最終更新日: 2002/02/24

雑記帳 (趣味編-A)


 

● 2002/2/24(日) 最近のニュースから2題

 

その1  きのうの「ブロードキャスター」で,さだまさしの「償い」が流れていた。まさかこの曲をTVで聴けるとは思わなかった。東京の電車内でトラブルから男性銀行員を殴り殺した当時18歳の少年への裁判で,裁判長が被告に「この歌の歌詞だけでも読んで,自分らの反省が足りないことを自覚しなさい」と諭した,という。

 

別のページにも書いたが,ぼくはこの曲を初めて聴いたとき泣いた。そのときだけでなく,カセットに録音して車の中で聴いても,泣けてきて運転しづらかった。アルバム「夢の轍」に収められた曲で,知らない人がほとんどだと思うが,知っている人はやっぱりこの曲に感動するんだなあ,と思った。レンタルCDなどで聴く機会があれば,できるだけ多くの人にこの曲を聴いてみてほしい。

 

月末になると ゆうちゃんは 薄い給料袋の封も切らずに

必ず横丁の角にある郵便局へ 飛び込んで行くのだった

仲間はそんな彼を見てみんな 貯金が趣味のしみったれた奴だと

飲んだ勢いで嘲笑っても ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり

 

僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけ

たった一度だけ哀しい過ちを犯してしまったのだ

配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影に

ブレーキが間に合わなかった 彼はその日とても疲れてた

 

人殺し あんたを許さない と彼をののしった

被害者の奥さんの涙の足もとで

彼はひたすら大声で泣きながら

ただ頭を床にこすりつけるだけだった

 

それから彼は人が変わった 何もかも

忘れて 働いて 働いて

償いきれるはずもないが せめてもと

毎月あの人に 仕送りをしている

 

 

今日ゆうちゃんが僕の部屋へ 泣きながら走りこんできた

しゃくりあげながら彼は 一通の手紙を抱きしめていた

それは事件から数えて ようやく七年目に 初めて

あの奥さんから初めて 彼宛に届いた便り

 

「ありがとう あなたの優しい気持ちは とてもよくわかりました

だから どうぞ送金はやめてください あなたの文字を見るたびに

主人を思い出して辛いのです あなたの気持ちはわかるけど

それより どうかもう あなたご自身の人生を 元に戻してあげてほしい」

 

手紙の中身はどうでもよかった それよりも

償いきれるはずもない あの人から

返事が来たのがありがたくて ありがたくて

ありがたくて ありがたくて ありがたくて

 

神様!って思わず僕は 叫んでいた

彼は許されたと思って いいのですか

来月も郵便局へ 向かうはずの

優しい人を許してくれて ありがとう

 

人間って哀しいね だってみんな優しい

それが傷つけ合って かばい合って

何だか もらい泣きの涙が 止まらなくて

止まらなくて 止まらなくて 止まらなくて

 

 

その2  きのうのスポーツ新聞を読みながら,思わず「えっ?」と声が出た。中日ドラゴンズ・中里篤史投手のケガの記事である。

彼は,松坂クラスの大投手になるはずの逸材だった。昨年ドラフト1位で春日部共栄高校から中日入り。ジュニアオールスターで150kmの速球を投げ,二軍の試合ではほとんど点を取られていない。プロで一流になる選手は高卒2年目くらいまでにたいてい頭角を表すもので,野手なら城島や岩村,あるいはカープの東出もそうだ。投手の場合は遅咲きのケースもあって,それだけ余計に1・2年目から結果を残す投手というのは少ない。近年では五十嵐・松坂・条辺くらいだろう。カープファンから見れば敵方の選手だが,中里という投手にはそれだけ注目していた。

その彼が,選手生命の危機にさらされている,という。ケガの原因は,新聞報道だけでははっきりしない。「2軍宿舎階段で2階から1階まですべり落ち,その際に手すりを持っていた右手を激しくひねった」のが原因で,右肩関節を脱臼した,と新聞には書いてある。どう考えても,普通の状況ではない。仲間とふざけ合っていたか,あるいは酒を飲んでいたのか?--- 数年前阪神にドラフト1位で入団した中谷捕手を思い出す。彼も入団して間もなく,目に選手生命にかかわるケガをした。詳しくいことは忘れたが,寮の仲間とふざけ合っていた中での事故だったように記憶している。そういう事故で選手生命を棒に振るとしたら,あまりにも痛ましい。

前田や緒方を見るまでもなく,ケガで悩まされている選手は一軍にも二軍にも山ほどいる。彼らの体は,もう元には戻らないのかもしれない。しかし彼らの多くは,一度はプロ選手としてチャレンジすることだけはできた。中里が1軍で残した記録は,登板2試合,0勝1敗,防御率6.00 --- これだけしかない。まだ結論が出たわけではないが,将来を約束されたプレイヤーが入団2年目のケガで選手生命を絶たれるのだとしたら,本人の無念さは察するに余りある。月並みな言葉しか言えないけれど,中里くん。万一このまま引退ということになったとしても,自暴自棄にならないでほしい。契約時に大金を手にしているとは言え,人生の先は長い。気持ちを切り替えて,前向きに新しい人生を生きてくれ。願わくば君がもう一度マウンドに立てる日が来ることを,広島の空の下で祈っている一ファンも,ここにいるのだよ。


 

 

● 2001/6/16(土) あるマンガ好きへの50の質問

一番たくさん読んだマンガ家(男性): 手塚治虫大先生

*作品で一番好きなのは「ジャングル大帝」。ラストシーンが一番好きな作品でもあります。「サイボーグ009」のラストも感動的ですが,外国のSF小説のパクリらしいので・・・

2  一番たくさん読んだマンガ家(女性): 萩尾望都

*ストーリーは「11人いる!」の頃からの方が面白いけど,「あそび玉」「メリーベルと銀のばら」「キャベツ畑の遺産相続人」などの頃が絵的には一番ノッってましたね。並び称される竹宮恵子にしても,お話は「地球(テラ)へ・・・」なんかスゴいと思うけど,初期の「空が好き!」の頃が絵的にはベスト。一人のマンガ家の絵の魅力はたいがい2〜3年くらいしか続かないものです。

3  一番ハマったマンガ家(男性): 吾妻ひでお

*同世代のマンガ読みには同じような人が山ほどいます。夏目房之介もそう。作品で一番好きなのは「狂乱星雲記」。「一番復活してほしいマンガ家」もこの人です。 なお,吾妻ひでおは後の多くのマンガ家さんたちにも影響を与えています。とり・みきなんか,デビューの頃はモロに物真似してました。少なくとも彼がいなければ,竹本泉や後藤寿庵やみむだ良雑らの作品は生まれなかったでしょう。誰も知らんか。

4  一番ハマったマンガ家(女性): 文月今日子

*初期作品は全部好き。次点は決めるのは難しい。いっぱい読んだので。中学生の頃に好きだったのは,西谷祥子や大和和紀などいかにも少女マンガっぽいやつ。池田理代子・里中満智子はあんまり好きじゃなかった。時々女子が学校に持って来ていた「セブンティーン」の津雲むつみも,中学生の男の子には刺激的でした。当時最も人気のあったのは別マ(別冊マーガレット)で,美内すずえ・忠津陽子・和田慎二・河あきらのうち誰かが巻頭カラーを担当してました。くらもちふさこや槙村さとるはまだ週刊の方でデビューしたての頃で,まさかあの人たちがあんなにメジャーになるとは,デビュー当時の絵柄からは想像もつきませんでしたが・・・。その後別冊少女コミックにいわゆる「29年組」が登場してからは,そちらが主流になってくるわけです。

5  一番好きなSFマンガ(本格系): 化石(いし)の記憶 (たがみよしひさ)

*週刊プレイコミックというマイナー雑誌に連載されていたのであまり知られていませんが,この人気作家の最高傑作とも言うべき作品が今単行本で手に入らないのは,世の中間違っとります。これは,謎の秘宝「竜哭」をめぐる男たちの犯罪と欲望を主軸とした,ミステリー&ハードボイルド仕立ての作品です。こう言うとなんか社会派マンガふうですが,実は「竜哭」とは・・・。この作者が一番ノッていた頃の作品です。古本屋で手に入ったら読んでみてください。単行本は,B5版のデカいやつ(全3巻)で秋田書店から出てます(絶版)。次点は「ダークグリーン」(佐々木淳子)。この人も,初期の短編作品集「Who」(東京三世社)の頃から,独自の境地の作品を発表し続けています。「約束の地」(いしかわじゅん)・「ミノタウロスの皿」(藤子・F・不二夫)も捨て難い。大友克洋も嫌いじゃないけど,あの絵はむしろアニメ向きかと。星野之宣・諸星大二郎は絵がちょっと・・・。「火の鳥」も名作ですが,あの作品はSFというより哲学マンガと言うべきでしょうか。

6  一番好きなSFマンガ(娯楽系): アウトランダーズ (真鍋譲治)

*作者の実質的なデビュー作ながら,出来は最高。宇宙からの侵略者の娘であるヒロインと地球人の若いカメラマン(主人公)の冒険を描く,いわゆるスペースオペラ的な作品。OAV化もされたようですが,どうせロクでもないと思って見てません。現在「月刊コミックガオ」に連載中の「銀河戦国群雄伝ライ」もスケールが大きくて面白い。次点は,「ワッハマン」「なつのロケット」など,あさりよしとおの諸作品。こやま基夫も良質の作品を描き続けてますが,多忙になって絵がちょっと荒れ気味なのが惜しい。

7  一番好きな野球マンガ: キャプテン (ちばあきお)

*次点は「あきら翔ぶ」(とだ勝行)と「キャットルーキー」(丹羽啓介)。「忍空」の桐山光侍の,里見八犬伝をモチーフにした野球マンガ(週刊に移行する前の,別冊サンデーに月イチで連載していた頃の話)も好きでした。水島作品では,「野球狂の詩」で水原勇気が出てくる前までの話が好き。しかし,この「キャプテン」という作品は,特に印象深いです。夏目房之介が「消えた魔球」で指摘したように,以前の野球マンガは「巨人の星」にしても「アストロ球団」にしても,超人的な能力を持つ主人公抜きでは成り立たないものでした。 「ドカベン」や「タッチ」も,程度の差はあれその路線の延長上にあります。「名門!第三野球部」(むつ利之)や「花マル伝」(いわしげ孝)でも,主人公がだんだんスーパーマンみたいになってしまいました。しかし,この「キャプテン」という作品は,ごく普通の野球少年たちの物語が十分マンガとして(しかも子供向けマンガとして)成り立つことを証明した点が偉大です。これは誰にでもできる芸当ではなくて,実際これ以後もそうした路線のヒット作はあまり生まれていません(こせきこうじくらい)。それだけに,作者が若くして亡くなったのは残念。

8  一番好きなその他のスポーツマンガ: セーラーブルーの青春 (酒井美羽)

*「花とゆめ」に連載された水泳マンガ。もちろん単行本は全巻持ってます。上の娘が生まれたとき,この作品のヒロインの名前を取って「都(みやこ)」と名づけようとしたくらい。次点は「ピンポン」(松本大洋)。単行本最終巻(第5巻)が特によい。「シャカリキ!」(曽田正人)の自転車の迫力も好きです。駅伝は好きですが,「奈緒子」(中原裕)はちょっと演出過多。バスケやサッカーのマンガはどれも今イチ感情移入できません。

9  一番好きな少女マンガ: 花ぶらんこゆれて… (太刀掛秀子)

*いわゆるおとめちっくラブコメ系。当時(25年くらい前),シティーボーイ達も「りぼん」や「ララ」や「花とゆめ」をよく読んでました。気持ち悪いですね〜。当時のりぼんの人気NO.1は陸奥A子でしたが,ぼくはあんまり好きではなかったです。大島弓子も,絵が今イチ。太刀掛秀子は長い間「りぼん」の看板作家だったのに,今はこの作品しか手に入らないのが残念。うちにはこの人の単行本は10数冊あります。

10  一番笑ったギャグマンガ: すすめ!パイレーツ (江口寿史)

*次点は「るんるんカンパニー」(とり・みき)と「パタリロ!」(魔夜峰央)。田村信も好き。短編では「イボグリくん」(山上たつひこ)が最高。知らない人に説明すると,この作品は「イガグリくん」(昭和30年代の人気柔道マンガ)のパロディーで,いかにも正義ヅラをしたイボグリくんという主人公が,実は極悪非道の悪人です。最後は敵役との柔道の野試合のシーンで,「正々堂々と戦おう」と言った先から,イボグリくんはピストルを出して相手を撃ち殺してしまいます。「ひ,ひきょうだぞお〜」と悶える相手にさらにドキュン,ドキュンととどめをさして,自殺に見せかける偽装工作をした後,「やあ,きれいな夕焼けだなあ。明日も日本晴れだぞ」とか何とか言って終わる---という作品です。いや〜笑った。笑ったかどうかはあんまり覚えてないけど,赤塚不二夫の絶頂期の頃の作品(天才バカボン,レッツラ・ゴンなど)はやはりスゴいです。土田よしこの「つる姫じゃ〜!」は週刊マーガレットに連載されていて,これも好きで毎週読んでました。 しかし,絵の魅力という点で言うなら,杉浦茂を置いては語れないでしょう。

11  一番怖かった恐怖マンガ: 地獄変 (日野日出志)

*最近では伊藤潤二もコワいけど,この日野日出志という人は別格。子どものころに読んだときはあまりに不気味で,寝られませんでした。しかし最近出た復刻版を改めて読み直すと,なかなか美しい作品です。あと,「光る風」(山上たつひこ)の中で,戦争で両手両足を無くした男が看病してくれている若い女性(主人公の恋人)にセマるシーンがとっても怖かった。掲載誌は少年マガジンですが,この頃(1970年ごろ)の少年誌はエログロナンセンス全盛で,マガジンには「あしたのジョー」のほか「アシュラ」(ジョージ秋山)・「ワル」(影丸譲也)・「ヤスジのメッタメタガキ道講座」(谷岡ヤスジ)なんかが連載されてました。サンデーは赤塚不二夫と「男どアホウ甲子園」が看板でしたが,「甲子園」には「現役高校生ヤクザの野球部員」などというとんでもない連中がゾロゾロ出てきてました。長ドス持って登校するな〜。そうそう,まだマイナーだった頃のあだち充も「牙戦」という血みどろ野球マンガを描いてましたねえ。そのあまりの暗さについて行けなくなったマンガ少年は,少女マンガへと走ったというわけです。なお,娯楽系オカルト物では,現在連載中の「ヘルシング」(平野耕太)の吸血鬼の造形がバツグンです。 ビデオ化も決定したそうですが。

12  一番泣いたマンガ: わすれな草 (河あきら)

*これは別マに100ページで掲載された,女子高校生と不良の男の子との悲恋をテーマにした読み切り。最近では「ワンピース」16巻のトニートニー・チョッパーのエピソードに涙しました。山本おさむ作品もいいけれど,感動する話というのは筋が単純なものが多いです。子供の頃読んだので一番印象に残っているのは,少年キングに2週読み切りで掲載された永島慎二の「源太とおっかあ」という,男の子と野生の馬の交流を描いた民話調のお話。いっぱい泣きました。 あと,サンデーに連載されていた「あかつき戦闘隊」(園田光慶)で,仲間が次々死んでいくのも悲しかったですねえ。

13  一番好きなギャンブル・マンガ: 天 (福本伸行)

*単行本第10巻ころからはちょっとマンネリ。でも,そこまでの盛り上がりは最高です。福本伸行が「アカギ」や「カイジ」でブレークする前に連載が始まった作品で,彼は実質的にこの作品を通じて育ったと言えます。次点は「はっぽうやぶれ」(かわぐちかいじ)。どっちも麻雀マンガですね。麻雀以外では,「ギャンブルレーサー」(田中誠)。

14  一番好きな学園マンガ: すくらっぷ・ブック (小山田いく)

*70年代テイスト。作者の代表作ですが,これ以後この人は今ひとつパッとしません。弟(たがみ氏)の絵柄を意識しすぎじゃないかなあ。もうちょっと古いところでは,「青い空を白い雲がかけてった」(あすなひろし)。 今の中学生とはまるで比較にならない,純真でシュールな世界が描かれています。

15  一番好きな釣りマンガ: 釣りキチ三平 (矢口高雄)

*次点はなし。このマンガが他の作品と一線を画しているのは,やはり作者自身が根っからの釣り師だからだと思います。最近は釣りコミックもたくさん出てますが,作品の大半は「マンガの題材として,たまたま釣りというジャンルを選んだ」というのが多いようです。強いて言えば,次点は「Mr.釣りどれん」(とだ勝行)。ただ,バス釣り中心なとこがいかにもミーハー的。

16  一番好きな探偵マンガ: なあばす・ぶれいくだうん (たがみよしひさ)

*アクション系よりアームチェア系の方が好きなので。読み切り形式で毎回推理のネタを作り出すのは大変なことだと思いますが,よく単行本13巻まで続いたもんです。掲載紙(コミックノーラ)がマイナーでなかったら,アニメ化されたかも。「名探偵コナン」(青山剛昌)は別の意味でスゴい。マンガのセリフがそのままアニメの脚本になるとは大したもの。「金田一」は,マンガにする必然性がないような気がします。

17  一番好きな料理マンガ: 包丁人味平 (ビッグ錠)

*30年くらい前の作品なのに,全然古臭くないのが立派。ウンチクものの「美味しんぼ」に対して「味平」は料理バトルもので,後の料理マンガに与えた影響はこっちの方がはるかに大きい。 しかし,「美味しんぼ」は別格ですが,他の大人向け料理バトルマンガには,「ホントにこれが美味いのか?」というたぐいのが多い!

18  一番好きな冒険マンガ: ワンピース (尾田栄一郎)

*ジャンプという雑誌はあんまり好きになれませんが,この作品が売れている理由は十分納得。作者が一番描きたいものを描いているからでしょう。絵は最初からかなり完成されていましたが,回を重ねるにつれてますます磨きがかかってきました。ある意味,誰にも真似のできない絵でしょう。少年マガジンにもこれのパクリのようなのが載ってますが,やはり本家の方が数段上です。次点は「サライ」(柴田昌弘)。 これは「お色気アクションもの」というジャンルでしょうか?

19  一番好きな格闘マンガ: 修羅の門 (川原正敏)

*デビュー当時と作風が全く変ったマンガ家の代表。雰囲気的には「グラップラー刃牙」(板垣恵介)も同じ路線ですね。この手のマンガは原哲夫(「北斗の拳」)ふうのコテコテの絵が多いですが,あれはちょっと。また,陸奥や刃牙はひたすら強くかつカッコいいパターンですが,「カッコよくないけど強い」というのもいいですね。「1・2の三四郎」(小林まこと)や,「押忍!空手部」(高橋幸二)や,(格闘マンガとは言えないけれど)「嗚呼,花の応援団」(どおくまん)など。しかし,格闘シーンの白眉は何と言っても,「宮本から君へ」(新井英樹)の主人公・宮本と,絶望的体力差のある大男との殴り合いのシーンでしょう。鳥肌モノです。

20  一番好きな不良マンガ: 湘南爆走族 (吉田聡)

*「ナンパな格闘モノ」とでも言いますか。そういうジャンルもあるのよ。「今日から俺は!」(西森博行)も面白い。広島在住の田中宏も好きです。 GTOとかマガジン系は,絵が洗練されすぎ。

21  一番好きな社会派マンガ: ザ・ワールド・イズ・マイン (新井英樹)

*新聞の書評などにもよく登場するので,けっこう有名かも。「沈黙の艦隊」(かわぐちかいじ)などと通じるところもある,メッセージ色の濃い作品。登場人物たちのリアリティーと,ヒグマドンという怪物の常軌を逸した破壊力のアンバランスに惹かれます。 なおヒグマドンはこの物語の中心ではなく,主人公である2人のテロリスト(とりわけモンちゃん)の存在感が圧倒的。「何が起こっても不思議ではない」という緊迫感に満ちた展開が最高です。後半はちょっと詰め込みすぎたかもしれませんが。去年,ある雑誌が「芥川賞に推したいマンガ」というアンケートを実施したとき,この作品も上位に入っていました(ちなみに,第1位は吉田秋生の「バナナ・フィッシュ」)。

22  一番好きな歴史マンガ: 風雲児たち (みなもと太郎)

*歴史モノは特に好きなわけではないけれど,この作品は面白い。時代劇なら「カムイ伝」(白土三平)。時代劇のジャンルで今一番売れてるのは「バガボンド」(井上雄彦)でしょうか。ぼくは格別すばらしいとは思いません。史実と無関係の話にまで広げれば,「源氏」(高河ゆん)。ほとんどSFですが。 やおい系カルト作家です。

23  一番好きな「癒し」系マンガ: ふしぎ ふしぎ (山崎浩)

*10年近く前に「週刊モーニング」の真ん中あたりのページに時々掲載されていた,子供の周りの四季の美しさをカラーで描いた作品,と言えば覚えている人もいるでしょうか。小学校の国語の教科書の挿絵に出てくるような絵で,ひと昔前の日常風景を描いています。この作品が大きな版のオールカラーで出版されたときは嬉しかったです。お話的には,プレイコミック連載中の「こころの花」シリーズ(みやたけし)もなかなか。「天才・柳沢教授の生活」(山下和美)も癒し系に入るかも。あと,古いところで「地球の午後3時」(さべあのま)。「究極超人あ〜る」(ゆうきまさみ)も好きでしたが,あれは「脱力系」ですかね。

24  一番続きが楽しみだったマンガ: 伊賀の影丸 (横山光輝)

*当時の少年サンデーには,「おそ松くん」や「オバQ」や手塚マンガ(ワンダースリー・どろろなど)が連載されていて黄金期でした。「影丸」の勝ち抜き戦式バトルの展開はその後のマンガに多大な影響を与えていて,手塚治虫でさえアトムの「地上最大のロボット」の巻でこれを踏襲したくらい(そしてアトムではこの巻の人気が一番高い)。今のジャンプ系格闘マンガの大半もこのパターンに沿ってます。今にして思えば,登場人物(味方)の半分以上が死んでしまう,という点がスリリングだったような気もします。

25  一番アイデアの豊富さを感じるマンガ: ギャラリー・フェイク (細野不二彦)

*小学館漫画賞も受賞。週刊ペースであれだけネタが続くのには,驚嘆の一語。「デビュー当時から一番絵が達者だったマンガ家」も,おそらくこの人でしょう。

26  一番構図がすごいと思ったマンガ: デカスロン(山田芳裕)

*パースめちゃくちゃなのに大した迫力。誰も真似できませんね。今連載中の作品に,あのパワーが感じられないのが残念。「ワンピース」の構図もいいけど。

27  一番好きなCGマンガ家: 都築和彦

*「Planet Brute」冒頭のカラーページは衝撃でした。あの話を完結させてくれ〜!もう10年くらい待ってるぞ〜! ちなみにこの作家は,いわゆる美少女系(昔風に言えばロリコン系)のヒトです。

28  一番好きな不条理マンガ家: しりあがり寿

*吾妻ひでおは置いといて。しりあがり寿さんはもとサラリーマンらしいけど,辞めて正解でしょう。あんなのが勤め人だったら怖い。不条理系は評価が難しくて,ぼくは吉田戦車やいがらしみきおはあまり好きでないです。喜国雅彦・相原コージは前は好きだったけど,今は特には。中川いさみ・中崎タツヤは悪くない。榎本俊二の初期の頃はよかった。ガロ系の人たちはほとんど理解不能です。古屋兎丸?う〜ん・・・

29  一番好きな4コママンガ家: いしいひさいち

*この人は天才。ギャグマンガ家にはたいてい亜流が現れるものですが,この人の真似をして成功した作家はいません(強いて言えば芳井一味)。やくみつるなんかも影響は受けているでしょうが。キャラは,「となりのやまだ君」に出てくる小学校の女の先生が好き。次点は加藤芳郎。東海林さだおのエッセイは大好きだけど,マンガは面白くない。岩谷テンホーも全然ピンときません。まだ秋月りすの方が面白い。

30  一番好きなファンタジー系マンガ家: 中山星香

*坂田靖子とかますむらひろしとか坂口尚なんかは絵がちょっと・・・。絵的にはふくやまけいこや石坂啓の路線も好きです。あと,初期の水縞とおるや須藤真澄の独特の絵柄も印象的。最近では,少女マンガ系ですが,「りぼんオリジナル」に描いている寿らいむがピカ一。娘のを借りて読んでます。猫部ねこもデビューの頃はよかったんですが。最近ファンタジー系の専門誌も増えてますが,絵柄があまりに没個性的。確かにコゲどんぼなんかカワイイ絵ですけどね。 中山星香には,一時熱狂的にハマっていたのです。「花冠の竜の国」なんか。男であれが好きというのは,はっきり言ってかなりの重症ですね。大丈夫かオレ。--- まあ何ちゅうか,昔「レモンピープル」に写真が載ったことありますからねオレ。ファンタジーとは関係ないっっちゅうの。

31  一番好きな美少女系マンガ家: かるま龍浪

*次点はたかしたたかし。書けばいくらでも書けるけど,あんまり詳しく書いてはマズいと思うので・・・ ふっふっふ。

32  一番大成してほしかったマンガ家: I.N.U (豊島U作)

*単行本は「硝霊島」1冊しか出てませんが,あさりよしとおと似た路線の人です。娯楽系SF作家として大成してほしかった。 横山えいじも似たような路線ながら,あの人はけっこうカルト的な人気があるようだし。樹かるな(すらそうじ)も絵はカワイかったけど,お話がダメでした。早坂未紀や森野うさぎも,あれでストーリーが作れりゃなあ・・・ああ,ついつい話がそっちの方へ行ってしまふ。

33  一番セリフ回しが上手いと思うマンガ家: 西原理恵子

*ここ,後日リライトしました。この人の作品は泣ける。本人とのギャップが大きいのでなおさら。時点は「銀魂」の空知英秋。

34  一番ストーリーテラーとしての才能を感じるマンガ家: 浦沢直樹

*これも順当ですね。マンガ好きにこのアンケートを取ったら,たぶんこの人がトップに来るはず。あと上位は高橋留美子・萩尾望都・吉田秋生など女性が占めるでしょう。なお,「手塚治虫を除いては」という条件付きです。あの人は別格。

35 一番お絵かきが好きなように見えるマンガ家: 植芝理一

*「絵の才能がある」という意味ではありません。絵の質を保ち続けている,という意味です。大友系の人たちは,どれだけ自分で描いてるかわからんし。この人は10年近く続いた「ディスコニケーション」の最初から最後までテンションが下がらなかったことに脱帽。次点はきくち正太。絵に思わず見とれてしまうのは,山田章博・高橋ツトムなど。 絵的な好き嫌いで言うと,MEEくんの絵には惹かれます。代表作は「劇画エロトピア」に連載された「燃えよ鉄人」。美少女格闘モノを描くことが多いどちらかと言えばマイナーな作家さんですが,絵の魅力は他の人たちと一線を画しています。最近見かけませんが,村野守美も好きでした。思春期の頃,モロ出しじゃなくても色気を感じさせる絵というのが世の中にはあるんだなあ・・・と感心した覚えがあります。

36  一番ポリシーを感じるマンガ家: 山口貴由

*「自分の描きたいものしか描かない」という意味で。画面の中の書き文字の異様な迫力といい,腹から飛び出た臓物の質感といい,一度見たらトラウマになりそう。次点は,その筋(どの筋じゃ?)では有名な山本直樹。ラディカルという点ではサガノヘルマーも捨て難いですが,嫌悪感と紙一重。メジャーでは江川達也。「東京大学物語」の壊れ方は,コイツ大丈夫か?と思いましたよ。なお,18禁系,およびガロ系は除きます。マンガ家本人が犯罪者だったり(たとえば鋭利菊),精神が明らかに病んでいるようなのはパス。

37  一番好きなTVアニメ: ガンバの冒険

*作画が最高でした。特に背景。敵役・ノロイの存在感も圧倒的。ガンバの声を担当した野沢雅子が,一番好きな作品だと言っていたのも印象的。野沢雅子を知らん人はいませんね?いなかっぺ大将やドラゴンボールの人ですよ〜。

38  一番好きな劇場用アニメ: うる星やつら2 ビューティフルドリーマー

*その(だからどの?)筋ではあまりにも有名なカルト・ムービー。わたし,映画館で5回観ました。次点は「ルパンV世」の第1作(クローン人間の出てくるやつ)。

39  一番好きな宮崎駿アニメ: 紅の豚

*宮崎作品でこれが一番好きという人は少ないかも。ラピュタも好きですが。カリオストロはあんまし。

40  一番好きなOAV: くりいむレモン

*説明は控えさせていただきます。これが発売された当時,ちょうど広島で就職した頃で,東京へ出張したとき芳賀書店で買って友達んちで見たのです。亜美〜(笑)

41  一番好きなTVアニメ主題歌: GU−GU−ガンモ

*次点はいっぱいあります。たとえば,「ヤッターマン」「ワイルド7」「侍ジャイアンツ」「母をたずねて三千里」「山ねずみロッキーチャック」「タッチ」など。「ゲゲゲの鬼太郎」(熊倉一夫)や「どろろと百鬼丸」(藤田淑子)も印象深い。歌詞的には「男どアホウ甲子園」。阪神の応援歌として十分使えます。

42  一番好きな声優: 中山千夏

*この人は声優としての出演作品は少ないけど,あの声にはシビれます。代表作は「ひょっこりひょうたん島」のハカセ。「どろろんえん魔くん」の主題歌もgood。やっこちゃん(赤ずきんチャチャ)をやった赤坂さんの声も好き。

43  今一番面白いと思うストーリーマンガ: HUNTER×HUNTER (富樫義博)

*江口寿史は原稿落としてジャンプから追い出されたけど,この人は「レベルE」の特例的な月イチ連載といい,「ハンター」の休載連発といい,業界一ワガママな作家だろうなあ。まあ奥さんがセーラームーンの武内直子だし,いつ仕事やめても困らんもんなあ。うらやましい。次点は「20世紀少年」(浦沢直樹)。同じスピリッツの「最終兵器彼女」(高橋しん)もよいです。

44  今一番面白いと思うギャグマンガ: 花鳥風月紆余曲折 (佐佐木勝彦)

*前作(「何なら俺に話してみろ」)はなお面白かった。「かってに改蔵」(久米田康次)の第1巻も秀逸。唐沢なをきも相変わらず面白い。 マイナーなところでは,施川ユウキ。チャンピオンに描いてる人です。もっとマイナーで,すがわらくにゆきの味のある絵も捨て難い。ジャンプの「すごいよ!!マサルさん」(うすた京介)のヒット以降,先鋭的なギャグマンガが増えました。今面白いと言われている作品は,5年くらい前のものとはずいぶん違うようです。

45  今一番面白いと思うマンガ家: 片山まさゆき

*デビューの頃から面白かったけど。この人の作品にはハズレがないです。ほとんど麻雀マンガしか描きませんが。一番好きなのは,前作の「ミリオンシャンテンさだめだ!」。

46  主演男優賞: 甲斐孫六 (なんと孫六)

*さだやす圭・作。月間マガジンに連載中の不良野球マンガ。同じ作者の播磨灘(「ああ播磨灘」)もよかった。破天荒な主人公,というパターンです。赤木軍馬(F<エフ>)も同系。桜木花道の個性が「スラムダンク」の人気の大きな一因であったように,特にスポーツマンガでは主人公の存在感が大切です。その点で言うと,「Major!」はまあまあ。「ドカベン」「はじめの一歩」「シュート!」「Harlem Beat」なんかは,主人公の影が薄いのでバツ。

47  助演男優賞: 安川 (めいわく荘の人々)

*五十嵐浩一・作。オタクの生態をあれほど見事に描いたキャラはない!これはむしろ例外ですが,男の子のマンガの主人公は「個性的だけれど,一見カッコよくはない」というパターンが圧倒的です。その方が読者が感情移入しやすいからでしょう。その分,サブキャラにカッコいい男を置く,というパターンが多い。ロロノア・ゾロ(ワンピース)しかり,弥勒(犬夜叉)しかり。古いところでは力石徹とか次元大介とか。キルクラなんかその典型ですが,主役(ゴン)より目立っちゃいけません。なお,脇役のキャラなら四谷さん(めぞん一刻)。アニメの脇役キャラならメガネ(うる星やつら)。

48  主演女優賞: シャーリィー・ホームズ(シャーリィー・ホームズ)

*後藤寿庵・作。掲載紙は「コミックペンギンクラブ」だったかな?「やけ天」のパクリと人は言うが。マイナーすぎますね。メジャー系では・・・う〜ん,迷うけど・・・「KNOCK!」(川原由美子)の 十南舞。あと,清原なつのの花岡ちゃんとか。古いから誰も知らんか。最近女性向けのマンガはあんまり読んでないもんで。

49  助演女優賞: 灰原愛(名探偵コナン)

*次点は,キリュウ(「守って!守護月天」)。少女・大人を問わず,女性誌にはあんまり魅力的な脇役は出てきません。主役を食うとまずいからでしょう。その点,男性向け雑誌には主役より存在感のある女性キャラが多いです。でもナイスバディだけが売りというんじゃしょうがないので,ここはアダルト系は除外ということで。しかし,「助演女優」という点から探すと,なぜか「これ」というキャラが思い浮かばない。

50  一番好きなマンガ評論家: 米沢嘉博

*日本のマンガ研究の第一人者。仕事の中身は違うけど,ぼくもこの人のような質の高い仕事がしたいと思ってます。

 

番外  一番きらいなマンガ家: 小林よしのり

*本人は確信犯だから仕方がないとしても,社会に与える悪影響の大きさを考えると,世間で言われている有害マンガの比ではないと思います。買う人がいるからよくないんでしょうが・・・。この人の行く末は政治家でしょうか。当選したらちょっとコワいです。

 

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