■ ハリス  

ハリスを選ぶ際に最も大切なのは,「根ずれに強い」タイプのハリスを選ぶことです。かぶせ釣りでは,魚が根にもぐろうとして(底のカキや岩にこすれて)ハリス切れを起こすことがよくあります。私はふだんは,写真(左)の「トヨフロンLハード」を使っています。もちろんこれ以外でも,磨耗耐久性の高い糸ならどれでもかまいません。


ハリスの太さ・長さは,最低でも1.5号(1ヒロ)が目安です。1.5号より細いハリスだと,合わせ切れを起こすことがあるのでお勧めしません。チヌやアイナメなら,魚拓級の大物でも2号程度で十分取り込めます。しかし,コブダイが多い波止では,3号ハリス以上をお勧めします。一般にはハリスは細いほど食いがよいとされていますが,ナイロンやフロロカーボンの(無着色の)ハリスであれば,太さによる食いの差はほとんどないと思います。大型のコブダイに何度もハリスを切られてしまうときは,写真右のケプラー糸(撚り糸)の3号を使ったり,PEラインの道糸にハリを直接結んだりしますが,これらの糸は太い上に色付きなので,多少食いが落ちるようです。ケプラー糸を使う場合も,長さは1ヒロ程度取ります。ハリスが短いと,道糸の方が根ずれで切れやすくなります。またPEは引っ張る力には強いですが,根ずれには弱い糸です。根の荒い場所では,避けた方が無難でしょう。どうしても大型コブダイにこだわりたいなら,10号以上の太いナイロンテグスを使う手もあります。こうなるともはやイカダ竿のガイドを通りませんので,船釣りなどで使う糸巻きにラインを巻いて,竿を使わずにぶっこみ釣りにします。魚とのやりとりは,手でラインを引っ張り上げます。ほとんど漁の世界ですが,このスタイルなら80cmでも90cmでもOKでしょう。ただし,コブダイ以外の魚はほとんど釣れません。


なお,チモト(ハリとハリスの結び目)の補強用として,セキ糸を使うこともあります。セキ糸は麻などの繊維で編んだ太い糸で,ハリスの上から巻きつけて瞬間接着剤などで止めます(「根付糸」としてハリス代わりに使うこともあります)。特にアイナメは赤い色を好むと言われており,ベテランの中にはチモトに赤いセキ糸を使う人もいるようです。私も試してみたことがありますが,特に釣果に差があるようには思われません。なお,かぶせ釣りでは底を釣る関係上,どうしてもある程度の根掛かりが伴います。セキ糸を使う場合はハリス交換に手間取るので,事前に何組か用意しておいた方がよいでしょう。