SKYWARD総合英語解説

第1章(時制)

 

時制とは,基本的には「時を表すV(述語動詞)の形」のこと。この学習分野のいくつかのポイントを挙げておきます。

これらは私の考えであり,通説とは異なるものもあります。動画も参考にしてください。  

https://www.kirihara.co.jp/swtg_movie/#01

@時制の選択には,話し手の気持ちや判断が反映する。

A「時制の一致」はかなり機械的に(いわば惰性で)適用される。

B現在形は「どの時制も適用しづらい場合」に使うことがある。

C「単純未来のwill」には2つの用法がある。

D「時制を変えて言葉の響きを和らげる」という使い方もある。  

以下,@〜Dを簡単に説明します。  

@下の2つの文からもわかるとおり,「1つの事実を表したいとき,使う時制は自動的に1つに決まる」というわけではありません。

It snowed this morning. とIt was snowing this morning. の使い分け(p.20)なども同様です。  

(p.27)

 

A下の例のような場合,日常的には(a)のように機械的に時制を一致させるのが普通です。

英語話者の頭の中には,文を組み立てる際のメカニズムの1つとして「時制の一致」というルールが組み込まれているからだと考えられます。  

(p.45)

B私流に言う「ゼロ時制の現在形」です。「いつの時点のことか」は主節のVの時制で表すので,従属節中のVはシンプルな時制にする傾向があります(economy of speech)。

下のような(名詞節や形容詞節中で使われる)現在形も,Aと同様の心的惰性が働いた結果だと私は考えます。  

(p.36)

参考:関正生先生の真・英文法大全(p.155)には,「昔は時・条件の副詞節中では動詞の原形を使っていたが,時間が経つにつれてif love be blindより

if love is blindを選ぶ人が増えた結果,今では現在形を使うようになった(と自分は考える)」という趣旨の説明があります。私の考え方もこれと同じです。  

CSKYWARDでは,単純未来のwillを下の表のAとBに分けて説明しています。

(p.28)

この区別をすることで,たとえば未来進行形の2つの意味のうち,「〜しているだろう」のwillはB(推量),「〜することになっている」のwillはA(未来を表す記号)だという説明が可能です。  

D下の説明にあるとおり,時制には「現在のことを現在形以外の時制で表すことによって心理的距離感を広げ,控えめな響きを持たせる」という使い方があります。

これは,助動詞の過去形(主にwould,could)や仮定法過去と深い関係があります。  

(p.283)

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