■ ハリ ハリを選ぶ際のポイントは,2つあります。それは「フトコロの広さ」と「軸の太さ」です。 ここで,初心者の方のために,ハリの機能を簡単に説明してみます。右の写真を見てください。左から順に,「流線」「丸セイゴ」「チヌ」「カワハギ」「グレ」のハリです。これら5種類のハリのうちでかぶせ釣りに適しているのは,真中の「チヌバリ」と,右端の「グレバリ」です。それを「形状」と「強度」の面から考えてみます。 かぶせ釣りでは,カキの身の中にハリを埋め込むため,フトコロの広いハリ,つまりハリ先が軸から離れているハリの方が,掛かりがよくなります。要するに,「食い込みの良さ」よりも「掛かりの良さ」を優先するわけです。たとえば,キスやハゼを釣るのに使う流線型のハリ(写真左端)は,フトコロが極端に狭くなっています。この形状のハリは,魚の口に入りやすい反面,掛かりが悪い(スッポ抜けしやすい)面があります。かぶせ釣りの対象魚は大型魚のうえに口の堅い魚が中心なので,掛かりの良さが最優先になります。その点から言えば,カワハギ専用のハリ(写真右から2番目)が最もフッキングしやすい形状と言えるでしょう。この形状は,魚がハリを飲み込むことは最初から想定していません。ハリ先が魚の口に引っ掛かればいいわけです。 しかし,もう1つの問題があります。それは「ハリの強度」です。カワハギ専用のハリは,見るからに強度の面で問題があります。大型の魚が掛かったら,ハリが伸びてしまうことは歴然です。強度の面から言えば,チヌバリとグレバリが適していると言えるでしょう。しかし,かぶせ釣りで50cm級のコブダイが掛かると,3号くらいのチヌ鈎でも,折れたり伸ばされたりすることがしばしばあります。そこで,コブダイ狙いのときは,チヌバリよりもグレバリ(または伊勢尼)の10号以上(またはマダイバリの7〜8号)をお勧めします。グレバリの方が軸が太く,強度があるからです。ところが,軸が太いということは,それだけ「掛かりにくい」ということでもあります。細いハリの方が魚の口にささりやすいことは,容易に想像できるでしょう。実際,グレ鈎でカワハギやウマヅラハギを釣ると,バラシの連続になることがよくあります。そこで,主なターゲットとする魚に応じて,ハリを使い分ける必要が生じます。私はよく,「チヌグレ」というタイプのハリ(3〜4号)を使います。このハリは,軸の太さがチヌバリとグレバリの中間くらいです。つまり,チヌバリよりも強度があり,グレバリよりも掛かりがよい,ということになります。初心者は,チヌバリの3号前後を使うのが無難でしょう。それで(コブダイに)ハリを曲げられたり折られたりするようなら,チヌグレ,グレ,伊勢尼,マダイなどのハリを使ってみてください。 ところで,ハリにはさまざまな工夫がされているものがあります。たとえば右の写真のハリには,2つの特徴があります。1つはチモトが「カン付き」であること,もう1つは軸に「カエシ」が付いていることです。冬場の釣りでは,手がかじかんでうまくハリが結べないこともあるので,カン付きのハリが便利なこともあります。ただし,結び目の強度は多少落ちることを頭に入れておく必要があります。また,軸にカエシがついていると,カキの身がずり落ちにくいというメリットがあります。私も狙う魚と状況に応じてこうしたハリを時々使っています。なお,ハリの色については,私の経験から言えば特に釣果に差が出るようには思われません。カキの身が白いので,黒塗りのハリは避けた方がよいかもしれませんが。 <2003.1.8追記>(東広島のタカさんから届いた,ハリの結び方に関する情報です)
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