[008]
推量の助動詞に関する誤解(2006 神奈川工科大)
×Do you think it ( ) fine tomorrow?
★@ will be A must be B can be C could be
【解説】
想定された正解は@ですが,Richardは「Cも正しい」と言います。また,might/may
beも空所に入るとのこと。
学校文法でも説明できます。Aのmustは未来の推量には使わないので不可,Bのcanは一般的な可能性を表すので不可。
ここまではいいのですが,could(やmay/might)は未来の推量にも使えるので,Cは問題ありません。
出題者の知識不足でしょう。
[007] couldとwas able
toの選択(2014 早稲田大・人間科学)〈正誤判定〉
△Despite @the
fact it was Ahigh season, she Bcould get Ca reservation
at a hotel on the lake shore. DNO ERROR
【解説】
想定された正解はB(→was able)ではないかと思いますが,Richardは「Bは正しい」と言います。
「過去に1回限りの行為ができたという意味ではcouldは使わない」というルールには,多くの例外があります。
たとえば『謎解きの英文法
助動詞』(くろしお出版)では「不可能状態と対照される形で可能状態が述べられる場合」には
1回限りの行為でもcouldを使えるという説明があります。したがって,たとえば「彼女はホテルの予約を取れない状態だったが,
状況が変わって予約を取ることができた」のような文脈ならcouldを使えます。
あるいは,「彼女」が旅行代理店で客の宿泊予約を代行する仕事をしているなら,couldは(反復される行為だから)使えます。
この問いは,Dの選択肢がなければ「正解はB」と言ってよいでしょう。しかしDがある以上,
たとえば英語圏からの帰国子女がこの問題を解いたら「正解はD」と(正しく?)判断する可能性も十分あります。
[006]
shallの古風な用法(2008 高崎経済大)〈連立完成〉
△I will make him go there tomorrow.
=He ( ) go there tomorrow.
@ can A may
★B shall C will
【解説】
私が中学生の頃には,shallのこの使い方を教わりました。おそらく出題者もそうでしょう。
しかし現代英語でHe shall go there
tomorrow. という文が使われる状況はほぼないでしょう。
ついでに言えば,左側の文もmakeよりhaveを使う方が自然です。
[005] wouldとused toの選択(2003
近畿大)
△My father (
) play golf twice a week, but now seldom plays at all.
@ might
☆A used to B was used to ★C would
【解説】
「父は以前は週に2回ゴルフをしていたが,今ではほとんど全くやらない」の意味。
「used toは過去の漠然とした期間の習慣を表し,特定の期間や回数を表す副詞(句)と共には用いない」
という趣旨の記述が辞書などにあるので,Aは誤りだと出題者は考えたのでしょうが,
RichardはAを許容しました。マニアックすぎる文法問題と言ってよいと思います。
[004] must notとmay not(2009
川崎医療福祉大)
× 暗くなってから外出してはいけません。
You (
) go out after dark.
★@ must not
☆A may not B might not C would not
【解説】
出題者が想定した正解は@でしょうが,Aも実質的な意味は同じなので別解になります。
厳密に言うと,@は「禁止」,Aは「不許可」を表すので,@の方が響きの強い表現です。
[003] canとcouldの選択(2010
松山大)
×
Only when you pass the examination (
) a reward.
★@ can you get
A you can get ☆B could you get C you get
【解説】
「試験に合格したときのみ君は報酬を得られる」の意味で,
出題者は@を正解と想定しています。しかしRichardの意見は,
「試験合格以外に報酬を得る条件があるのならBも可能」とのことでした。
つまり,試験合格に加えて別の条件も満たさなければならないのなら,Bを入れて
「試験に合格したときにのみ君は報酬を得られるかもしれない」という意味にします。
その紛れをなくすには,whenを(条件を表す)ifに変えればよい,とのことです。
[002-a] may well(2008 愛媛大)〈書き換え〉
(a) Tom has good reason to be angry.
△(b) Tom may ( ) be angry.
【解説】
文意は「トムが怒っているのは当然だ」で,正解はwellです。しかし,(b)はこれだけを
単独で見ると,おそらく「トムはたぶん怒っているだろう」の意味に解釈されるでしょう。
私たちが受験生だった頃は「may well=〜するのも当然だ」と覚えさせられていましたが,
may wellには「たぶん〜だろう」の意味もあり,こちらの方がよく使われます。
英英辞典,たとえばLDOCEでは,may/might/could well=used to say that something is likely
to happen or is likely to be trueと定義しており,with good reasonの意味は載せていません。
「ライティングのための英文法ハンドブック」(研究社)にも,may wellについて「『〜するのも
もっともだ』の意味ではあまり使われない」という説明があります。
入試では今でもそちらの意味の
may well がよく出題されます。たとえば次のような。
[002-b](2010 西南学院大)〈整序作文・1語不足〉
ジョージはやさしくて頭がいいので,父親が彼を自慢するのももっともだ。
△ George is kind and clever, and [ boast / his / may / him / well / father ].
【解説】正解は,… and his father may well boast of [about] him。ちなみにこの文のmay well
は
「十分に(well)+〜してよい(may)→〜するのも無理はない」と解釈することができます。
しかし,和文の意味を表したいのなら,… and it’s natural [no wonder] (that) his father boasts
of him. などと言う方が普通でしょう。
[002-c](2011 東北学院大)
△ He may (
) complain about his new boss.
@ as A be B like ★C well
【解説】出題者はおそらく「彼が新しい上司のぐちをこぼすのももっともだ」のつもりで出したのでしょうが,
ネイティブなら「彼はたぶん新しい上司のぐちをこぼすだろう」の意味に解釈するでしょう。
[001-a] ought not to(2009・仁愛大)
△
You ( ) have believed what he said.
@
ought not A ought to not ★B ought not to C didn’t ought to
【解説】「君は彼の言ったことを信じるべきではなかったのに」の意味。想定された正解はBですが,
Richardは「会話では@を使う人もいる」と言います。
ウィズダム英和辞典では,否定文中のought toについて次のように説明しています。
((かたく))ought not to do,((くだけて))oughtn’t to do,((米・くだけて))oughtn’t do,((英・非標準))
didn’t [shouldn’t] ought to do,などがあるが,実際にこれらの否定形が用いられるのは((まれ))。
代わりに,I don’t think you ought to go. やYou shouldn’t go.
などの表現が好まれるが,この
傾向は特に((米))で強い。
受験英語ではよく,「had better notとought not toとでは,notの位置が違うから注意しなさい」と
教えます(アトラスにも受験対策の観点からその説明を入れています)。しかし実際には,
ought toを否定文や疑問文で使うことはまれだという事実を知っておく必要があります。
上の文は,I don’t think you ought to have believed ... あるいはYou shouldn’t have believed ...
と表現する方が普通です。参考までに,ought not toの形を問う入試問題の例を追加しておきます。
[001-b](1996 上智大)〈誤文選択〉
そんなこと言うもんじゃないよ。
@ You must not say such a thing.
△★A You ought to not say such things.
B Such things should not be said.
C It is not right to say such a thing.
【解説】Aは文法的にはYou ought not to say such things.
が正しい形です。しかし,和文の内容を表す
最も普通の文は,You shouldn’t say such a thing. や I don’t think you should say such things. でしょう。
[001-c](2012 東京理大)〈整序作文〉
△ We [ do / not / ought / we / what ] to do.
【解説】正解は (We) do what we ought not (to do). ですが,この文は意味的にも問題があります。
We doのdoは動作動詞であり,動作動詞の現在形は習慣的行為を表します。つまりこの文は「私たちは
いつも,すべきではないことをしている」という意味に解釈されます。状況がよくわかりませんが,weは
ろくでもない人たちだ,ということになります。
[001-d](2012 東洋大)
△ This is a very important conference. You ( ) miss it.
★@ ought not to
A must have B should have C had not better
【解説】「これはとても重要な会議だ。君は欠席すべきではない」という意味。
しかしその意味を表したいなら,第2文は
You must come. などで十分でしょう。
大学入試(英文法)悪問データベース
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