[010-a] a corkscrew to open
the bottle with(2003 中央大)〈整序作文〉
△彼女はそのビンを開けるために栓抜きを探しています。
She is looking for a
[ bottle / to / corkscrew / with / the / open ].
【解説】完成した文は,She is
looking for a corkscrew to open the bottle with.
しかし和文が「開けるために」(目的)なので,文末のwithは不要です。
またto openが形容詞的用法の不定詞だったとしても,withは入れない方が普通。以下の例も同様です。
[010-b] (2007
近畿大)
△どうやら彼はそのドアを開ける鍵をなくしたようだ。
It appears that he
[ lost / open / that door / the key / to / with ].
【解説】完成した文は,It
appears that he lost the key to open that door with. 。
文末のwithは不要だし,He appears
to have lost the door key. と言えば十分です。
[009-a] a pencil to write
with(2012 東京経済大)
×"Could you lend me a pencil ( ) with?"
"Sure. Here you are."
@ for write
A writing B written ★C to write
【解説】Cを入れれば文法的には成り立ちますが,意味があまりにも不自然。
鉛筆は書くためのものに決まっているから,a
pencil to write with の下線部は不要です。
これだと「(別の用途で使う鉛筆ではなく)書くための鉛筆を貸してほしい」と聞こえます。
Could you lend me something to
write with? とすれば自然になります。次の例も同様です。
[009-b]
(2018 名城大)
×I have no pencil to write (
).
@in
Aby ★Bwith Cfor
[008] consider+O+not to
be C(2007 獨協大)
× I consider Mari (
) a selfish woman.
@be
Anot being to Bbe never ★C not to be
【解説】文法的に成り立つのはCだけですが,Cを入れても不自然な文にしかなりません。
「マリは自分勝手な女性ではないと思う」と言いたければ,
I don't consider Mari to be a selfish
woman. / I don't think Mari is a selfish woman. が普通の形です。
[007] 「〜せざるをえない」(2011
大阪教育大)〈連立完成〉
×(a) I couldn’t help crying for joy.
(b) I had (
) ( ) but to cry for joy.
【解説】出題者の想定した正解はno choiceでしょう。(a)は「私は喜びのあまり思わず叫んだ[泣いた]」
の意味ですが,(b)は不自然。「書き換えの公式」を機械的に尋ねようとして文意を軽視した悪問です。
Richardは(b)を「I decided to cry for joy.(私は喜びのあまり泣くことに決めた)のように響く」と言います。
「私には泣く以外の選択肢がなかった」という直訳から考えても,当然そうでしょう。
次の例も同様です。
[007-b](2003
東京慈恵会医大)
×(a) We couldn't help going out of the house.
(b) We had no (c ) ( ) to go out of the house.
【解説】(b)は問題ないが(a)は不自然。
[007-c](2018
日本大)
クマが攻撃的だったため,その猟師は殺すという手段に訴えざるをえなかった。
The hunter
[ to / resorting / killing / help / the bear / couldn't
] because it was aggressive.
【解説】完成した文(The hunter
couldn't help resorting to killing the bear because it was aggressive.)は不自然。
[006-a] have only to do(2011 東北学院大)
△ You ( ) keep walking straight, and you will find Bill’s house.
★@
have only to A have to only to B only to have C to have only
【解説】文意は「あなたはまっすぐ歩き続けさえすればよい,そうすればビルの家が見つかるだろう」。
最近はどの辞書にも書いてあることですが,「〜しさえすればよい(ほかに何もする必要はない)」の
意味では,have only toよりもonly have toの方が普通の言い方です。
Richardに尋ねたところ「have only toはformalな表現。普通はonly have toを使う」とのこと。
『ウィズダム英和辞典』には「have only toはonly have toの2割以下」という趣旨の記述があります。
また『ジーニアス英和辞典』には「All you have to do is 〜=You only have to
〜」という趣旨の説明があります。
しかし,私の入試問題DBにはhave only toの例は多くありますが,only have toの例は1つもありません。
入試英語では「All you have to do is 〜=You have only to
〜」という(現実の英語とは違う)書き換え公式が
定着しているからでしょう。いくつか例を追加しておきます(和訳は省略)。
[006-b] (1996 早稲田大)
△ You have (
) to let me have a glance at it.
@ hardly A never B nothing ★C only D something
[006-c] (2001 駒沢大)〈書き換え〉
(a) All I have to do is to open the box.
△(b) I have (
) to open the box.
@ almost A safely ★B only C rather
[006-d] (2001 姫路独協大)〈連立完成:*に入る語を選ぶ〉
そう言いさえすればよかったのだ。
× You (
) ( * ) ( ) ( ) ( ). [ had / only / say / so / to ]
【解説】出題ミスです。You had only to say so. と You only had to say so. の2つの答えが成り立つからです。
[006-e] (2008 大阪教育大)〈連立完成〉
(a) All you have to do is to e-mail me.
△ (b) You (
) ( ) ( ) e-mail me.
【解説】ベストアンサーはonly have toですが,出題者が想定した正解はおそらくhave only toでしょう。
参考までに補足しておきます。次の2つの文についてRichardに尋ねてみました。
意味はどちらも「私は日曜日にしか風呂に入らない」です。
(a) I only take a bath on Sundays.
(b) I take a bath only on Sundays.
回答は「(a)の方が口語的。(b)は日曜日が特別な日だというニュアンスになる」とのこと。日常会話では,
only,just,evenなどの副詞を被修飾語の直前ではなくできるだけ前に置く傾向が強いように思われます。
[005-a] 完了形の分詞構文(2010 センター追試)
△ (
) several magazine articles on the theme, I was able to understand
the presentation perfectly.
@ Had read A Has read B Have read
★C Having read
【解説】文意は「そのテーマに関していつかの雑誌記事を読んでいたので,私はその発表を
完全に理解することができた」。センター試験の文法問題はおおむね良問ですが,時には疑問を
感じるケースもあります。この問いについては,(「大人の英文法」で説明したとおり)このような日常的な
内容を表したいときわざわざ分詞構文を(しかも完了形で)使うのは不自然です。
普通は I had read several magazine articles on the theme, so I was able …
と言うでしょう。
このように文頭に完了形の分詞を置く文は文語的であり,小説などには出てきます。
だから読んで意味を理解する力は必要ですが,自分で英文を書いたり話したりするときにこのような
形を使う必要は全くありません(よほどの上級者でない限り)。したがって,穴埋めであれ整序作文であれ,
このような英文を作らせる問題を出題することは不適切だと思います。
参考までに,以下は「ネイティブが使う英語・避ける英語」(佐久間治:研究社)からの引用です。
…以下のような自動詞の完了分詞形は不適切と見なされる。
・Having fallen from the roof, the cat was not hurt.
・Having run for the train, he was out of breath.
前者はEven thoughを使って,後者はAfterを使って,ふつうに表現すればいいじゃないか,と
彼ら[native speaker]は必ず言う。
以下の問題も同様です。日常的な内容なのにわざわざ完了形の分詞構文を使っており,
不自然な感じがします。以下の例からわかるとおり,この形は入試では非常に好まれ,
特にいわゆる難関私大で頻繁に出題されていることがわかります。このような問題の対策学習に
要する時間の浪費が,高校生の「使える英語」の習得を妨害していることは明らかです。
[005-c](2008 明治大)
△ (
) the book, I cannot comment on its value.
@ Having not be read
★A Never having read B Never to read C Not to have read
【解説】文意は「その本を一度も読んだことがないので,私はその価値について論評することはできない」。
I’ve never read the book, so I can’t comment on its value.
の方がずっと普通の表現。
この文なら(単語さえ知っていれば)中学生でも作れます。
出題者には「この問いを解く力は何のために必要なのか」という視点が欠けていると言わざるを得ません。
[005-d](2001
明治学院大)
△ The sun (
), we stayed there for the night.
@ had set A has set B have set
★C having set D to have set
【解説】文意は「日が沈んで,我々はそこで一泊した」。完了形の独立分詞構文という,よく言えば文学的,
悪く言えば非日常的な文です。ネイティブが書いたエッセイの中なら出てきそうですが,日本人には
このような文を作る力は必要ないと思います。
[005-e](2007 京都産業大)
△ (
) that movie before, I decided not to go with them.
@ Being seen A Having been seeing ★B Having seen C Seeing
【解説】文意は「以前その映画を見たことがあったので,私は彼らと一緒に行かないことに決めた」。
I had seen that movie before, so … と言えば十分です。
[005-f](2010 名古屋市大)〈整序作文〉
△ [ addressed / having / house / the / to / wrong ], the letter never
reached him. (1語不足)
【解説】完成した文は,Having been addressed to the wrong house(, the letter never reached him.)。
文意は「間違った家の宛名が書いてあったので,その手紙は彼に届かなかった」。
こんなものは英語の問題というよりも単なるパズルです。
学習者が目標とすべきはThe letter was wrongly addressed, so it didn’t reached him.
という
「普通の文」を作る力をつけることであり,文法書の例文を再現することではありません。
以下,和訳は省略して列挙します。
[005-g](2012 青山学院大)
△ (
) its faults, I still continue to believe in the artistic value of his work.
@ To recognize A Being recognized B To be recognized
★C Having recognized
[005-h](2012 南山大)
△ (
) a very long and busy day, Alex decided to go to bed early.
@ Had had A Have had B Has had
★C Having had
[005-i](2011 南山大)
△ Never (
) to New York myself, I cannot give you recommendations on good hotels there.
@ visited A had visited B have been
★C having been
[005-j](2009 福岡大)
△ (
) by the police, he soon confessed the crime.
@ Although arresting A Having been arresting
B If only being arrested
★B Having been arrested
[005-k](2011 防衛大学校)
△ (
) missed the point of discussion, Mr. Smith asked some irrelevant questions.
★@ Having A Having been B To be C To have (5) To have been
[005-l](2011 上智大)
△ I failed to recognize her at first, not (
) her for ten years or so.
@ seeing A to see
★B having seen C saw
[005-m](2008 関西学院大)
△ (
) what their teacher said, the students were satisfied.
★@ Having understood A Understood B To understand C Should understand
[005-n](2007
立命館大)
△ (
) the show many times before, she soon became bored.
@ As she will have seen A Had she seen
★B Having seen C To be seeing
[004-a] 分詞構文と接続詞の書き換え(2012 中京大)〈書き換え〉
(a) Feeling the house shake, I ran out of the house.
△(b) (
) I felt the house shake, I ran out of the house.
【解説】「大人の英文法」で説明したとおり,(a)は「家が揺れるのを感じた」ことと
「家から走り出た」こととが同時に起きた,あるいは「家を出た」という行動に「家が揺れる
のを感じながら」という状況が付帯していたというニュアンスでとらえるべきです。
そういう意味では空所に入るベストアンサーはAs(〜しながら)ですが,When,Because,
Since,Afterなどを入れても意味は通じます。出題者は正解の許容範囲をどこまで広げて
いたのでしょうか。(a)は分詞構文のままで理解すべき文であり,接続詞で言い換えさせようと
いう発想自体が間違いです。
[004-b](2006 亜細亜大)〈書き換え〉
(a) Since I had seen the film three times, I didn't want to see it again.
△(b) ( ) the film three times, I didn't want to see it again.
@ Wanting to see ★A Having seen B Seen C To see
【解説】文意は「その映画は3回見たことがあったので,また見たいとは思わなかった」。
書き換え問題全般に言えますが,「普通の文」を「普通でない文」に書き換えさせるような問いは最悪です。
この問いがまさにそれに当たります。
学習者は(a)の文を作れればよいのであって,(b)を作れる必要はありません。
[004-c](2012 中京大)〈書き換え〉
(a) As I had not seen Mr. Danka for a long time, I failed to recognize him.
△(b) Not (
) seen Mr. Danka for a long time, I failed to recognize him.
【解説】文意は「ダンカ氏には長い間会っていなかったので,私は彼だとわからなかった」。
これも全く同様。正解は having
ですが,(a)の方が普通の言い方です。
[003] 条件を表す分詞構文(2011
中京大)〈書き換え〉
(a) If you turn to the right, you will find the station.
△(b) (
) to the right, you will find the station.
【解説】正解はTurning,文意は「右へ曲がれば駅が見つかります」です。
(b)は「条件を表す分詞構文」の例として文法参考書などに時々出てくる形ですが,感心しません。
文法的には間違いではありませんが,(a)の方が圧倒的に普通の言い方です。
ちなみに「(b)はどんな状況で使うのか」とRichardに尋ねたところ,
「たとえば旅行のガイドが市内観光の道順を説明しているような状況で『ホテル正面の道を
2つ目の信号まで進んでください。右に曲がると…』などと言うときには使える」とのことでした。
[002] 許容される分詞構文(2008 星薬科大)
△ (
) in Okinawa, my grandfather has never seen snow in his life.
★@ Born ☆A Being born B Had born C To born
【解説】想定された正解は@ですが,Richardに確認したところ「Aも使える」とのことでした。
文法的にはAはHaving been bornとすべきでしょうが,Being bornでも誤解が生じることはありません。
[001] 動名詞の意味上の主語の格(2008 八戸工大)
私は彼が来るのを楽しみにしている。
× I look forward to (
) coming.
@ he ★A his ☆B him C himself
【解説】言うまでもなくAもBも正解ですが,出題者が想定した正解はおそらくAでしょう。
私も受験生の頃,「動名詞の意味上の主語は,代名詞のときは所有格,名詞のときは
所有格または目的格」と習いました。今ではどの文法書にも「目的格の方が口語的」と
書かれています。なお,この文で現在形を使うのはフォーマルな書き言葉であり,
普通は I’m looking forward to him [his] coming. のように進行形で表現します。
大学入試(英文法)悪問データベース
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