時制は「基準時」をもとにして考えます。
基準時とは,話し手が視点を置いている「時の1点」のことです。
基準時には,過去・現在・未来の3つがあります。
基準時が過去のときに使う時制には,過去形・過去進行形・過去完了形・
過去完了進行形の4つがあります。
※ここでは「時制」の定義を学校文法にそろえておきます。
現在形[現在時制]の基準時は現在,過去形[過去時制]の基準時は過去ですが,
両者の間には次の違いがあります。
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状態動詞
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動作動詞
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現在形
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現在の状態
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現在の習慣的行為
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過去形
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過去の状態
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過去の1回限りの行為
過去の習慣的行為
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したがって,次の文は2通りの解釈が可能です。
We played soccer at the park.
@
私たちは公園でサッカーをした。〈過去の1回限りの行為〉
A
私たちは公園でサッカーをしたものだ。
〈過去の習慣的行為〉
このような紛らわしさを避けるために,Aの意味を表したいときは,
We used to play soccer at the park. と言うのが普通です。
(used to 〜 = 〜するのが常だった)
上の表からわかるとおり,現在形を使った We play
soccer at the park. には,
「私たちは(習慣的に)公園でサッカーをする」という意味しかありません。
時制全般に言えることですが,コミュニケーションの中では「基準時はいつか」と
いうことがお互いにわかっていなければなりません。たとえば
What did you do last Sunday?
(君たちは先週の日曜日に何をしたの?)
という問いに対しては,We played soccer
at the park. と答えることができます。
しかし会話の切り出しとして We played soccer at the park.
と言うと,聞き手は
「公園でサッカーをしたって?それはいつなんだ?」と疑問に思います。だから,
We played soccer at the park last Sunday.
(先週の日曜日に公園でサッカーをした)
のように基準時を示すフレーズ(last
Sunday)を入れる方が自然に響きます。
この文の基準時は「先週の日曜日」という過去の1時点です。
過去進行形は,現在進行形の基準時を「現在→過去」とスライドさせた時制です。
過去のある時点を基準にして,「(そのとき)〜していた」という意味を表します。
同じ文中に過去を明示する語句を入れるのが普通です。
I was taking a bath when
you called me.
(君が電話してきたとき,ぼくは入浴していたんだ)
この文の場合,下線のフレーズによって基準時が「過去」であることがわかります。
"Why didn't you answer my call?"
"Sorry. I was taking a bath."
(「なぜ電話に出なかったの?」「ごめん。入浴してたんだ」)
この例の場合は既に「過去」のことが話題になっているので,過去を表す語句を
省いて過去進行形が単独で使われています。
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