未来完了形は,現在完了形の基準時を「未来」へスライドさせた時制です。
〈will+have+過去分詞〉の形で,基準時(未来のある時点)における
(それより前に起きたこととつながりのある)状態を表します。
will(〜だろう)+〈have+過去分詞〉(〜が完了した状態を持っている)と
考えるといいでしょう。例を挙げておきます。
・I will have left the
office for home when you come back.
(君が戻る頃には私は職場を出て家へ向かっているだろう)
この文の基準時は「君が戻るとき」です。その時点で「私は職場を出る動作を
完了したという状態を持っている(have left)だろう(will)」ということです。
【参考】この文のwill have leftをwill leaveにすると,「私は君が戻ったら職場を出るつもりだ」という
違った意味になります。
〈will have+過去分詞〉の下線部は「完了した状態を持っている」という意味なので,
全体として状態動詞に準じた働きをします。一般に状態動詞は無意志動詞なので,
will
は単純未来(〜だろう)の意味を表します。上の文を「私は職場を出てしまって
いるつもりだ」(意志未来)の意味に解釈するのは誤りです。未来完了形の
will は
常に単純未来(〜だろう)の意味を表す点に注意してください。
上の例は学校英語で言えば〈完了〉の用法です。〈継続〉の意味を表すときは,
動作動詞なら理屈の上では未来完了進行形を使うことになります。
・It will have been raining
for a week if this weather lasts until tomorrow.
(この天気が明日まで続けば,1週間雨が降り続いていることになるだろう)
ただしこのような形は複雑なので,会話ではあまり出てきません。
なお,未来完了形が〈経験〉の意味を表す例として,日本の文法書には次のような
文が載っています。
・ If I see the movie again, I will
have seen it four times.
(もしその映画をもう一度見れば,私はそれを4回見たことになるだろう)
しかしこの文の下線部は,〈経験〉とも〈完了〉とも解釈できます。未来完了形が明確に
〈経験〉を表す例は,will have been to
〜(〜へ行ったことがあることになるだろう)の形
以外にはまず考えられません。ただしこのような形は複雑なので,会話ではまず使わない
と思ってよいでしょう。上の文の場合は I've seen the
movie three times.(私はその映画を
3回見た)と言えばいいのであって,「もしもう一度見れば」という仮定をすること自体が
自然な状況とは言えません。