[010] stealとrob(2012
東京理大)〈連立完成〉
×Martin stole my book from me.
=Martin robbed me ( ) my book.
【解説】説明不要でしょう。昔はこういう「書き換え公式」を覚えさせられていたのですが…
このレベルの能力でも大学教員を続けられるのなら,出題者はある意味で幸せ者です。
[009] quitの活用形(2017
名古屋学院大)
×彼女は上司と言い争いをした後に辞職した。
She ( ) her job after an argument with her boss.
★@quit
Aquits Bquitting ☆Cquitted
【解説】quitには,quit-quit-quit
と quit-quitted-quitted(イギリス英語)の2つの活用形があります。
中学や高校の先生,あるいは高校生でも知っていることではないでしょうか。
[008] reachの意味(2017
東京理大)〈連立完成〉
△(a) If you walk along this street for ten minutes, you’ll reach the movie theater.
(b) Ten (
) walk along this street will bring you to the movie theater.
【解説】正解はminutes' ですが,(a)のreachは不自然。
たとえば「ウィズダム英和辞典」(第6版)では,「reach=苦労してやっと着くこと」と説明されています。
たかだか徒歩10分で着くような場合には,get
toやarrive atを使うのが普通です。
[007] appearかseemか(2019
慶応大・看護医療)
△
I tried calling her office just now, but the professor ( ) to have
already gone home.
@
appear ★A appeared B appearing C appears
【解説】文意は「たった今オフィスに電話してみたが,教授はもう帰宅したようだった」。
appearについて,「ウィズダム英和辞典」(第4版)では次のように説明しています。
「主に話し手の視覚に基づく推論を表すが,((かたい書))ではseemの代わりに用いられる」
この文は日常的な内容であり,話者が自分の目で見たわけではないのだから,seemedの方が適切でしょう。
Richardに確認したところ,「そのとおり」とのことでした。
[006] find+O+過去分詞(2011 大阪商大)
△ Frank found his bag (
).
@ steal A stealing B stole ★C stolen
【解説】出題者は「フランクは自分のバッグが盗まれているのを見つけた」という文のつもりでしょう。
文法的には成り立ちそうに見えますが,不自然な文です。Frank found (that) his bag had been stolen.
とするのがベター。なお,元の文は「フランクは自分のバッグが盗まれつつあるところを見つけた」の
意味にも解釈できます。その場合でも,Frank found his bag being stolen. よりもFrank found someone
stealing his bag. が普通の言い方です。
[005] recoverは自動詞(2012
早大)〈正誤判定〉
I decided to
(A)stay home from work, (B)despite I was (C)almost
completely
(D)recovered from my cold. (E)NO ERROR
【解説】「風邪はほぼ完全に治っていたが,私は仕事を休んで家にいることに決めた」という意味。
出題者の想定した正解は(B)(→(al)though)でしょう。
しかしこの文は,despiteを(al)thoughに変えただけでは正しくなりません。
recover(回復する)は自動詞なので,たとえば「私は風邪から回復した」はI (have) recovered from my cold. です。
I was recovered(回復させられた?)のように受動態にすることはできません。
正しい文にするためには,despite I was → though I had
と変える必要があります。
had recoveredは過去完了形で,though以下は「私は風邪からほぼ完全に回復していたけれど」の意味になります。
追記:(2015.3.22)
この記事を見られた方から,「be動詞と自動詞の過去分詞で現在完了の意味を表すので,やはり
答えはdespiteでよいのではないか」というご質問をいただきましたので,ここでお答えしておきます。
結論としては,上の問いは「悪問」ではありませんでした。
@私は上の文をRichardに見せて「wasはhadに直すべきだ」という回答をもらいました。
それをもとに上の記事を書きました。
Aしかし,辞書の記述から「wasでも正しい」と訂正します。OALDに次の例文がありました。
She is now fully
recovered from her injuries.(彼女は今ではけがから完全に回復している)
B参考までに言うと,〈be動詞+自動詞の過去分詞〉が常に〈完了〉の意味を表せるわけではありません。
たとえば He has
died.(彼は死んだ)を He is died. と言うのは誤りです。
以下は「ロイヤル英文法」(p.420)からの引用です。
「移動や変化などを表す自動詞(come,
rise, set, fall, changeなど)の過去分詞が,〈be+過去分詞〉の
形で完了形になり,Spring
is come.(春が来た)のように,完了後の状態を表すのは古い完了形の名残で,
いまでは次のような表現以外は古風。
He is gone.(彼は行ってしまった)
All the money is
gone.(お金がなくなってしまった)」
これらの表現の過去分詞は,純粋な形容詞に近い働きをしています。
つまり,辞書に形容詞としてエントリーがある(自動詞の)過去分詞は,be動詞の後ろに置けるわけです。
よく知られているところでは,たとえば
retired(引退した)があります。この語は完全な形容詞と言ってよく,
たとえば次の両方の文が可能です。
○He is retired.(彼は引退している)/
○He is a retired teacher. (彼は引退した教師だ)
一方,recovered
は形容詞化の度合いが retired ほど強くなく,OALDには形容詞としてエントリーが
ありますが,LDOCEにはありません。また,retired
とは違って名詞の前には置けません。
○He is recovered.(彼は回復している)
×The recovered
patient is now out of the hospital.(その回復した患者は今退院している)
Richardは,recovered
を形容詞として使うことに抵抗を覚えたのだと思います。
私も「retired
ならbe動詞の後ろに置けるが,recovered
は無理だろう」という感覚でした。
辞書をきちんとチェックすべきでした。ご指摘いただいた
I さん,ありがとうございした。
[004] resembleと進行形
(2010
松山大)
× He (
) his father.
☆@ is resembling A is resembled to B resembles with ★C resembles
【正解】彼は父親に似ている。
【解説】出題者の想定した正解はCですが,@も別解として成り立つ余地があります。
Richardに尋ねたところ,「Heが子どもならこの文は使える」とのことでした。
出題者は「graduallyなどの副詞的要素がないから@は不可」と考えたのかもしれませんが,
話し手が「彼は父親に徐々に似てきている」と言いたいことが状況的にわかれば,@は可能です。
そもそもこんな短い文1つだけで判断させようとすることに問題があると言えます。
[003] bringとcarry (2008
十文字学園女子大)
× I asked you to (
) your book here, didn’t I?
★@ bring ☆A carry B take ☆C have
【解説】想定された正解は@でしょうが,Richardは「ACも可能だ」と言います。
「bring=持ってくる」「carry=運ぶ」という中学生でも知っている意味から考えても,Aが許容されることはわかりそうなものですが。
[002] preventに続く形
(2011
大阪経済大)
× The cold prevented me (
) out.
@ to go ☆A going ★B from going C in going
【解説】想定された正解はBですが,Aも可能であることは辞書を見ればすぐにわかります。
出題者はおそらく受験生の頃に〈prevent O from 〜ing〉の形を入試向けの重要熟語として暗記し,
preventはこの形でしか使えないと今でも思いこんでいるのでしょう。
また,preventは主に書き言葉で使う語です。「かぜをひいて外出できなかった」という内容は,
日常的にはI
couldn't go out because I had a cold. などで表現する方が普通でしょう。
[001-a] 使役を表すhave
(2011
名古屋学院大)
△They had their mother (
) their room for the party last week.
★@ clean A cleaned B to clean C to be cleaned
【解説】たとえば「ジーニアス英和辞典」(第5版)では,〈have+O+原形不定詞〉の使い方を次のように
説明しています。
Oはしかるべき職業の人に(職務として),また主に目下の人に「…させる」の意味。したがって
× I had my teacher [boss] check the letter. は不可で,I got my teacher [boss] to check ...
とする。
ただし,((米))ではI had my teacher [boss] check … を認める人もいる。
上の問いの完成した文は,「子どもたちは母親に指示して部屋をきれいにさせた」という響きになるため
不自然です。このタイプの悪問は入試で多く見られます。出題者が「have+人+動詞の原形=〈人〉に
〜してもらう」という底の浅い覚え方しかしていないからでしょう。以下の問いも同様です。
[001-b](2009
福岡大)〈整序作文・1語句不要〉
私は英作文の間違いを友達に直してもらいました。
△ I [ the errors / correct / had / be corrected / my English composition
/ in / my friend ].
【解説】完成した文は(I) had my friend correct the errors in my English composition.
ですが,「友達に
命じて間違いを直させた」というニュアンスになります。
[001-c](2011 広島女学院大)〈整序作文〉
△ I am thinking (
) ( ) my ( ) ( ) ( ) ( ) the homework.
[ having / help / me / friends / of / with ]
【解説】正解は(I am thinking) of having (my) friends help me with (the homework).。これも「私は友人
たちにその宿題を手伝わせようかと考えている」の意味。ジャイアンが言うならOKですが。
[001-d] (2011 広島女学院大)
△ Jane had her husband (
) their house as she was very tired.
@ cleaned A to clean ★B clean C having cleaned.
【解説】「ジェインはとても疲れていたので,夫に家の掃除をさせた」。ジェインは自分の夫を「目下の者」
と考えているのでしょう。
[001-e] (2008 関西学院大)
△ I had my neighbor (
) the leak in the kitchen.
★@ repair A repaired B to repair C to have repaired
【解説】文意は「台所の水漏れを隣人に直させた」。隣人が配管工ならOKでしょうが。
参考までに付け加えると,上に示したジーニアス英和辞典(第5版)の「ただし,((米))ではI had my
teacher [boss] check …
を認める人もいる。」という記述は,第4版まではありませんでした。
おそらく読者からクレームが来たため追加したのでしょう。親切と言えば親切ですが,
読者にとってconfusing
な面はあります。上の問題をRichardに見てもらったところ,
彼は「どの文でも get を使う方がよい」と言いました。
大学入試(英文法)悪問データベース
目次 へ