[005] 関係詞節中で補語の働きをする関係代名詞(2000
和光大)
×
I'm not the man ( ) I was when I met you before.
★@ that A who ☆B whom ☆C which
【解説】文意は「私は(今では)以前あなたに会ったときの私ではない」。
次に挙げるような問題点があります。
(1) 出題者の想定した正解は@でしょうが,あるアメリカ人は「B・Cも使える」と言います。
(2) 空所には何も入れないのが最も自然です。
(3) 会話ではこんな言い方はしないでしょう。たとえばI've changed a lot since I met you before.
(私は以前あなたに会ったときからずいぶん変わった)などの方が自然です。
[004-a] 不自然なwhose/of which(2007 福岡大)
△ That house (
) is mine.
@ that roof is blue A which roof is blue
★B whose roof is blue C which is blue roof
【解説】文意は「屋根の青いあの家は私の家です」。
正解のBを空所に入れた文をネイティブに見せると,「不自然だ」と言わるでしょう。
特にイギリス人の中には,「そもそもwhoseは人間に使う言葉だから,
人間以外のものの後ろにwhoseを置くのはおかしい」と言う人もいます。
和文の意味を表す自然な英文は,That house with a blue roof is mine.
です。
この「青い屋根の家」のような内容を表現するのにwhoseを使うべきではないということは,
文法参考書や辞書を見ればあちこちに載っています。出題者が「昔自分が習った変な英語」を
無自覚に再生産している悪例です。
[004-b](2006 立命館大)〈整序作文〉
今は題名を思い出せないが,今朝息子は映画について話をした。
△ This morning my son [ I / cannot / mentioned / movies / remember /
titles / whose ] now.
【解説】完成した文は,(This morning my son) mentioned movies whose titles I cannot remember
(now). ですが,
話し手が「けさ息子は(いくつかの)映画について話したが,その題名を今は思い出せない」と言いたいのなら,
(あえてwhoseを使えば)This morning my son mentioned some movies, whose titles I cannot remember now.
が自然でしょう。ただし,それよりも自然な文は
My son talked about some movies this morning, but I
can't remember their names now. です。
[004-c](2007 近大)
△ He mentioned a book (
) title I can't recall now.
@ that A which B who ★C whose
【解説】これも上の問いと全く同様で,He
mentioned a book, but I can't recall its title now.
と
言えば済むことです(さらに言えば,下線部はそれぞれtalked about,rememberの方が口語的です)。
このように関係代名詞のwhoseは,それを使わなくても別の表現で代用できるケースがほとんどです。
つまり,日本人はwhoseの使い方を知らなくても実生活ではあまり困りません。しかし大学入試に
このような問いが出る以上,生徒はその対策学習をしなければなりません。このようなことが積み
重なって,高校生の英語学習が非効率になっているという現状があります。
[004-d](12大阪経済大)
△ Ken bought a book (
) subject is cooking.
@ which A that ★B whose C where
【解説】日本人が作ったダメな英語の見本のような文です。直訳すると「ケンは主題が料理である
本を買った」ですが,この内容を表現するときネイティブが選ぶ(おそらく唯一の)文は,
Ken bought a cookbook. でしょう。
[004-e](12大阪経済大)
△
The castle ( ) you can see the green roof is 200 years old.
@ which A to which B whose ★C of which
【解説】これはof whichの例。文法的にはThe castle whose green roof you can see is 200 years old.
とも表現できます(of whichを使う方が堅苦しい言い方です)。文意は「緑色の屋根が見えるお城は
築200年です」。
しかし,「この文はどんな状況で使われるのだろう」と考えてみると,たとえばツアーガイドが客に向かって
「向こうのあのお城は…」と説明するときこのような言い方をするとは思えません。
自然な英語はもちろん,The [That] castle with a green roof is 200 years old. です。
実際にそのお城が見えている状況なら,わざわざ
you can see と言う必要はありません。
[003-a] 関係形容詞のwhich(2011 青山学院大)
× My professor recommended I should change my major, (
) advice I did not follow.
@ but A though ★B which C whose
【解説】文意は「教授は私が専攻を変えるよう勧めたが,その助言に私は従わなかった」。
Richardは「Victorian novelの中なら出てくるかもしれないが,普通はBのような使い方はしない」と言います。
英和辞典にはたいてい「関係形容詞のwhichは前置詞の後ろに置くのが普通だ」という説明があります
(…, in which case 〜(…,その場合には〜)などは日常的にもよく使われます)。
ちなみにRichardは,上の文について「which adviceでなくadvice whichなら可能」と言いました。
(その場合,advice以下は一般には同格語句と説明されます)
[003-b] (1998 実践女子大)
× I was told to take a bath, (
) advice I followed.
★@ which A that B whose C its D what
【解説】これも同様ですが,「お風呂に入りなさい(と言われた)」という内容は果たしてadvice(助言)
なのか?という疑問もあります。
[002-a] 関係代名詞のbut(1999
東洋大)〈整序作文〉
× There [ your / of / few / but / us / determination / admire / are ].
(あなたの決心を称賛しない者は,私たちのなかにはほとんどいない)
【解説】出題者の想定した正解は(There) are few of us but admire your determination.
ですが,
現代英語のbutにはこのような用法はなく,一般の英英辞典には載っていません(英和辞典には
載っていますが)。私は複数のネイティブにこの問いを解いてもらいましたが,口をそろえて
This sentence doesn't make sense.(この文は意味をなさない)と言われました。
おそらく同じ出題者でしょうが,3年後にも同様の問題を出しています。
[002-b](2002 東洋大)
×
People say that there is no man ( ) has some defects.
@ that A who ★B but C as
【解説】文意は「欠点のない人はいないと人々は言う」。この問いには,もう1つの問題点があります。
出題者はこの文でmanを(おそらく)「人間一般」というつもりで使っていますが,manはもともと
男性を意味するので,今日では人間一般を表すにはa person(1人の人)やhumans [human beings]
(人類全体)などを使うのが普通です。「人間」の意味でmanという語を使う人は,自分の心の中にある
sexism(性差別主義)に気づくべきです。
ちなみに上の内容を表現するための最もよい文は,Everyone has some defects. でしょう。
[002-c](2009 福山平成大)
×
There is no worker ( ) appreciates a pay raise.
@ whose A those ★B but C he
【解説】これも同様。「昇給に感謝しない労働者はいない」という文のつもりでしょうが,こんな文は
現代英語としては認められません。
[001-a] whoとwhomの区別(2010 東洋大)
×
One of my best friends, ( ) I have known for seven years,
got married recently.
@ that A what ☆B who ★C whom
【和訳】7年来の知人である私の親友の一人が最近結婚した。
【解説】出題者はCだけが正解だと考えたのでしょうが,言うまでもなくBも正解であり,Bの方が普通です。
関係詞であれ疑問詞であれwhomは堅苦しい語であり,口語ではまず使いません(whoで代用します)。
こんなことは高校生でも学校で習って知っているはずです。
次の問いも全く同様です。
[001-b](2011 大阪商大)
×
I am dating the girl ( ) you saw last month.
☆@ who ★A whom B whose C which
【解説】意味は「ぼくは君が先月会った女の子とデートして[付き合って]いる」。@もAも正解です。
多くの入試問題を見ていると,こんなレベルの文法知識しか持たない出題者がいかに多いかがよくわかります。
大学入試(英文法)悪問データベース
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