■ リール  

※ このページは,最初に出した記事から文面を変更しています。

私がふだん使っているのは,写真左,両軸タイプの「スーパーチヌジャッカーSS」(ダイワ)です。最近は,右の細原さんおすすめの「バイキング筏44」(ダイワ)も,状況に応じて使います。

福山方面で私よりベテランのかぶせ釣り師の皆さんは,ほとんどがタイコリールを使っておられます。私も最初の頃はタイコリールを使っていましたが,その後試行錯誤した結果,チヌジャッカーに落ち着きました。タイコリールに関しては私は経験が浅く,誤解していた点もありますので,関連記事を削除しました。なお,タイコリールは機構上,リールを巻く向きが普通のリール(スピニングなど)とは逆のものが多いので,初めての人は戸惑うかもしれません(バイキングは右手巻きにできます)。私の知っている限り,福山近辺のベテランかぶせ釣り師さんたちの多くは,右手で竿を持ち,タイコリールは左手で巻いておられます。私は左手でリールを巻くのが苦手だったこともあって,チヌジャッカーを選びました。ちなみに,リールを逆向きに巻くのはどうなのか?とずっと思っていましたが,いつも大物を釣っているひでさんに「竿をあおる動きとリールを巻く方向が同じ方が力が入りやすい」と聞き,なるほどと納得しました。

なお,私はスピニングリールは使っていません。理由の1つは,スピニングリールはけっこう重く,常時片手で竿を握っているかぶせ釣りでは手がくたびれること。もう1つは,着底直後の当たりに対処するのが難しいことです。


※ 以下,「月刊釣り仲間」2006年5月号の「かぶせ釣り最前線」からの抜粋です。

「これからかぶせ釣りを始めたいのだが,リールはどれがいいのか?」という方もおられると思います。そこで,チヌジャッカーとバイキングの「使い勝手」について,私の経験をもとに比較してみます。

バイキングは構造的にはタイコリールと同じですが,大きな特徴が2つあります。1つは,糸がゆっくり出ていくので,スプールを指で押さえる必要がないことです(ただし中層で合わせたりサシエの落下速度を調節したりする場合は指ブレーキをきかせます)。第2に,ストッパーをオンにすれば糸が全く出ません。したがって,バックラッシュが起きません。私はヘタクソだったので,普通のタイコリールを使っていて,合わせの瞬間にスプールを押さえるのを忘れて,バックラッシュを起こしたことが何度もあります。

バイキングが絶対的に有利な状況があります。それは,水深のある釣り場でハゲ(ウマヅラハギ)の活性が高まったときです。ハゲのタナは,刻々と変化します。水面下2mで当たったり5mで当たったり,という状況だと,どのタナでも合わせのきくバイキングや,普通のタイコリールが有利です。私はこういう状況でも普通はチヌジャッカーを使って対応しますが,スピニングだとまず無理だろうと思います。

一方,バイキングの機能がうまく生かせないケースもあります。タイコリールの場合,いくら「フリーに落とし込む」とは言っても,スプールを回転させながら糸を出すわけですから,なにがしかの抵抗はかかります。したがって,「ごく軽いカキ」をサシエに使う場合,サシエの重みで糸を出すのが難しくなります。そして,そういう状況はしばしばあります。基本的にかぶせ釣りでは,「サシエはできるだけゆっくり落とす」のが有利です。水深や潮流に応じて重いカキを使ったり砂をかぶせたりもしますが,「サシエの落下速度が遅いほど魚が当たる確率は高まる」と考えて,ほぼ間違いありません。

結局,軽いカキをゆっくり落とす場合は,道糸をあらかじめ出しておくことになります。このとき中層での当たりを取ろうとすれば,「常に糸にテンションをかけた状態を保つ」ことが必要です。私がチヌジャッカーで竿を上げ下げしているのは,それを実行しているわけです。(要するに,チヌジャッカーでもバイキングと同じ状況は作り出せる,ということです)

チヌジャッカーを使う場合の私の竿の操作方法を詳しく言うと,こんな感じです。まず,あらかじめ道糸を投入距離より2〜3m分余分に引き出しておきます。サシエが水面に落ち,1〜2m落ちたあたりで糸が張ります。このままではラインが出ないので,手で道糸を引っ張って1mくらい出し,竿をあおって糸を送ってやります。このとき竿先は頭上近くにあり,糸が張った状態になっています。サシエの落下に合わせてだんだん竿をねかせ,竿先が下を向いたあたりで同じ動作を繰り返します。このようにして,常に糸を張ったままサシエを落としていきます。

この方法の一つのメリットは,道糸を引き出す操作の数をカウントすることで底取りができる点にあります。たとえば横島・坊地の場合,私の場合は満潮時にこの動作を8回繰り返すと,サシエが着底します。それによって足元の水深が測れます。また,中層で当たる場合でも多くは底から1m以内がヒットポイントになるので,回数を数えながら落としていけば当たりの出るタイミングを予測できます。

「竿先が頭上近くにあるときに当たりが出たら,合わせがきかんのじゃない?」と疑問に思う方もおられるでしょう。それは,その通りです。そこで,当たりの出そうなタナに近づいたら竿をあおる動作を小刻みにして,20〜30cmくらいずつ落としてやります。このとき竿の角度は,最大でも「水平より少し上向き」くらいに保ちます。

これを読んで,「チヌジャッカーの扱いはめんどくさそうじゃ。バイキングの方が簡単でええ」と思う方もおられるでしょう。実際,初心者がまず手に取るリールとしては,バイキングが一番いいかもしれません。ただ,道具というのは手になじんでくればどれでも上手に使えるようになるし,使う人との相性もあります。私がバイキングをあまり好まないのは,フッキングが甘くなるような気がすることと,魚が掛かってリールを巻き上げるときの感触にどうも違和感があるからです。テンションが緩む瞬間を感じるというか。このあたりは感覚的なものなので,好きずきの問題ですね。私は最初から考えませんでしたが,スピニングを使ってかぶせ釣りをしている人も大勢おられます。「この道具でなくてはいかん」ということはありません。