「法」は英語でmoodと言いますが,moodには「気分」の意味もあります。
つまり法とは,話し手の気分を伝えるためのV(述語動詞)の形と定義することができます。
法には,次の3種類があります。
直説法 = ことがらを事実として述べる形
仮定法 = ことがらを仮定や願望として述べる形
命令法 = 相手に命令・依頼する場合に使う形
古い英語では法の種類ごとに異なる活用形がありましたが,仮定法の活用形が時代を経るに
つれて廃れ,動詞・助動詞の過去形が代用されるようになりました。現在,仮定法独自の形と
して残っているのはIf I were 〜のような文のwereだけです。
直説法の文は事実に対する話し手のニュートラルな気分を表します。一方,仮定法を使った
文はそうではありません。
・If it were not raining now, we could play baseball.
(もし今雨が降っていなければ,私たちは野球ができるのに)
この文では,下線部が仮定法(というVの形)です。そしてこの文は「雨が降っているから
野球ができないのが残念だ」という話し手の(残念な)気分を表しています。
※「仮定法」とは下線部のVの形のことであり,表現形式全体を指す言葉ではありません。
次の文では命令法が使われています。
・Come what may, I won't change my mind.
(たとえ何が起ころうと,私は決心を変えない)
この文中のcomeは命令法で,「たとえ〜でも」という〈譲歩〉の意味を表しています。
ここにも話し手の気分がこめられている点に注意してください。
日本語でも「いずれにせよ」のように命令形で〈譲歩〉の意味を表す表現がありますね。