007で「時制には現在時制と過去時制しかない」と説明しました。
「では,現在進行形や現在完了形は時制ではないのか?」という疑問が沸きますね。
オーソドックスな文法理論では,これらは次のように説明します。
時を表す動詞の形には,時制(tense)と相(aspect)という2つの概念が適用されます。
両者は次のように定義されます。
・時制=発話の時点から見て出来事がいつ起きたかを表す形
・相=基準時(時の流れの中の1点)において出来事がどのように進行しているかを表す形
動作や状態が基準時に完了していれば「完了相」を,継続していれば「進行相」を使います。
たとえば基準時が過去であり,その時点で出来事が継続していれば,過去時制の進行相
(=過去進行形)が使われることになります。
eatを例にとって形の違いを示すと,次のようになります。
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進行相
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完了相
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完了進行相
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現在時制
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is
eating
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have
eaten
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have
been eating
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will
be eating
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will
have eaten
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will
have been eating
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過去時制
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was
eating
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had
eaten
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had
been eating
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このように,時制と相は組み合わせて使うことができます。
また,準動詞(不定詞・分詞・動名詞)は時制を持ちませんが,相との組み合わせは可能です。
だからto be eating(進行相の不定詞)のような形が作れるのです。上の表の真ん中の列では,
willのほか can,may,should
などを使う形も作れます。これらはすべて現在時制の助動詞です。
だから will be eating を「未来進行形」と呼ぶのは,あくまで便宜的な説明にすぎません。