SKYWARD総合英語解説

第8章(仮定法)

 

仮定法のポイントして,次の3点を挙げておきます。

(1)仮定の意味を含むwould・couldの使い方を覚えることが大切。

(2)if節を使った仮定法の文は,条件文全体の中で考える。

(3)仮定法のルールは実際には厳密に守られないこともよくある。

(1)次のような文(p.269)を自分で作れるようになることが大切。

I want to live alone, but it would cost a lot of money.

条件節(if I lived alone)が省略された形。この文でwillを使うと,(将来)一人暮らしをすることが前提であるように響く。

(2)この表(p.540)の黄マーカーのif節の使い方が盲点になりやすい。

(A)の例: If you are a soccer fan, I have two tickets for today’s game.(直説法)

(D)の例: If he practiced hard, he could become a regular player.(仮定法)

(E)の例: I’m sorry if I wake you up.(直説法)

(D)の例は次の2つの解釈が可能。Aの意味を見落としやすい。

@ 実際には彼は熱心に練習しないから正選手になれない。(反事実的条件文)

A 可能性は低いが,熱心に練習すれば彼は正選手になれるかもしれない。(仮想的条件文)

(3)「仮定法はいずれ消滅する」という見解は正しいと思う。いくつか傍証を挙げる。

●写真はオーレックス英和。

実際にはKevinは「私たちの上司」ではないが,(a)の直説法を使うと答えた人が最も多い。つまりas if節中の法の選択は,もはや「話し手の確信度」とは関係がない。

This recipe would be good if you want to enjoy a hot dish on a cold day.(共通テスト第2回試行調査)

※if節中の動詞がwantedではない点に注目。同様にWould you mind if I sat here?のsatの代わりにsitが使われることもある。

It about time we decide when to have the English club farewell party for Yasmin. (共通テスト第2回試行調査)

※文法的にはdecidedとすべきだが,直説法(あるいは仮定法現在)のdecideが使われている。

If you ( ×asked / 〇had asked ) me, I’d have lent you some money.

※この問いに関してアメリカ人校閲者から次のコメントがあった。

Technically, I’d agree “asked” is wrong, but I believe many native speakers do use this form as a replacement for the past perfect. 

このコメントについてRichard(SKYWARDのインフォーマントのイギリス人)に尋ねると,「自分もそう思う」と答えた。

 

以上のように,仮定法という表現形式は直説法に侵食されつつあり,慣用表現以外ではいずれ消滅するのではないかと私は思います。

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