2013/3/9 up

大人の英文法−003  文末焦点の原理  

 

新情報(の焦点)を文末に置くことを「文末焦点の原理」と言います。

次の2つの文を比べてみましょう。

(a) I lent Ken my bike.

(b) I lent my bike to Ken.

これらの文が表す事実は同じですが,普通の解釈では下線部が新情報になります。つまり,

(a)=私がケンに貸したのは(他の物ではなく)自転車だった。

(b)=私が自転車を貸した相手は(他の人ではなく)ケンだった。

このように意味が違ってきます。したがって実際のコミュニケーションでは,これらを使い分ける

必要があります。たとえば「ケンに何を貸したの?」という問いには(a)で,「自転車を誰に

貸したの?」という問いには(b)で答えます。

 

今度は英文を読む観点から考えてみましょう。2012年度センター試験に,コンサートの広告文を

使った問題が出題されました。以下はその一部です。

... Seven Funky Rangers will only perform once this year, so don't miss the chance. 

Also appearing, Hip Hop Heroes.

下線部はAlso appearing is Hip Hop Heroes. という倒置構造をもとにした文ですが,なぜこのような

形が使われているのでしょうか?この箇所は「(セブンファンキーレンジャーズに)加えて登場するのは,

ヒップホップヒーローズです」という意味ですね。新情報(Hip Hop Heroes)を後ろに置くことで,

Also appearing が読み手の期待感を高めるための「前置き」の働きをしているわけです。

大西泰斗先生風に言えば,このような「ハートで感じる」感覚が,英語の習得には大切です。

上の文を「倒置構文だ」と文法的に理解しているだけでは,実際にこのような形を自分で作れる

ようには決してなりません。

 

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