2013/3/10 up

大人の英文法−011  現在形  

 

現在形[=現在時制]の意味は,動詞の性質によって次のように異なります。

動作動詞の現在形=現在の習慣的行為を表す

状態動詞の現在形=現在の状態を表す

次の2つの文を比べてみましょう。work は動作動詞,live は状態動詞です。

(a) He works at a bookstore. (彼は本屋で働いている)

(b) He lives at a small apartment. (彼は小さなアパートに住んでいる)

(a)は「現在の習慣的行為」を,(b)は「現在の状態」を表します。

学校英語ではここまでを理解しておけば十分ですが,両者の間には次のような

本質的な違いがあります。

(a)では,話し手の視点は「現在を含む幅のある時間」に向いています。

(b)では,話し手の視点は「現在」という時間軸上の1点に向いています。

わかりやすく言えば,(a)は「彼はきのうも今日も明日も本屋の店員だ」という意味

です。そして(a)は,彼が現時点で work していない[勤務中でない]場合,たとえば

家で寝ている場合でも使うことができます。

しかし(b)は「彼は現時点で live している」という意味にしかなりません。

したがって「彼は現時点で work している[勤務中だ]」という意味を明確に表したい

場合には,(a)(現在形)は使えません。その代わりに現在進行形を使うわけです。

一方,(b)では話し手の視点は最初から「現在」に向いているため,現在進行形を

使う必然性がありません。「状態動詞は進行形にできない」というルールの背景には,

そういう理由があります。


別の角度から考えてみましょう。 never という副詞は,「どの時点を選んでも〜ない」

という意味であり,話し手の視点は過去・現在・未来のすべてに向いています。

(c-1) He never smokes. (彼は決してたばこを吸わない)

この文は「彼は過去にも喫煙者ではなかったし,現在も喫煙者ではなく,将来も喫煙

者にならないだろう」というニュアンスを持ちます。

(c-2) He never smoked. (彼は決してたばこを吸わなかった)

(c-3) He will never smoke. (彼は決してたばこを吸わないだろう)

(c-2)は「過去のどの時点でも」,(c-3)は「未来のどの時点でも」の意味です。

これらの文の smoke は動作動詞です。そして,これら3つはどれも正しい文です。

一方,状態動詞では次のようになります。(know は状態動詞)

×(d-1) He never knows the secret. 

○(d-2) He never knew the secret.

○(d-3) He will never know the secret.

(d-2)は「過去のどの時点でも彼はその秘密を知らなかった」,(d-3)は「未来の

どの時点でも彼はその秘密を知ることはないだろう」の意味です。

ところが(d-1)は誤りです。ここまでの話からその理由を整理すると,次のようになります。

(A) 状態動詞の現在形では,話し手の視点は「現在」という時の1点に向いている。

(B) never を使う文では,話し手の視点は過去・現在・未来のすべてに向いている。

この2つが矛盾するから,(d-1)は誤りとなるわけです。

 

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