最終更新日: 2017/9/10

雑記帳 (その他編-23)

 

 

● 2017/9/10(日) 「アニメ聖地88」に物申す

 

申し訳ないがこの記事は,わかる人だけ読んでくれ。面白いと思ったらツイッターとかで拡散を希望する。

近隣の自治体の人が目を留めてくれないかなと思う。

 

一般社団法人アニメツーリズム協会という,半官半民の団体がある。

この団体のサイトでは,「観光立国日本の起爆剤となる可能性を持った『アニメ聖地』を88か所選定し、

さらに組織化することで、観光資源の掘り起こしや訪日観光客のエリア送客を促進する官民連携の協会です。」

と説明されている。この団体が選んだ2018年度版の「アニメ聖地」88か所が,8月下旬に発表された。

http://shadan.animetourism88.com/

ちなみに広島県内の聖地は,次のようになっている。

三次市   朝霧の巫女

尾道市   かみちゅ! / 蒼穹のファフナー

竹原市   たまゆら

呉市      艦隊これくしょん −艦これ− (他の県にも分散している)

この時点で「さっぱりわからん」と思った人は,以下は読まなくていいからね。

 

グーグルの検索窓に「アニメ聖地88 2ちゃんねる」と入れてみた。

案の定,この88か所の選定は批判の嵐だった。

しかし多くの批判は的外れだ。

たとえば広島県内で言えば,「どうしてポニョの鞆や『この世界の片隅に』の呉が入っていなんだ?」という声がある。

しかし,これらが選外になったのは当然なのだ。少なくとも外国人の集客が見込めないからだ。

この88か所の選定は,国内外のアニメファンからのアンケートがベースになっている。

外国のアニメファンは,ポニョや『この世界』なんか見ない。

彼らが見るのは主に萌え系やバトル・ミリタリー系のアニメだ。もしかしたらBL系も入っているだろうか。

そこで以下の記事では,大人であるオジサンが(大人はアニメを見ないのかもしれないが),

「アニメを観光に利用する」というアイデアを真剣に考えてみたい。今のままじゃまるでダメだ。


 

@アニメを使って国内外から客を集めようとするなら,ネタ元のアニメがユーチューブで常時見られる環境を作るのが先決だ。

そのためには文科省で予算を組み,主なアニメ(萌え・ロボット・BL系などに限定)の使用料を負担する。

たとえば「まどマギ」テレビ版の12回分を全部ユーチューブで無料で流せば当然DVDは売れなくなるから,減収分を見積もって保証する。

あるいは「初回放送分のみ無料,2回目以降は1本1ドル」のような有料視聴にする手もある。

Aそのようにして数百本程度のアニメをアップロードした上で,それぞれのアニメの「聖地」として立候補する自治体を募る

1つのアニメ作品に対して複数の自治体が聖地として立候補したら,動画サイトでコンペをして人気投票で決めればいい。

町おこしの切り札になりうるのだから,地元は官民上げて誘致に必死になるだろう。それが地域活性化につながることは疑いない。

正式に選ばれたら,その自治体が予算を使って,ユーチューブで公開されたアニメに地元のPRや観光情報を加えて流してもいい。

アニメの原作に実在のモデルがあるかどうかは問わない。

アニメの世界観を再現した場所でありさえすれば,ゼロから聖地を作ってもかまわない。

たとえば台湾には,「千と千尋の舞台のモデル」と称する観光地があるという。

実際には後付けだろうが,日本からの観光客も増えているらしい。

かように日本のアニメの聖地を外国でも作れるのだから,日本国内で同じことができないはずがない。

過疎の町全体を「サクラクエスト」のリアルバージョンにするような大掛かりなものは無理だろうから,もっと小規模なものを。

シャッター街を「たまこまーけっと」の商店街に模してリニューアルするとかなら簡単そうだが,残念ながら同アニメにはモデルがあって既に聖地扱いされている。

そういうアニメが多いのは確かだが,別に既に聖地があったってかまわない。

「ふなっしー」にならって非公認聖地としてアピールを続ければ,そのうち客は集まるはずだ。

オリジナルで作るなら,山奥の採石場跡地とかに思い切り深い穴を掘って「メイドインアビス」に模すとか。


開き直ってこじつけるなら,どこかの民家を改装して「おそ松さん」の一家が住む家を資料館つきで建てれば,

外国人観光客は期待できないが日本人の腐女子が全国から集まるだろう。

ネタ元や既存の聖地があろうとなかろうと,基本的に「言ったもん勝ち」だ。

そこらへんにアニメキャラの人形や立て板を置いて,来訪者が勝手に妄想を膨らませてくれるのを待てばよいのだ。


 

今でもコアなアニメファンは,独自の聖地巡礼ルートを作っている。

たとえば富山県を舞台にしたロボット+萌えアニメ「クロムクロ」には,こんなルートがある。

http://souraku.jp/newpage164.html

しかし,外国人にはこんなツアーは無理だろう。

外国人観光客が1日で回れる程度のコンパクトなツアーを企画し,交通・宿泊をセットにしてPRする。

そのモデルを1つ考えてみた。


◆瀬戸内海アニメ聖地巡礼1日ツアー

(行程:@尾道 → A竹原 → B大三島 → 尾道)

@尾道(かみちゅ!)

メインの巡礼地として,海沿いの商店または飲食店の1つを改築して「かみちゅ!資料館」(仮称)をオープンする。

店内は「大型スクリーンを備えた喫茶スペース」「アニメ資料の展示スペース」「グッズ販売スペース」の3区画から成る。

喫茶はドリンクバー形式で,料金は基本的に時間制。客は入り口でタイムカードを押し,滞在時間に応じて1時間当たり500円を支払う。

飲み物は無料,軽食は別料金。スクリーンでは営業時間中は「かみちゅ!」のアニメをずっと流し,途中に観光情報などをはさみこむ。

一番いいのは,制作スタジオに頼んで20分程度の「ここでしか見られない新作バージョン」を作って上映することだ。

外国人観光客向けには,(技術的に可能なら)イヤホンで別言語の音声を聞けるようにする。

ここで数時間過ごすもよし,すぐ出て海岸沿いでアニメのモデルになった風景を見ながら散策するもよし。

ちなみにかみちゅのアニメは,ユーチューブで英語版が見られる。

上右の写真は,今年の夏にたまたま横島で見かけた痛車を撮影したものだ。

知らない人がほとんどだろうが,アニメファンなら「尾道」と聞いて思い浮かぶアニメは「かみちゅ!」だろう。

 

A竹原(たまゆら)

尾道からはフェリーで移動(電車で行ってもよいが呉線乗り換えのため時間がかかる)。

ここはメインの巡礼地が町並み保存地区なのでわかりやすい。滞在時間は2時間くらい。

ただしここが聖地であり続けるためには,最初に書いたとおりユーチューブで動画を見られることが条件だ。

「たまゆら」は,ユーチューブで一部は見ることができる。

しかしこのアニメは竹原市が主導権を取って露出度を高めないと,いずれファンの記憶からも消えるかもしれない。

 

B大三島(艦これ)

アニメツーリズム協会が選んだ艦これの巡礼地は全国に分散しているが,ファンはミリタリーマニアだけじゃない。

それに大洗(ガルパン)とは違って,呉や佐世保を回ってもそこに艦娘の絵があるわけじゃない。

それじゃあ巡礼者も面白くない。

そこで,アニメ版の鎮守府のうち艦娘寮をイメージした施設を作り,そこを聖地と称してはどうか。言ったもん勝ちだ。

そして新たにその聖地となるのは,大三島の西の外れ・宗方にある「大三島ふるさと憩いの家」だ。

ここは廃校になった小学校を改装したレトロな雰囲気の宿泊施設で,アニメの艦娘寮のイメージをかぶせることはできると思う。

もともと宿泊施設だから,ここに宿泊することもできる。

周辺に土地は余っているのだから,いっそ鎮守府のレプリカを再現してもいい。

艦これはアニメよりもゲームのファンの方が多いだろうから,国内外からの集客が大いに期待できる。

帰りはウサギの島として有名になった大久野島へ立ち寄る船便を用意してもいいだろう。

 

以上,「アニメでリアル町おこし」の例を紹介してみた。ちんぷんかんぷんのまま最後まで読んでいただいた方がおられたら申し訳ない。

ちなみに今クール(2017年夏アニメ)では,「メイドインアビス」が一番好きだ。何と言っても絵がすばらしい。

 

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