最終更新日: 2003/06/22

雑記帳 (その他編-4)

 


 

 

● 2003/6/22(日) 創作劇 『プロジェクトY』

 

これは,劇のシナリオ案です。なんでこんなモノを作ったかというと,上の娘が

中学の演劇部に入ってまして,毎年文化祭とかで1時間ほどの劇をやるわけです。

劇の脚本は本やインターネットから借りてくるそうで,中学生向けのシナリオを

集めた演劇素材集みたいなものがある,とのことです。

それらを見せてもらいましたが,個人的にどうも好きになれんのですね。

とにかく,テーマが重過ぎる。不治の病とか,戦争とか,家庭崩壊とか・・・

劇だからドラマチックであらねばならず,なおかつ中学生の劇であるので

教育的配慮も必要なわけですが(単なるお笑いなどは不可),それにしても

「もうちょっと観客がリラックスして観られるような劇の方がええんと違う?」

という思いから,「いっちょ,ワシが脚本書いちゃるわ」となったわけです。

もちろん,このシナリオが娘ら演劇部員に採用されるかどうかは全然わかりません。

わりと短時間(夜しこしこ書き足して1週間くらい)で書いたわりには一応自分的に

納得のいく内容になったので,ここに公開する次第です。

どっかの中学の演劇部で,これ採用してくれんかな?


 

 

 〜プロジェクトY〜

 

登場人物

 光が丘中学3年2組の女子(4人):

・星野アキコ

・川島マイ

・前田エミ

・小池ユリ

※ アキコとマイは仲良し。アキコは勝気で,少し自己中。マイはおとなしい。

    エミとユリは同じクラブ(バレー部)の仲良し。エミは積極的,ユリは常識派。

    アキコ&マイとエミ&ユリとは,特に仲がよいわけではない。

 光が丘中学3年2組の男子:

・小泉マナブ

 光が丘中学の教師

・横田先生(3年2組の担任)

・加藤先生(3年1組の担任)

 喫茶店のウエイトレス

 アナウンサー&村役場の人(二役)

 吉田村村長(前もって誰かの声を録音しておいてもらう)

 

 ● 必要な小道具

机2〜3・いす4〜6(喫茶店&教室の場面のセット)

テーブルクロス(喫茶店の場面で,机にかぶせてテーブルふうにする)

踏み台(ステージ用)

携帯電話3〜4台

天体望遠鏡(らしきもの)

雑誌(タウン情報誌)

パンフレット(白い紙を数枚束ねたもの)

喫茶店の伝票

賞状


 

● 場面1  喫茶店  

(アキコ・マイがテーブルに座っている。アキコはタウン情報誌をめくっている。ウエイトレスがお盆でカップを2つ運んできて,アキコ・マイの前に置く)

ウエイトレス「お待たせしました。ジンジャーエールお二つですね」

マイ「どうもすいません」

アキコ「あ,どうも」

(ウエイトレス去る)

アキコ「ねえ,夏休み,どっか行く?」

マイ「家族で里帰りくらいかな。お父さん,仕事忙しいから。アッちゃんは,旅行とか行くの?」

アキコ「今さら親と旅行ってのもねえ。ねえ,ワコーズのコンサート,行かない?7月の終わりに広島であるだけど」

マイ「行きたいけど,子供だけじゃ行かせてくれないでしょ。それに広島まで交通費もかかるし」

アキコ「じゃ,海水浴は?」

マイ「いいけど,花火大会とかも行くでしょ?おこづかい,節約しないと」

アキコ「あーあ,お金ほしいよー」

マイ「うちの学校,バイト禁止だしね」

アキコ「黙ってりゃわかんないって。この喫茶店,バイト雇ってくんないかな」

マイ「こんな人目につくとこじゃ,ダメでしょ。皿洗いとかなら大丈夫かもしれないけど」

アキコ「皿洗い?やなこった,そんな地味な仕事」

(アキコ,タウン情報誌をめくる)

アキコ「あ,これ。なんか,面白そうなこと書いてある」

マイ「なに?」

アキコ「村おこしのイベント企画募集,最優秀者に10万円だって」

マイ「アイデア出すだけでいいの?」

アキコ「そうみたいよ。これならできるんじゃない」

マイ「村おこしって,どこの村?」

アキコ「吉田村だって。ほら,たしかここからバスで1時間くらいのとこよ。前にキャンプしに行ったことあるわ」

マイ「どんなアイデアでもいいの?」

アキコ「8月15日になんかイベントがあるんだって。そのときに,最優秀賞を発表するみたいよ」

マイ「じゃあ,そのイベントの出し物を考えればいいのかな」

アキコ「よくわかんないけど,それでいいんじゃないの」

マイ「たとえば盆踊りとか」

アキコ「そんなんじゃ,当たり前すぎるじゃん」

マイ「そうねえ・・・」

 

(エミ・ユリ入ってくる。少し離れた席に座る)

エミ「こんにちは」

アキコ「あ,こんちは」

(エミ・ユリ離れて座る。ウエイトレス来る)

エミ「アイスティーひとつ」

ユリ「あ,あたしも」

ウエイトレス「アイスティーお二つですね。以上でご注文よろしいですか」

エミ「はい」

(ウエイトレス,伝票を置いて去る)

マイ「じゃあ,アイドル歌手のコンサートを開くとか」

アキコ「そんな予算,あるわけないって」

エミ(離れた席から)「何の話?」

アキコ「ううん,何でもないよ」

エミ「ふーん」

(暗転)

(明るくなる。再び喫茶店。エミ・ユリは帰り,アキコ・マイだけ残っている)

マイ「ねえ,前田さんと小池さんにもアイデア出してもらった方がよかったんじゃない?」

アキコ「だって,大勢で応募したら,優勝しても賞金の分け前が減っちゃうじゃん」

マイ「そりゃそうだけど・・・」

アキコ「それより,なんかいいアイデアない?」

マイ「アッちゃんは,何かないの?」

アキコ「あたし,ダメ。そういうの苦手なヒトだから」

マイ「そう・・・」

(暗転)

 


● 場面2  帰り道

 

(エミとユリが並んで歩いている)

エミ「ねえ,さっき星野さんと川島さんが話してたことってさあ」

ユリ「なに?」

エミ「ひょっとして,あれ吉田村の村おこしの企画じゃないかなあ」

ユリ「それ,何?」

エミ「こないだタウン情報誌で見たんだけど,ここからバスで1時間くらいのとこに,吉田村ってあるじゃん。あそこの村役場が,村おこしのイベントやるんだって。で,いいアイデアを出した人に10万円くれるらしいよ」

ユリ「ふーん,面白そうね」

エミ「あたしらも,あれに参加しない?」

ユリ「星野さんや川島さんの仲間に入る,ってこと?」

エミ「ううん,うちらはうちらでやるのよ。向こうも,秘密にしたいみたいだし」

ユリ「でも,ふたりより大勢の方が,いいアイデアが浮かぶんじゃないかなあ」

エミ「だいじょうぶだって。いい?明日までにお互いなんか考えてこようね」

(暗転)

 


● 場面3  放課後の教室

 

(アキコ・マイが机をはさんで座っている)

アキコ「どう?なんかいいアイデア浮かんだ?」

マイ「いいかどうか自信はないけど・・・」

アキコ「なに?言ってみて」

マイ「あのね,村の人に頼んで,古着とか古本とか家具とか持ってきてもらって,バザーやるの。イベントに来る人にもチラシ配っていろいろ持ってきてもらえば,盛り上がるんじゃないかな」

アキコ「ガレージセールか。いいかも。あたしらも,なんか品物持って行って売れば,小遣いかせぎになるし。売れそうなものある?」

マイ「中古のCDとか,マンガの本とか」

アキコ「でも,そのイベントに来る人って,オジサンやオバサンが多いんじゃないの」

マイ「じゃ,食べ物を売る方がいいかな。ヤキソバとかなら作れそうだし。でも,なんか売るにしても,2人じゃ難しいよね。ほかのイベントとかも見て回りたいし。やっぱり,4,5人はいないと」

アキコ「じゃ,だれか誘う?」

マイ「前田さんと小池さんは?」

アキコ「あたし,あの子らあんまり好きじゃない。なんか自己中だしさ」

マイ「似たようなもんだと思うけど・・・」

アキコ「え?なに?」

マイ「いや,何でもないよ」

アキコ「しょうがない。別のアイデア考えるか・・・」

(少し間をおいて)

マイ「うちのクラスって,まとまり悪いよね」

アキコ「そう?どこもこんなもんでしょ?」

マイ「いや,なんか小さいグループで固まってて,ほかのグループとは話もしない,みたいな」

アキコ「いいじゃん,仲のいい人だけで楽しくやれば」

マイ「そりゃそうなんだけど。中には,どのグループにも入ってない人もいるでしょ?荒木さんとか,男だと福田くんとか。学校来てないひともいるし」

アキコ「ああ,小泉くん?あの人,最初の2,3日しか学校来てないよね。あとはずっと休みか保健室でしょ?」

マイ「なんか,気の毒だよね」

アキコ「ほっときゃいいって,あんな暗いやつ」

(暗転)

 


● 場面4  放課後の別の教室

 

(エミ・ユリが机をはさんで座っている)

エミ「うちのお兄ちゃん,高校で映画研究会に入ってるのよ。自主制作映画とか作ってるから,映写機持ってるの。大きなスクリーンとか作って,野外映画会とかできないかな。それとか,駅の地下で歌ってるストリートミュージシャンに声かけて,アマチュアコンサート開くとか」

ユリ「でも,照明とかスピーカーとか借りないと。けっこうお金かかるよ」

エミ「村の予算で出してくれるでしょ。もしダメでも,優勝すりゃ取り戻せるって」

ユリ「でも,もし優勝できなかったら?それに,前払いだとあたしら現金もってないし」

エミ「うーん,バイトでもするしかないかな?」

ユリ「うちの学校,バイト禁止だよ」

エミ「しょうがないでしょ,お金ないんだから」

ユリ「それだったら,10万円あきらめて単にバイトする方がよくない?」

エミ「あんた,10万円もらうのにどんだけバイトしなきゃいけないって思ってるのよ」

ユリ「えーと,時給800円として,10万円だから・・・」

エミ「とにかく,いっぱい働かないといけないの」

ユリ「いっぱいって,小学生じゃないんだから」

エミ「いいから,話進めよ。でね・・・」

横田先生の声「こら,もう下校時間だぞ。早く帰りなさい」

エミ・ユリ「はーい」

エミ「うっせーな,横田は」

(2人,小声でぐちを言いながら退出。暗転)

 


● 場面5  喫茶店

 

(エミ・ユリがテーブルをはさんで座っている。ウエイトレスが横を通り過ぎる)

エミ「うちの担任の横田って,うざいよねー」

ユリ「そうねえ。けっこう神経質そうだし」

エミ「スカートの長さとか髪の色とか,細かいこと言いすぎよね」

ユリ「まあ,それが仕事なんだろうから」

エミ「あたしは,1組の加藤先生の方がいいな」

ユリ「あたし去年加藤先生のクラスだったけど,あの先生よかったよ」

エミ「あーあ,担任交替してくんないかな」

(加藤先生登場)

加藤先生「おっ,バレー部コンビ,こんなトコで何やってるんだ」

エミ「あ,先生」

ユリ「ちょうど今,先生のうわさしてたんですよ」

加藤先生「中学生だけでこんなとこに入るのは,校則違反だぞ」

エミ「いや,店の前でお金を拾ったんで店の人に届けたら,お礼にアイスティーでも飲んで行きなさい,とかなんか言われたりしちゃったりして」

加藤先生「もうちょっとましな言い訳できんのか」

エミ「それはそうと,先生」

加藤先生「話をそらすなよ」

エミ「あたしたち,ちょっと困ってるんです。10万円のことで」

加藤先生「何?10万円?」

ユリ「い,いや,何でもないです」

エミ「いいじゃん,正直に言えば。あのね,先生。吉田村って知ってるでしょ。あそこで来月村おこしのイベントがあって,いいアイデア出したら10万円もらえるんです。先生,なんかいいアイデアないですか?」

加藤先生「2人でやるより,もっと仲間を集めた方がいいんじゃないか?」

ユリ「でしょ?あたしもそう思うんですよね」

エミ「でも,仲悪い人といっしょにはやりたくないし」

加藤先生「だれかと仲悪いのか?」

エミ「いや,そういうわけじゃないけど・・・」

加藤先生「友達づきあいは,なるべく広げた方がいいぞ。仲良くなったら,今まで知らなかった友達のいいとこも見えてくるんだから」

エミ「はあい」

(暗転)

 


● 場面6  放課後の教室

 

(エミ・ユリが机をはさんで座っている)

ユリ「やっぱ,『これ』っていういい考え浮かばないね」

エミ「そうねえ」

ユリ「星野さんと川島さんに声かけてみようか」

エミ「う〜ん」

(アキコ・マイが入ってくる)

マイ「あの〜」

エミ「あっ」

アキコ「どしたの?」

エミ「いや,ちょうど二人のこと話してたとこ」

アキコ「悪口じゃないでしょうね?」

マイ「ちょっと,ちょっと。あのね,こないだ喫茶店で話してたことだけど」

エミ「吉田村のイベントでしょ?」

アキコ「あれ?知ってたの?」

エミ「あたしらもね,なんかアイデアないかと思ってたとこ」

マイ「ね,一緒にやらない?」

エミ「あたしらは,どっちでもいいけど」

ユリ「そうしよ,2人より4人の方が,いい考え出るよ」

アキコ「そうね。でも,この4人以外の人は入れちゃだめよ。10万円の分け前が減るもんね」

エミ「いいわ。4人の秘密ね」

ユリ「ねえ,なんか暗号とか,決めない?」

アキコ「暗号って,合言葉みたいなもん?」

マイ「『吉田村プロジェクト』っていうのは?」

エミ「だっさー!そんならやっぱり,吉田村の頭文字をとって『プロジェクトY』でしょ」

アキコ「おっ,いいねいいね。それでいこ」

ユリ「Yっていうと,横田先生を思いだすなあ」

アキコ「だから,横田には秘密のプロジェクトってことで,プロジェクトYね。決まり」

ユリ「とりあえず,今までに考えたことを出し合って,メモっとかない?」

マイ「うん。あたしたちが考えたのはね・・・」

横田先生の声「下校時間だぞ〜,早く帰りなさい」

全員「はーい」

アキコ「あー,うざいうざい」

ユリ「じゃ,明日また集まりましょ」

(暗転)

 

(先生二人が入ってくる)

横田先生「あいつら,毎日遅くまで何をやってるんだ」

加藤先生「実はね,横田先生。吉田村って,あるでしょ?あそこで村おこしの企画案を募集してるんですよ。連中,その優勝賞金の10万円を狙ってるんです」

横田先生「吉田村の村おこしですか・・・」(少し考えこむ)

加藤先生「まあ,遊び半分みたいですけどね」

横田先生「お金がからむのは,感心しませんねえ。どうせあいつらのことだ,どうやったら小遣いかせぎができるか,悪知恵絞ってるんでしょう。それに,親は知ってるんでしょうね?子供らだけで外出して事故でも起こしたら,学校の責任になりますからね」

加藤先生「まあまあ,あいつらも何かやってみたい年頃ですから」

(暗転)

 

ナレーション(マイ)「こうして,私たちのプロジェクトYが始まりました。でも,実際に行動してみると,私たちが予想していなかったいろんな困難が待ち受けていたのです」

 

続 き