2013/3/17 up

大人の英文法−016  品詞と文の要素との関係 

 

この話は,015で示した「A単語やフレーズを並べるルール」に関するものです。

したがって本格的な説明はずっと後になりますが,ものすごく重要なことなので,先に

ざっと説明しておきます。

英文法が嫌いな人が多い1つの理由は,文法用語がたくさんあって覚えにくいからです。

しかし効率的な学習のためには,基本的な文法用語の意味を知っておくのがベターです。

私が見るところ,多くの学習者が十分に理解していない1つのポイントがあります。

それが,「品詞」と「文の要素」との関係です。次の例を見てください。

・I bought a new camera yesterday.(私はきのう新しいカメラを買った)

この文は6つの単語から成っていますが,文法的には次のように説明できます。

(1)品詞をベースにした説明

・  I        bought    a       new      camera   yesterday.

代名詞    動詞   冠詞   形容詞     名詞       副詞

(2)文の要素をベースにした説明

・  I  bought a new camera  yesterday.

           S     V            O            修飾語

この2つを見て納得できる人は,英文法の基本が身についています。逆に,(1)と(2)の

違いがわからない人は,英文法がまるで理解できていないと言っても過言ではありません。

以下の説明を読んで,しっかり理解してください。ここをクリアできれば,英文法学習の

スタートラインに立つことができます。


 

「品詞」とは,個々の単語の属性による分類です。たとえば田中さんという人は,「男」

とか「日本人」とかの大きなグループに入れることができます。このグループの名前に相当

するものが品詞です。たとえば dog(犬)は「名詞」,make(作る)は「動詞」という品詞の

グループに入ります。英語の主な品詞には,名詞・代名詞・冠詞・形容詞・副詞・動詞・

助動詞・前置詞・接続詞・間投詞の10種類があります。(個々の説明はここでは省きます)

「文の要素」とは,単語やフレーズが文中でどんな働きをしているかを表す用語です。

主語(S),述語動詞(V),目的語(O),補語(C),修飾語(M)の5種類があります。

これも,詳細は後で説明します。「文の要素」という概念が必要なのは,複雑な文の構造を

とらえるのに便利だからです。

The best way to master English is to live in a country where it is used.

                      S                   V                         C

(英語を習得する最善の方法は,それ[英語]が話されている国で暮らすことだ)

この文は「S is C=SはCだ」が複雑化したものであり,基本構造はThis is a pen. と同じです。


 

文の要素と品詞の関係をまとめると,次のようになります。この表を理解することが,

英文法の基本中の基本です。

文の要素

S(主語)

V(述語動詞)

O(目的語)

C(補語)

修飾語

品詞

名詞

代名詞

動詞

名詞

代名詞

名詞

形容詞

形容詞

副詞

 

最初に挙げた例をもう一度見てみましょう。

・  I  bought a new camera  yesterday.(私はきのう新しいカメラを買った)

             S     V            O                  修飾語

上の表から,Sになれるのは名詞または代名詞です。だから I(代名詞)はSになれますが,

たとえばnew(形容詞)はSになれません。また,Oになれるのも名詞または代名詞です。

だから I met Tom. とは言えますが,I met young[形容詞].とかI met today[副詞].は誤りです。

I want to become a doctor.(私は医者になりたい)

 S   V              O

この文は「私は[医者になること]を望む」と考え,to become a doctor の全体がO(目的語)

だと解釈します。Oになれるのは,上の表から名詞(または代名詞)です。だからこの不定詞

(to become)を「名詞的用法」と言うわけです。

一方,この文の want と become は,品詞としてはどちらも「動詞」です。しかし文の要素から

言えば,Vに当たる語は want です。そこで,「品詞としての動詞」と「文の要素としてのV」とを

区別するために,後者を「述語動詞」と言います。

 

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