ逃げて来た兵士は,これからは韓国で保護されて生活できるだろう。

親族が自分の罪をかぶって処刑されることを承知の上で,それでも逃亡した彼の心情を思うと胸が痛い。

報道によると彼は「韓国では選挙によって大統領が決まる」と聞かされて驚いたという。

北海道に漂着した漁船の乗組員が現地の発電機などを盗んで捕まったのも,ある種の洗脳の結果だろう。

ゆがんだ思想に染められることの恐ろしさを強く感じる。

 

それに関連して,洗脳ではないが,今年世間を騒がせた人物の一人に,松居一代という人がいる。

先日,船越英一郎との離婚が成立して「勝利宣言」をしたそうだが,もし「イタい人大賞」というものがあれば,

「このハゲー」の豊田真由子を抑えて大賞を受賞するのは松居一代だろう。

彼女は簡単に言うと,ダンナの浮気に対する猜疑心や嫉妬心が強すぎて,道を踏み外した人だ。

同じことは,東京の富岡八幡宮で起きた宮司刺殺事件の犯人にも言える。

弟が姉を恨んで起こした犯罪ということだが,拇印を押した何千通もの手紙を全国に送っていたそうだ。

理由はそれぞれ違うだろうが,強い執着心や思い込みにとらわれた人は本当に気の毒だ。

背景には生来の性格もあるだろうし,育った環境もあるだろう。一概に本人の責任にはできない。

何にせよ,こだわりが強すぎると人間ロクなことはない。

こだわりを極力捨てて欲望をコントロールすることだけが,幸福への道だと思う。

 

殺人と言えば,神奈川県座間市9人が殺された事件があった。

「死にたい」と思う人が大勢いる以上,この種の事件を防ぐ根本的な解決策はない。

現実的な対応としては,公費で「おとな電話相談室」のようなものをできるだけ多く作ることくらいだろう。

話し相手ができるだけでも,救われる人は大勢いると思う。

 

スポーツ界の最大の事件と言えば,横綱・日馬富士による貴ノ岩への暴行だろう。

週刊誌では八百長の問題などと絡めてあれこれ報道されているが,「殴った」こと自体についてはこう思う。

「暴力は絶対にいけない」と言う人は「暴力とは何か」という点をもう少していねいに考えた方がいい。

前にも書いたが,単に物理的な力を加えただけでは暴力ではない。

少なくとも,相手が「痛い」「いやだ」という2つの感覚を持つことが,暴力の成立要件になる。

つまり「痛いけれどいやではない」というたぐいの力を加えられても,本人はそれを暴力とは思わない。

恋人同士がいちゃいちゃしている場面を想像すればわかるだろう。

何が言いたいかといえば,暴力であるかどうかを判断するのはそれを受けた人自身だということだ。

体罰もしかり。身体的な痛みを伴う罰を受けても,本人がそれを「いやだ」と思わなければ体罰ではない。

その現実を棚上げして論じるから,体罰論争は常に不毛な意見のすれ違いに終わってしまう。

もう少し現実寄りの話をするなら,相撲協会が今後取るべき再発防止策は次のようなものであるべきだろう。

「後輩に対する指導は,節度を持って行うこと。病院での治療が必要なほどのけがをさせる力を故意に

相手に与えれば,節度を越えた暴力とみなして罰則を課す。」

逆に言えば,それほどのけがでなければ暴力とはみなさないということだ。

それくらいのグレーゾーンを残しておかないと,相撲に限らず現実的な対策にはなり得ないだろう。

 

三面記事で言うと,「るろうに剣心」の作者・和月伸広氏が,児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)

の容疑で警視庁に書類送検されたという事件があった。児童ポルノのDVDの所持が発覚して連載は中断。

本人は深く反省しているという。この件に関しては,素朴な疑問がある。

ウィキペディアによれば,児童ポルノの単純所持が禁止されたのは2014年の法改正以降だという。

単純所持の是非自体は棚上げするとして,また法律に詳しくないので誤解かもしれないが,

それ以前に児童ポルノ(本やDVD)を買っていた人は,新法の施行前にそれらを捨てねばならなかったのだろうか。

それだと,「これらの本やDVDに支払ったオレの金は,誰が弁償してくれるのか?」ということにならないだろうか。

一般に法律は,制定前の事実には適用されない。いわゆる不訴求の原則だ。

児童ポルノの単純所持に関しては,その原則との整合性はどうなんだろうか。

何にせよ,和月氏の罪は法律違反ではあるが,質としては軽いと思う。

かつて16歳の少女との援助交際が発覚して謹慎した「トリコ」の作者・島袋光年氏は,2年ほどで復帰した。

それを考えると,現在連載が中断している「るろ剣」の続編も,来年中には再開するだろう。

和月氏に対しては「ネットの仮想少女ポルノ(CG)で我慢しときゃよかったのに」と助言しておこう。

 

政治に関して言うと,安倍政権が国民の信任を得たという大きなニュースがあった。

反論は認めない。選挙で大勝したということは,国民が現政権を信任したということだ。

ただ,安倍さんの悲願である憲法改正の道のりは険しいだろう。

9条の1項・2講をそのまま残して自衛隊を明記する追加条項を入れるという案が安倍さんの口から

唐突に出たが,あんな案を支持する人は右にも左にもいない。

憲法改正の議論はそれなりに盛り上がりはするだろうが,実質的には大きな変化は起きないと予想する。

しかしそれにしても,今の若い人は自民党や維新よりも共産党や民進党の方が「保守」だと思ってるんだね。

世代間で話が通じないのも無理はないわな。

 

ついでに核兵器禁止条約についても一言。

先日ノーベル平和賞の受賞式で被爆者のサーロー節子さんが演説したというニュースが流れた。

うちの地元の中国新聞は,いつでも「核兵器は絶対悪だ」という言い方をしている。

何度でも同じことを言うけれど,「絶対悪」という言葉を口にしていいのは被爆者(の身内)だけだ。

言い換えれば,被害者自身が合理的思考を止めて感情論一色になることは,誰にも非難できない。

しかし被害者の周囲の人間がそれと同じ態度を取れば,それは危険な思考放棄でしかない。

日本政府は今のところ,核兵器禁止条約に署名するつもりはない。

それに賛成か反対かと問われれば,わたしは「消極的賛成派だ」と答えたい。

理由は,反対派が嫌いだからだ。

あくまで想像だが,彼らは「核兵器は絶対悪だ。だから禁止するのが当然だ」としか考えていない。

そこで思考が停止している。それが気に入らない。

核兵器が絶対悪なら,それを保持しているアメリカその他の大国は「絶対的な悪人」ということになる。

しかし彼らには「核抑止力」という彼らなりの論理があり,日本政府もその論理を支持している。

その論理を否定したいなら,次のどちらかの主張が必要だ。

@核抑止力は有効ではない。(核兵器を持っていても戦争の抑止にはならない)

A核抑止力のメリットよりも,核兵器廃絶のメリットの方が大きい(あるいは前者のデメリットよりも後者のデメリットの方が小さい)

@は証明不能であり,既に証明されているとも言える(現に日本は米国の核の傘に守られている)。

Aは原発の是非の議論に似ている面もある。核兵器にも原発にも,メリットとデメリットがあるからだ。

ただし原発についてはメリットとデメリットを計量的に評価できるが,核兵器ではそうした評価が難しい。

しかし少なくとも,@Aのどちらか(あるいは両方)の路線に乗っかって議論することが大切だ。

原発反対派の中には「原発は危険だ。だから全廃すべきだ」というゼロか100かの発想を持つ人が多い(ように思う)。

核兵器もそれと同じで,「絶対悪」なんて言葉を使っているうちは,ゼロか100かの思考停止状態を抜け出すことはできない。

それは,周囲の人々を「自分の敵か味方か」で区別しようとする危険な発想なのだ。

 

そして,そういう発想を戒めるようなことが書いてある1冊の本が,今年大ヒットした。

この「君たちはどう生きるか」は,1937年に発表された吉野源三郎の小説であり,今年漫画化もされた。

帯には池上彰が子ども時代に読んで大きな影響を受けたとも書かれている。

マンガ版を読んでみた感想を一口で言えば,「いい本だ」と思う。

何よりも,説教臭くない。「君たちはどう生きるべきか」ではないのだ。

主人公の少年は,思春期のさまざまな悩みを抱えている。

おじさんは彼に対して「君の今の悩みや気づきは,君にとってとても大切なことだ」と助言する。

言ってしまえばそれだけの内容だが,特定の思想を押し付けようとはしていない。

思春期の子どもに読ませたい本の1冊と言ってよいと思う。

 

ついでに,今年読んで印象に残ったマンガを10作,画像だけ挙げておく(順不同)。

 

映画で一番面白かったのは,10月の終わりに見た「ミックス。」。

新垣結衣と瑛太が主演する卓球の話で,カタルシスがあった。

劇場アニメでは,先日(アニメ界のアカデミー賞と言われる)アメリカのアニー賞に日本の2作品がノミネートされたという。

1つは「この世界の片隅に」。これは納得できる。しかしもう1つの「ひるね姫」は,No kidding! と思った。

「ひるね姫」は,今年見た劇場アニメでは最低の作品だった(あくまで個人的評価)。

絵もありがち,話もありがち。あんなものを今さら劇場で公開して,監督は何がしたいんだ?

湯浅政明監督(今年公開された2つのアニメが海外の映画祭でグランプリを受賞した)のチャレンジ精神を見習えよ,と言いたい。

深夜アニメで5本挙げるなら,「幼女戦記」「終物語」「メイド・イン・アビス」「宝石の国」「クジラの子らは砂上に歌う」かな。

これから冬場はほとんど釣りにも行かないので,駅伝中継や録画しておいたアニメや映画を見たりして時間をつぶすことになるだろう。

 

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