SKYWARD総合英語解説 第15章(副詞)
SKYWARDでは「副詞=修飾語のうちで形容詞ではない(すべての)もの」と定義していまする。 「形容詞は名詞を,副詞はそれ以外を修飾する」という定義もよく見られるが,これではうまく説明できない場合もあるので。 @A lot of people, mainly
students, joined the volunteer activity. この文について,次の問いを考えてみます。 (A)mainlyの品詞は? (B)mainly studentsは修飾語か?もしそうなら,形容詞句・副詞句のどちらか? (A)については,辞書にあるとおりmainlyは副詞です。そしてこの文のmainlyは,studentsを修飾していると考えられます。 またon my way home,the
climate here,even a child などの下線部も副詞であり,前後の名詞を修飾している,とSKYWARDでは考えます。 つまり「副詞が名詞を修飾する」という修飾関係を認めることになります。 これに対して,「@のmainlyは(名詞を修飾するから)形容詞だ」という説明も可能です。 ただしその場合は,「形容詞の限定用法」の定義を変更する必要があります。 一般には限定用法の形容詞は,名詞をカテゴリー分けする働きを持ちます。 たとえばa big carのbigは,「車のうちで大きいもの」のように,被修飾語である名詞の種類を限定します。 しかし@のmainlyはstudentsの種類を限定しているわけではない。 だからこのmainlyを形容詞だと主張するのなら,「形容詞の働きとは何か?」という点を考え直さねばならない。 (B)については,一般には@の< >は「挿入句」だと説明されます。 しかし「挿入」とは文の構造,つまり「形」に対するネーミングであって,それ自体の機能には言及していません。 文法体系全体の中で考えると,挿入句・節の機能は基本的に「副詞型」と「形容詞型」に分けることができると思います。 @A lot of people, mainly
students, joined the volunteer activity. →mainly studentsは,(前にwho wereを補って考えることができるから)補足説明用法の形容詞句である。 「形の上では名詞句だが,機能としては形容詞である」という点がポイント。 AMs. Mori is, I think, a
good teacher. →I thinkは形の上では主節(の挿入)だが,機能としては副詞である(だから省いてもよい)。 下の写真はSKYWARD総合英語(p.616)。(4)はどちらも形容詞,(5)は(文修飾)副詞の働きと考えます。 英文法解説(p.500)では,「挿入」の例として次のような文を挙げています。 (1) Most American men, and some of the women too, are amateur carpenters. (アメリカの大部分の男性,それに一部の女性も,日曜大工をやります) (2) The president, a pompous little man, talked far too long. He did, however, talk sense for once. (社長は態度は大きいが体の小さい人で,話はひどく長かった。だが今回だけは,筋の通った話をした) (3) The rubber plant we saw a beauty, over three feet tall, with huge green leaves. (私たちが見た[観賞用の]ゴムの木は高さが3フィート以上もあり,とても大きな緑の葉をつけていて,実に見事な木であった)
SKYWARD流では,(2)(3)の挿入句は(補足説明用法の)形容詞の働きをしていると考えます。 (1)は「(例外的な)重文型の挿入句である」または「これは挿入句ではない」という2つの説明が可能でしょう。 学校文法では「修飾語は形容詞または副詞の働きを持つ」と定義します。 しかし分詞構文・関係詞節・同格・挿入にはこの定義が明確に適用されておらず,「継続用法の関係詞節は補足説明を加える働き」 「挿入語句は注釈を加える働き」のようなあいまいな(いわば「ごまかし」の)説明がよく見られます。 たとえば「挿入句」とは修飾語なのか?という疑問に,多くの参考書は答えてくれません。 分詞構文・関係詞節・同格・挿入などは「形」と「機能」の両方を体系的に説明する必要があると思います。 そして学校文法は「機能」の説明が弱い面があります。(例外はあるけれど)これらは基本的に修飾語であり, 形容詞・副詞のどちらかの働きを持つ,と考えれば,より簡潔な文法体系になるのではないでしょうか。 |
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