英語のプロが書いた本の中にも「時制」と「時」という2つの言葉を混同して使っているケースが
見られますが,言葉の意味は正確に知っておく必要があります。
時制とは,端的に言えば「時を表すV(述語動詞)の形」のことです。
・If it rains tomorrow, I will stay at home.
(もし明日雨が降ったら,私は家にいるつもりだ)
この文では,rainsという「現在時制[=現在形]」が「未来」という時を表しています。
このように,時制と時とは必ずしも一致しません。
では,will stayの方はどうでしょうか。学校の英語ではこれを「未来形」ということもありますが,
「家にいるつもりだ」と話し手が考えているのは「現時点での判断」だと言えます。
つまりwill stayは正確には「法助動詞willの現在形+動詞の原形」と考えられます。
もしこのwill stayを「未来形[未来時制]」だと言うのだとしたら,It may rain tomorrow.
(明日雨が降るかもしれない)はどうでしょうか?これを「未来形」とは普通言いませんね?
このように考えると,英語の時制には現在時制・過去時制の2種類しかないことがわかります。
学校英語では「現在」「過去」「未来」という時の3分類がわかりやすいので便宜的に「未来形」
のような表現を使うこともありますが,未来を表すwillは法助動詞の一種であり,話し手の
(現時点での)気持ちや判断を表しているということを知っておく必要があります。
英語には「未来形」という時制がないからこそ,「未来」という時を表すために
will,be going to,
現在進行形などさまざまな形を借用するのです。