SKYWARD総合英語解説

第4章(不定詞)

 

SKYWARDは記述文法ではなく教育文法を志向しています。

たとえば不定詞の副詞的用法では,「目的」「結果」「程度」…などいくつかの意味に分けて説明するのが一般的です。しかし,それだけでは足りない。

英作文の採点をしていると,使ってはいけないところで不定詞を使う誤りがよく見られます。

(p.125)

これを書いた生徒には「この不定詞が今までに学んだ不定詞の用法のうちのどれに当たるかを,君は説明できるかい?」と指導するのが適切でしょう。

つまり発信のための文法知識は,「英文を書く[話す]作業」と「間違えた箇所を自分が学んだ知識と照合して修正する作業」との繰り返しによって身に付けることになる。

そういう視点から,SKYWARDでは学習者が犯しやすい誤りに焦点を当てて説明しています。下の写真(SKYWARD-p.)もその1つです。

(p.124)

一方,たとえばmake it a rule to doはSKYWARDには入れていません。発信にも受信にも利用価値が低いという判断からです。

他のたいていの総合英語系の本には載っていますが,それはこのフレーズが私大の文法問題にだけはよく出るから。

SKYWARDでは「入試の文法問題対策」は一切無視しています。

 

受信(主に読むこと)に関しては,不定詞の前後の品詞の違いに応じて,解釈のプロセスをパターン化しています

(p.141)

この[a]を「to moveは前のa planを修飾する形容詞的用法だね。だからこの文の意味は…」という「結論ありき」の説明は,この文が読めない学習者にとっては不親切です。

同様に〈be+ED形+to do〉の形は,次の5パターンに分けました。

@be allowed to do型:〈V+O+to do〉の受動態

Abe used to do型:不定詞が目的を表す

Bbe relieved to do型:不定詞が感情の原因を表す

Cbe said to do型:Itで始まる文に言い換えられる

Dbe supposed to do型:全体が1つの連語

たとえば〈be+to do〉は,「予定」「可能」「義務」などと意味を分類して説明します。それと同様の分類を,〈be+ED形+to do〉についても行ったわけです。

はしがきに書いたとおり,「学ぶべき文法事項はあらかじめ決まっている」というassumptionを捨てれば,こういう発想が出て来てもいいはずです。

@〜Dは一見するとすべて同じ形に見えるけれど,不定詞の働きはそれぞれ異なる。

「英文を読むための手段としての文法」という観点から言えば,@〜Dの違いはどこから生じるのかをていねいに説明する必要がある。

しかし従来のdescriptive grammarは,そういうところに関心を向けていない。

従来の文法書が悪い,と言いたいわけではありません。本の目的が違うということです。

SKYWARDは,文法知識を(音声面も含めて)実際の英語の運用に当てはめるためのノウハウを重点的に扱う本です。

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